自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

国際協力師ってなんだ?

2008年01月23日 | 自由の森のこんなこと
1月16日に高校一年生の特別授業として医師・写真家・国際協力師の山本 敏晴さんのお話を聞く機会がありました。


山本さんは小学校の頃、南アフリカ共和国の人種差別問題を目の当たりにして以来、国際協力に関心を持っていたそうです。山本さん自身が撮影した写真で、世界で最も平均寿命が短いシェラレオネと、内戦状態のアフガニスタンでの医療活動の様子や、少しずつ地球温暖化の影響で島全体が海面上昇のため、沈みつつあるツバルでの援助活動の様子を、丁寧にお話していただきました。


おしつけでもなく、自己満足でもない未来に、現地で残り、成長していく援助の形が一番大切であるとし、

「人に優しい事をすると、その人も他の人にやさしくしてくれて、世界に優しさが広がっていくという考え方があるんです」

と山本さんは語ります。せっかく援助をして病院を立てても、国際協力チームが、現地からひきあげると病院が、閉鎖されたり、現地人の医者や看護士を養成しても、殺されたりするという多くの苦難があったそうです。しかし、そのような状況にあっても山本さんは「未来にずっと続いていける、本当に意味のある国際協力」を実現していく情熱を持ち続けていく事の大切さを訴えていました。その思いを持ち続け、国際協力を仕事にしていく人のことを山本さんは国際協力師と呼んだわけです。高校1年生といっしょに講演をうけた、ある教員の感想を紹介します。


「先生のお話の中で相手の正しさと自分の正しさは同じくらい正しい、という視点は、本当に難しいことですが、これからの私達の心の拠り所として大きなギフトをいただきました。生徒達の感想を読むと、「今日は本当に良かった」「言っている事がよく伝わってきた」「英語をやろうと思った」「環境について考えよう」等のような文としては短いのですが、実際講演後の彼らの様子から先生のメッセージを正面から受け止めていたようです。彼らにとって高校一年生の終わりの時期に先生と出会えた事は幸運でした。」


 自由の森学園の生徒達はカナダ、中国、韓国、ドイツなどの研修旅行に参加したり、授業の中で各国の社会状況や地球レベルで環境の問題、人権や平和の問題を多く扱っています。「世界が100人の村だったら」の池田香代子さんらの特別講演も企画される機会もありました。山本さんが提示された国際協力師をめざそうという人も増えるかもしれません。

モルゲン


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