眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

おやすみなさい

2019-04-09 23:38:45 | マナティ
「ねえ、マナティ、何か面白い話聞かせて」
「喜んで」
「ねえ、マナティ、時間戻して」
「それはできません」
「ねえ、マナティ、テレビつけて」
「どうしてでしょうか?」
「理由がいるの?」
「どうしてでしょうか?」
「マナティ、おやすみ」
「おやすみなさい」
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卒業

2019-04-09 21:54:30 | ナノライト
最前列は先生の目に近く
最も睡魔と戦いやすい
背中にかかるプレッシャーも
振り返らないと決めたなら
誰もいないに等しい
 
窓際の席に着いたら
誰よりも雨を早く知り
庭かける犬とコンタクトする
いつも外の世界に目を向けながら
輪の中に入らずに過ごせるかも
 
真ん中の席は覚えにくい
逃げ場がなくて辛そうだけど
上手く溶け込んでしまえば
どこからも見えなくなって
誰にも狙われずに済むはず
 
最後列の真ん中に着いて
声を上げずにふんぞり返ってもみたい
個別のテーマには加わらず
気ままに絵の具を溶いたら
ゆっくりと全体をスケッチする
 
結局のところどこでも同じではないかな
 
その場に合った生き方を見つけさえすれば
そこを自分の居場所にすることができる
どこに行っても間違いじゃない
どこに行っても怖くはない
さあ くじでも何でも引いてくれ
 
「出て行け!」
 
お前の席はないと先生は言い放った
いったい僕が何をしたの
 
「お前はとうの昔に卒業したんだ」
 
 
 
 
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ヘブン

2019-04-09 10:45:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
飛車角も銃もいらない成駒が先に輝く入玉の道
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そして牛になれ

2019-04-09 03:12:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
うまうまと食べて転げる胃をもった人は鼾を届ける獣
(折句「うたいびと」短歌)
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なめ小僧

2019-04-09 02:45:07 | 好きなことばかり

大好きなキャンディをなめるように、いつだって僕らはボールをなめることができる。足下にボールがあれば勿論そうしているし、敵チームの手にそれが渡っている間も、気持ちの上ではまだそうすることができる。試合に入っていけない時も、街をふらついている間も、暖かい布団に包まれて夢を見ている時間でさえも、僕らはずっとボールをなめていることができるのだ。ボールは僕らにとって、大好きなキャンディと同じだった。溶けても、砕けても、寝ても冷めても、僕らはいつもその感触を覚えている。好きなものと接するということは、いつもそういうことだった。グルメな多くのサポーターは、そんな僕らのフットボールを愛し、たくさんのエールを送ってくれる。僕らはそれを力にして、ゲームの大半の時間帯でなめた真似をして遊んでいる。足の裏にボールを抱く感覚は、たまらなく愛おしいものだ。たとえて言えば、大好きなキャンディをなめている感じ。愛を欲した獣たちが、僕の足下になめられた宝石を奪いに迫る。その時には僕の欲望も一層増幅し、なめてなめてなめまわすのだ。獣たちは僕のなめにみとれ、揺さぶられ、そのままついてくるしかない。彼らは完全に僕のなめのコントロール下に置かれている。(自分だけが行き先を知っている)ボールホルダーの優越感に包まれて、しあわせななめタイムが続いていく。終わりはいつも突然にやってくる。なめた幸福度にもサポーターの満足度にも関係なく、たった一つの笛によって。その時、僕らはピッチの上に倒れ込んで、地球自身を抱きしめる。「いつまでもなめてばかりはいられないんだ」

 
 
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うらめしや

2019-04-09 00:40:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
幽霊は気楽なものね冷ややかな鎧となって打たれても雨
(折句「ユキヒョウ」短歌)
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