自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

ぽっかポカシートが冊子になる

2006年03月16日 | 自由の森のこんなこと
 ぽっかポカシートが何と!冊子になりました。数日前の朝、手渡されました。全部で30ページ、会場で書かれた全てのコメントがビッシリ載せられています。ここまでやるかとちょっと驚きです。同じものを見て聞いて、他の人がどのように感じていたのかがよく分かります。自分の感じたことと比較しながらひとつひとつ読みました。 いわば学習発表会の第二幕という感じです。



今朝、最高裁のアンケート結果を目にしました。自分が裁判員となった場合、少年の殺人犯罪に対して成人よりも重い刑を下すとする人が4人に1人いるそうです。
 これを見て、先日の発表会での少年犯罪を扱った中3の発表を思い起こしました。ある少年事件をもとにして少年法改正について考えたものでした。最後に発表したMさんの感想が僕の心に残りました。終了して会場から出てきた彼女にそのことを話し、できれば原稿のコピーをもらえないかと頼みました。翌日、丁寧に清書した文章が校長室に届けられました。その一部分を紹介します。

 「・・彼らは、私たちの認識する悪いことを、悪いこととして認識できない。なぜ罰せられるのかわからない人たちに必要なことは、正しいことをきちんと伝え、補うべきところは補う教育だ。怒り、憤り、葛藤を言葉で表すことができず、物を盗んだり、人を殴ったりして心の安定をはかろうとする人たちに、湧きあがる感情にも名前があることを誰か教えてあげてほしい。そして彼らに共感や受容によって得る安心感を知ってほしい。
 私はこの学びの感想をまとめるにあたって、自分の中にある感情を上手く言葉にできないもどかしさを感じた。それは、犯罪という分野に今まで私が触れたことがなかったために、言葉が見つからなかったからだと思う。犯罪を起こした少年たちは、この気持ちを日常的に感じているのかも知れないと思った。」

 このことは、単に少年犯罪の問題ではなく、学ぶということの目的そのものなのではないかと思います。

おにざわ

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ぽっかポカシートの意味するものは

2006年03月10日 | 自由の森のこんなこと
 中学学習発表会2日目。中学3年生の「森の時間」と教科の発表がありました。
 さすがに時間をかけて練り上げてきた発表でした。見ていて、「渾身」という言葉が浮かんできました。

 その発表の合間に、司会から「ぽっかポカシートに感想を書いて下さい」とアナウンスがされます。このぽっかポカシート、変わったネーミングですが、単なる感想文用紙ではないようです。昨日の開会にあたり実行委員長のTさんはこのように語りました。
 「ぽっかポカシートのぽっかは、心がぽっかぽかするような言葉を、ぽっかポカシートのポカは、ポカ程度の言葉なら受けとめますという意味をもっています。今年の学発は、共有を大事にしたいと思っているので、発表、展示を見て思ったことを、ぜひこのシートに書いて下さい。」
 学習発表会の意味をしっかり言い当てていると思いませんか。おべんちゃらばかりではなく、ちょっと辛口の批評も受けとめますと言うところに、何か作ってきた彼らの自信のようなものを感じました。

 会場を見渡してみると、かなりの生徒や保護者がペンを走らせていました。何か書きたい、伝えたいと思う発表の連続だったと思います。おつかれさま。

おにざわ

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高校卒業発表会がありました

2006年03月06日 | 自由の森のこんなこと
高校学習卒業発表会が、2月27日から3月1日にありました。高校全学年がお互いの学びを見合う事と、確かめあう事を大切にしようという主旨でした。

有志の発表もいれると約10日間に及ぶ日程でした。日常の授業で、とりくんできた中味を体育館や各教室を使って各教科の内容を発表したり、展示をしました。講堂では、体育の授業で習ってきた太鼓・踊り・マットが披露されたり、観客を魅了する選択講座の中国舞踊もありました。



例えば、高校の化学では授業の内容がわかる生徒のノートや、その授業で使った教材、生徒の作品、授業のねらいとそれらを通しての生徒たちの感想が展示されました。(写真は金属の性質についての授業内容についての展示です)



見学にきてくれた人たちに感想を書いてもらう「ポカポカシートが良かった」(読んで心がポカポカすることを願ってつけられたそうです)や大切にしたいことだったお互いを見合うことが、けっこう広まっていた」という実行委員会で、よかった事が報告されました。

しかし、まだ多くの不十分さや見せ方にも工夫が必要だったという反省の意見も出されました。「こうしたお互いの学びを共有すること、良かった点を受け継いで、さらにいいものにしていってほしい」と3月4日の卒業式で、ある生徒が在校生に向けて語りました。このような事で、学習発表会が、学びの「文化」として受け継がれていくのだと思います。

「高い表現」と「深い学び」の質を高めていこうと生徒達自ら、声をあげている事に感銘しました。

しおちゃん

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