自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

中学校の卒業式

2010年03月13日 | 自由の森のこんなこと
とてもいい卒業式でした。
卒業生たちの入学式のときのテーマは「オーケストラ」。そして、今回の卒業式のテーマは「音符」。実行委員長からはテーマについての説明や、卒業生に向けた想いが語られました。
一緒に音楽をつくってきた音符たちが卒業を機にそれぞれ中学校という場を離れ、これからつくる時間の中で新しい音楽を再びつくっていく。そういうメッセージが込められていたように聞こえました。
彼女は想いを綴った台本を家に置いてきてしまったそうです。両腕にはびっしりと原稿が書かれていました。
会場は、テーマに即して、たくさんの音符の吊りものや電飾されたオブジェなどがありました。会場も、プログラムのひとつひとつも、すべて手作り。
準備をしたのは中1・中2の生徒たちです。
中2の人たちはあと1年すると、今日の卒業生のように舞台に上がって在校生たちに送られていきます。中1の人たちは、ひとつ上の学年の卒業式を仕切ります。
学校とは、そうした時間の流れる場所なのだなと、つくづく思います。
在校生からは卒業生に向けての想いを言葉や歌で、そして卒業生から会場にいる人たちへ、さまざまな想いを語っていました。
とてもあたたかな雰囲気の卒業式でした。
なかの

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中学卒業式を終えて

2010年03月13日 | 自由の森のこんなこと
自由の森学園中学校3年生76人が、今日卒業していきました。
いまの世の中の姿をがんじがらめになってきていると感じてしまっている私にとって、そこに近づいていく卒業生たちに「世の中は厳しいとこだ、その厳しさを知れ」というようなメッセージを送ることに、ずいぶん前から違和感をもっていました。
確かに厳しいこともあるだろうけれど、過酷な制度やルールに順応していくだけではなく、そうした価値観を問い返すような、あるいはもっと新しい別の価値観をつくり出していくような、そういう力をつけていってほしいと願って、卒業生たちに思いを伝えました。

私は卒業生たちの数学の授業を2クラス担当していました。学年末、その中の生徒のひとりが「数学とはあきらめることも必要」と自己評価表に書いてきました。彼は「むずかしい問題をやっていて、できないと思ったら今まで考えていたことを0にするのもありだと思う」と続けていました。
学校で扱う数学は、言ってみれば全部「解ける」問題です。それしかやらない。解き方はいろいろありますけれど、必ず解ける。だけど、世の中の数学の世界では、まだ未解決であるとされている問題が、ごろごろしている。そして、数学の難問とされているものは、多くの研究者が解明するために蓄積してきた道具そのものが、解明のためには役に立たないということを、数学という言語の体系が否定的に証明してしまうこともあるんです。
努力がたらない、根性がたらない、そういうことではなく、研究対象を解明するための道具そのものが違っていたということ。数学などの自然科学は貪欲ですから、まったく別の道具を借りてきたり、組み立て直すことでさらに立ち向かう。彼の言う「あきらめる」は、そうした視点の切り替えや、考え方を一度リセットする必要を書いているんです。

大人になっていくということは、新しく身につけていくものを獲得すると同時に、自分が持っていたものを削ったり手放したりもしていきます。だけど、適応する、順応するということが主目的であると、そこから外れてしまう人たちはいったいどうすればいいんだろう? たとえば数学の研究の仕方のように、価値観をガラッと転換していくことが、煮詰まった世の中をどうにかしていくきっかけになるのかもしれない。そのためには、大人になっていくまでの比較的長い時間を、大人になるための準備ではなく自分をつくるための「貯める時間」にしてほしいという願いを込めて、話をしました。

みんな、卒業 おめでとう!
なかの

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新しい掲示板

2010年03月12日 | 自由の森のこんなこと
卒業する中学3年生の保護者会より、事務局前玄関に時計と掲示板を寄付いただきました。
生徒もよく使う出入り口なので、時計があったら便利と保護者にみなさんが話し合ってくださいました。また、掲示板も連絡用の黒板を長く使っており、玄関にふさわしいものをということで、素敵な掲示板に取り換えていただきました。枠はヒバ、内側はコルクを使ってこのために製作していただいたようです。
玄関の雰囲気がすっきりしました。ありがとうございました。
鬼沢真之

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大気圧とはこんなにスゴイのか!!

2010年03月10日 | 自由の森のこんなこと

中学の学習発表会はどの発表もよく準備されたものでした。
なかでも、正直ブッタマゲタのは中1理科の発表でした。ステージの公開実験はアルミの飲料容器と1斗缶を大気圧で押しつぶす実験でした。中の水を沸騰させて水蒸気を充満させ、その後、ふたを閉めて急激に冷やすことで、内部が真空に近い状態になり、外からの圧力で押しつぶされます。

休みには、それの拡大版として中庭でドラム缶で同じ実験が行われました。ところが、ドラム缶は水をかけてもかけてもびくともしませんでした。

発表会が終了後、中1チームは再度挑戦。
今度は、火力を強めて出てくる水蒸気を多めにします。
さて、いよいよ冷却。

もうもうたる湯気でドラム缶も見えなくなりました。
しかし・・・・やっぱりドラム缶には変化なし。
担当の後藤幹さんの表情には焦りと困惑の色がありありと。

すでに冷却し始めてから数分が経過。ダメなんじゃない?とあきらめて帰ろうと後ろを向いたその瞬間、バアン!!と大音響がとどろきました。びっくりして振り向くと見事にドラム缶がべっこりへこんでいました。

ドラム缶にかかっていた力は朝青竜が130人が乗っかった力なんだそうです。中学1年の理科では、大気圧のような力や熱をツブツブの概念で理解できるような授業を展開してきました。空気の粒子なんて見えないのに、ものすごい力がかかっているのですね。いま、こうやって人間が生活できるのが不思議です。
鬼沢真之

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雪が降りやまず

2010年03月09日 | 自由の森のこんなこと
午前中から雪が激しく降り出し、学校の周辺は真っ白になっています。
街中は積もっていないかもしれませんが、この調子で降り続くと、明日は積雪が予想されます。

明日は中学の学習発表会。
お車でおいでの方は、くれぐれもお気をつけて。



(写真は3月9日 15:00現在)
鬼沢真之

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'09年度の高校卒業式が行われました

2010年03月06日 | 自由の森のこんなこと

 心のこもったいい式だったと思います。
 彼らが巣立っていく時代をイメージしながら、メッセージを伝えました。

09年度高校卒業式あいさつ

卒業生のみなさん、卒業おめでとう。
保護者のみなさん、お子さんの卒業、おめでとうございます。
みなさんから多大なるご支援ご協力をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

さて、卒業生のみなさん、
今年度は自由の森学園創立25周年であり、みなさんはその記念すべき年に卒業します。

自由の森学園の教育のルーツを少しさかのぼってみましょう。
先日、図書館発行のVOICEに書かせてもらいましたが、自由の森学園の教育思想のDNAをたどると、私は「大正自由教育」というものに突き当ると考えています。富国強兵の道を突き進んできた当時の日本にあって、国家のための教育ではなく、子どもの視点から教育をとらえなおす運動が生まれ、いくつもの新しい学校が誕生しました。これらは世界的に共通した流れとしておこり、同時代のヨーロッパの国々やアメリカ、ロシアにおいても同様の動きがありました。例えば、フランスのセレスタン・フレネがつくったフレネ学校などはその典型だと思います。国家のための教育を否定し、生徒の自由と自治を土台に作られた学校です。

その後、日本では戦争の荒波にのまれるなど必ずしも大きな流れとはなりませんでした。この約1世紀も前からの細いけれども途切れることのない流れを一言で言うなら、「人を人として大事にする思想」と言えるでしょう。

みなさんは、その教育思想を土台に学び、生活してきたのだと思うのです。卒業の日にあたり、みなさんに、自分が学んできた学校と教育の地下水脈をあらためて感じてほしいと思います。

みなさんは今日でこの場を離れますが、自由の森から遠く離れるのではありません。
卒業したとはいえ、あなたたちのこれからの生き方の総体が自由の森であると私は思うのです。
どこにいても、みなさんの生きていく姿が豊かな森となっていくことを願ってやみません。

卒業おめでとう。


(2010.03.06 卒業式にて 一部抜粋)
鬼沢真之

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