自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

3回目の学校説明会

2009年11月28日 | 自由の森のこんなこと
高校校長の鬼沢さんからは、OECDの学力の到達度調査に絡めて「学力とは?」「科学とは?」「深く学ぶとは?」という話を通して自由の森がどんな場であるのかという具体的な話がありました。

授業紹介は、今回は英語科の米蒸さん。「知らない世界はたくさんある」「知らない世界に出会うことが楽しいのだ」と話す、米蒸さんの英語の世界の入り口は、英単語の「音」のでき方。

  「か」はローマ字では「ka」と書きます。
   kは「クッ」、aは「ア」と読みます。
   クッ、アッ、クッ、アッ、クッ、アッ、
   合体すると、「クァッ」。

こんなふうに分解された音が合体することで「か」の音が構成されているのだという、音のでき方の話。「みなさんも声を出してください」という呼びかけに応えて会場にいるみなさんも一緒に「音」をつくります。
「さ」と「だ」の音も同様に分解・合体をすることで、「s」と「d」の音を抜き出して、最後は「desk」を読みます。

このあと、卒業生の、自由の森で過ごした経験やいまやっていることの話、現高3の在校生が日常の授業や学校生活を通して自分自身の変化をいまどうとらえているのかということなどを語りました。

今年は入試の方法も新しいものが行われます。その具体的な内容の説明や、入試に関する具体的な個別相談なども行っています。

学校説明会は、このあとも続きます。>学校説明会のページ
次回は12月12日(土)です。
なかの

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内山節さん講演

2009年11月21日 | 自由の森のこんなこと
今年の公開教育研究会は、哲学者の内山節(うちやまたかし)さんをお迎えして、講演をしていただきました。タイトルは、

  開かれた時空の意味
 -子どもたちの世界を考える-

というもの。内山さんの、“幼稚園中退事件”を含めた自己紹介からはじまって、どのように大人になっていったのかという話、群馬県の上野村で見た“自然の姿”の話、「知性」「身体性」で学んでいくことの大切さに加えて、その2つには分類されないもうひとつの力=生命そのものの力でつかみ取ることの重要性。現代社会を眺めるさまざまな視点や言葉が、講演会の中でたくさん登場していたように思います。

  未来のために今があるのではなく、
  将来の目標のために今を生きるのではなく、

という、今の、この瞬間の生き方の必要。
また、50歳ぐらい年上の「友だち」と意気投合したという話。

  つまらない生き方とは何か。
  目標を持つこと。
  そうでない生き方とは何か。
  流されるままに生きていくということ。

「流されるままに」のあとに、すぐに言葉が入ります。流されるがままに生きるというのはなかなか大変。川には滝もたまりもあるけれど、流されているときには必死に何かに掴まろうとしたりする。そういう、その瞬間に一生懸命であることの大切さ。

印象に残った話はたくさんありますが、「本物」に出会うということが大切なのだと言っておられるように感じました。本物を目の前にすることなくあれこれ考えるより、とにかく現地に行くこと。行った先には それなりの材料がある。わからないものでも 考える手がかりがある。本だけ読んで勉強するのはダメだ、というような話。びっくりするようなたくさんの言葉の中に、そうかもしれないと思うことが多々ありました。
話していただいたことや、参観者の質問への答えの中身などを思い返しています。これだけたくさんの引き出しを持った人に出会えたことに、とてつもない新鮮さを感じているのかもしれません。
なかの

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公開研究会テーマ別分科会はこれです。

2009年11月18日 | 自由の森のこんなこと
ホームルームの時間を割いて、全校集会で各テーマ別分科会の説明が行われました。
10の分科会の説明の内容を紹介しましょう。
生徒はもちろん、研究会参加者のみなさんもどれでも参加できます。今、自由の森で行われていること、生徒が考えていることを知ることができます。ぜひのぞいてみてください。
会場は、当日配布されるプリントに記載されています。

■夏の体験学習(体験学習部) 夏の体験学習の受け入れ先の方をお呼びして、受け入れる思いや大切にしていることをお聞きしている。今年は新潟で農業をしている卒業生の瀬谷さんにお願いしています。農業をしながら、ライブ活動も続けていて、当日も演奏してもらえます。
■やっぱり登山は必要か?(中学1年学年会) 毎年、八ヶ岳には行っているけれど、雨だったり登れないことが多くて、せっかく装備を買ってもあまり使わない。実際に行った生徒からどう感じているのかを聞きながら、今後どうするのかを考えます。
■韓国講座(韓国講座) この夏韓国で聞いてきたおじいさんの話(植民地支配の体験)をどう生かしていくのか、参加する皆さんと考えます。
■高卒と大卒の違いについて(生徒企画) 自分の進路を考えている中で、何が違っているのか疑問に思ったので、話し合ってみたい。
■今年の全校行事(学園祭)どうだった?(生徒企画) 主に学園祭について、昨年の議論を踏まえて考えてみたい。意見を集めた資料も準備したので、昨年の行事を作ってきた人にも参加してほしい。みんなで全校行事のあり方について話し合いたい。
■生き方としての進路を探る(進路部) 「世代」という切り口で、3期生、10期生、16期生、18期生4人の卒業生を招いて話を聞く。子育て世代や大学生など様々な年代の違いから見えてくるものがある。
■大豆のはなし(食生活部) 豆腐、納豆、味噌、醤油の原料である大豆の話を、大豆の専門家大豆工房の宮永さんをお呼びしてお話を聞く。
■地域と地球の環境を考える(選択講座主催) 環境の問題をテーマにしている自由選択講座(5講座)のテーマや活動の内容を交流して、ネットワークをつくっていくきっかけにしたい。
■基っ地り(きっちり)考えよう(生徒企画) 沖縄の基地の問題を考えます。辺野古の海を守るために私たちにできることは何かを生徒の立場で話し合います。
■授業のつくりかた(生徒企画) 授業は生徒と教師でつくるものだと言われているけれど、生徒側からの動きが少ないような気がしている。生徒のなかで、そのことについて話し合ってみたい。

公開教育研究会は11月21・22日(土・日)に行われます。>公開教育研究会のページ
鬼沢真之

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内山 節 さんの本を読む会

2009年11月18日 | 自由の森のこんなこと
社会科の上野さんの呼びかけで開かれた、今年の公開教育研究会の講演をお願いしている内山節(うちやまたかし)さんの本を読む会に参加してきました。読んだ本は、内山さんの『子どもたちの時間―山村から教育をみる』(岩波書店)。
20年ほど前にも内山さんは自由の森に来て話をしてくれたことがあり、そのときの録音テープ(←カセットテープです)も聞きました。20年前のものであるのに、話されている内容はちっとも古い感じがしないのです。聞いていると、どこか自由の森のもともと持っている考え方とつながっていったり、私自身がいま気になっていることがすでに語られていたり。
3回の読書会で、上野さんを中心に、本をに書かれていること---「学校とは」「個人とは」「村・都市とは」、また、「考えること」「生きること」など---を集まった生徒たちで読みあい、意見を出し合いました。
「自分の人生経営」をうまくいかせることが目的となる生き方・学習観、「自分の精神の習慣」が指向する都市の存在、「孤立した個人が集合している」こと。気になっていたことが言葉になっているものに出会い、それぞれについて集まった人たちがまた意見を言い合う。そんな3週間でした。
講演会は21日(土)。講演テーマは「開かれた時空の意味-子どもたちの世界を考える-」です。
なかの

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第2回目の学校説明会

2009年11月14日 | 自由の森のこんなこと
10月17日に引き続いて、2回目の学校説明会が行われました。私も冒頭で少し話をさせてもらいました。自由の森学園が出来たのは25年前。そのころの「学校」をとりまく状況の中でまさに自由の森学園が誕生したこと、その後私自身が入学した自由の森学園のことを、どうして「点数による序列をしない」のかという理由を含めて、学校や授業の成り立ちについて話をさせてもらいました。

自由の森学園は、いわゆる中間試験期末試験などのテストをしません。テストでいい点をとるとうれしい気持ちになる、あるいは、悪い点をとったらもっと頑張ろうと奮起する、そういう動機で勉強をしていくのではなく、目の前にしている不可解な出来事に遭遇して生まれる「なんでだろう?」という疑問と、それを納得するための言葉を探し出していくこと。教室にいる多くの生徒たちが「わからないこと」をぶつけ合って何かの答えを探し出していったりする授業の姿を、私自身の経験を含めて、お話ししました。

会場に集まってくださった人たちと、話をしている最中に目が合います。「100点をとるとうれしいって思っちゃうよね」ということに「うんうん」とうなずいてくれる受験生、ある教科が「できる」ということと「好きだ」ということとは違うのだということに、やはり「うんうん」と反応してくれる受験生。いろいろな言葉を通して、ある価値観を共有できたのじゃないのかな。そういう表情に出会えたように思います。

今回の授業紹介は音楽。自由の森の音楽は、「合唱」を中心に構成されています。「うたう」ということの意味や、合唱を通して広がる世界観が話されたあと、会場にいる人たちで実際に「うたう」ことを体験しました。学校説明会に来た人たちで歌をうたうなんて、驚かれた方もいらっしゃるんじゃないかなと思います。
歌った曲は、「Peace in Harmony」という曲。卒業生の保護者の小室等さんが作曲した曲で、15分ぐらいでパート練習などをして、曲の1番の歌詞をハモりながら歌いました。
学校説明会は、このあとも続きます。>学校説明会のページ
次回は11月28日(土)です。
なかの

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小手指小学校へ授業の出前をしてきました

2009年11月11日 | 自由の森のこんなこと
昨年の11月にも小学校5年生を対象に授業をさせていただく機会があり、今年は2回目。
学校に着くと、昨年会った子どもたちが「あーっ」と声を出して、手を振ってくれます。たった1時間の出会いだったけれど覚えてくれてたのかぁと、うれしくなってしまいます。
今回は、数学・社会・理科の3教科4講座の出前をしてきました。

数学は数列を扱いました。「ハノイの塔」という物語を通して、そこに潜んでいる数学の法則を発見したり、あり得ない答えにびっくりしたり。子どもたちの柔軟な思考や課題に取り組む真剣さ、さらに数列の決まり方に規則性を発見した生徒の発言に、他の子どもたち「おーっ」という声。そういう授業の光景を目にするのが心地よいのです。

菅間さん、岩田さんの授業は「世界貿易ゲーム」という社会の内容。紙の入った封筒をそれぞれの「国」となるチームに渡して、「まるく切ってください」の指示。国によっては、「はさみ」が入っていたりいなかったり。富んだ国には道具が入り、そうでない国には手でちぎれと言わんばかり。“技術大国”日本のチームの封筒には「コンパス」も入っていたとか。そのようにして切り取られた「まる」を商品として、国際競争をしていくそうです。品質の悪いものは売れず、はさみで切ったりコンパスで円を描いたチームはぼろもうけしていく。そうやって現実の世界で起こっている経済格差を疑似体験したそうです。

理科は2種類。生物を扱った塩瀬さんは、「身のまわりの生物のすみかを見なおす」という、生物の授業。生物が住めない社会は、人間にとって住みにくい環境であるのだというメッセージが込められたそうです。また、授業後の保護者の方のコメントでは、カエルが重要な役割を演じたとか。
後藤さんは、「浮く」ことをテーマに熱気球の製作。本気で扱うとひと月以上はかかる内容をざーっと話して、実際に熱気球をつくったそうです。正四面体を逆さにした形の熱気球には小手指小の子どもたちが、さまざまな絵や文字を書きました。実際に熱気球が浮かび上がると、大きな歓声があがりました。
なかの

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2時間50分、環境問題について一気に語る! 田中優さん講演会

2009年11月04日 | 自由の森のこんなこと
25周年企画として卒業生が企画した田中優さんの講演会が行われました。
あいにく、学園祭の実行委員会などが行われており、生徒の参加はちらほらでしたが、講演の内容は目からうろこの話しばかりで、3時間近くくぎづけでした。

冒頭に、21年前の田中さんと自由の森学園との出会いが語られました。チェルノブイリ原発の事故をきっかけに、集会に参加していた自由の森の高校生に会ったのがはじまりです。
周りに合わせて注意深く生きている中高生が多い中で、堂々と自分の意見を持っていたと話されました。

講演の内容は、それは環境と社会との関係について。エネルギーの需給見通し、それと密接に関係する世界の紛争、戦争にからむお金の問題など、講演とそれに続く質疑の時間ぶっとおしで語っていただきました。

田中さんは訴えます。

未来を豊かにしていくための金の使い方がある。
子孫からうやまわれる資格をえるために、今、すべきことがある。

最後に、田中さんが好きだという自由の森の卒業生が加わるグループ、FUNKIST の歌を紹介して講演が終わりました。(卒業生の名前はウィキペディアの自由の森の卒業生の項で見てください)

どんな爆弾にだってできないことがある。
君をやさしく笑わせること・・・・

鬼沢真之

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