自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

すごい! びっくり! 手品部

2008年02月09日 | 自由の森のこんなこと
先日、図書館で手品部の一般公演会が行われました。中学1年生の2人からはじまった手品は「すごい!びっくり!」の連続でした。1人の観客からトランプカードを一枚選ばせて、(その一枚をマジシャンには見せず)観客全員に見せた後でそのトランプをビリビリに破いてしまい、それをハンカチの中に入れて消してしまいました。「カードはどこへいってしまったのでしょう?」という言葉の後、なんと机のうえにあったレモンをナイフで切ると、中から消えたはずのカードが出てきたのです。

次に現れた中学一年生の生徒はまず、ふうせんを割ります。そして、同じく観客に選んでもらったカードの種類と番号が、(例えばハートの7)最初に割ってみせた2つの風船の破片になっている(片方がハートの形、もう片方が、7の形になっている)という、これも、拍手喝采の手品を披露しました。

続いて高校生2人がコインやペンを使ってのマジックやカードがハート型になる見事なマジックを見せてくれた後、中国で行われた世界マジック交流会で4位になった卒業生と、この自由の森でのマジック公演会のために駆けつけてくれたプロのマジシャンとして活躍している卒業生が、あざやかなマジックを披露してくれました。中学・高校レベルで、手品部があるというのも珍しいのですが、そのレベルの高さに「びっくり」しました。

マジックの技術だけではなく、観客との対話も大変に上手で、場全体をいかに、ドラマチックに演出していくかについても工夫がされていました。

このクラブを指導し顧問でもある、数学科の藤村さんのマジックも観客を魅了していました。

正直、中学生・高校生に高等なマジックできないだろうと先入観があったのが、完全にくつがえされました。このクラブの今後の活動を応援していきたいと思っています。


モルゲン

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中学総合講座「生きさせろ」の課外授業

2008年02月05日 | 自由の森のこんなこと
中学三年生では現在、総合講座がおこなわれています。この講座には

1.「現代日本の貧困と生存をめぐって」をあつかう「生きさせろ!」

2.障害のある人たちへの支援について

3.南極の氷がとけている原因の地球温暖化をめぐって

4.学校の排泄物はどこに行っているのか

5.広島で被爆したピアノ(被爆ピアノ)で演奏をきこうの5つの選択に生徒は別れて学んでいます。


そのうち、1の現代日本の貧困と生存をめぐっての講座に参加し、ホームレスの人たちのインタビューとご飯のたきだしボランティアを体験してきました。

都内に初雪がふって数日の身を切る寒風の中、講座をとっている生徒達と担当教師菅間さんと午後5時に新宿中央公園に集まりました。ボランティアを主催しているNPO「もやい」のスタッフから、ホームレスの方たちへのインタビューとごはんの炊き出しの手伝いをしました。


中学生がせっかく来たという事もあり、 3時間も並んで配給を待っていた350人ほどの人たちに、スタッフの人たちの勧めで、生徒達がごはんを手渡しました。700食以上のごはんを用意したのですが、なぜか配膳までの3時間前からホームレスの人たちが並んでいるのが理解できませんでした。しかし、配膳がはじまってから、すぐにその理由がわかりました。最初に並んだ人たちは、すぐにその場でごはんをかきこみ、二食目を受けとろうとまた列の最後尾に並ぶのです。

ホームレスの人たちが三列ごとにならび、生徒達がごはんを配ると

「ありがとう」

という感謝や、中には

「ごめんね」

という言葉をかけてくれる方がいて、生徒達は言葉にできない思いを心に深く感じたようです。

ある生徒の感想です。
「2008年1月27日、新宿中央公園に行きました。東京都庁の庁舎の、そのすぐ横にある公園です。そこに、午後6時頃、薄暗くなってくると、どんどんと人が集まってきます。300人以上の人たちが、集まってきます。なんとその全員が、ホームレス、家が無い人でした。その日、炊き出し(ご飯を配る)があったので人が集まってきたのです。

 中3森の時間「生きさせろ!」コースで、ホームレスの人たちに聞き取りをするために行きました。そこで、実際に、ホームレスの人にはなしを聞くことが出来ました。「仕事がない」彼らが口を揃えて言うのは、その一言でした。40歳くらいまで建築・土木関係で働いてきて、その後、バブル崩壊と老齢、という2つのどうしようもない問題によって、就職先を失った、という楽しくない過去を語ってくれた人もいました。ジョークを飛ばす、明るい、『普通』のおじさんでした。

 「みんなは悪くない。自分が悪い」もう1つ彼らが口を揃えて言う一言は、それです。誰も責めずに、自分に責任を感じていました。本当に『普通』(という言い方は悪いかな)で、いい人なのに、路上生活を余儀なくされていました。そして、1回路上生活に入るともう抜け出せない。僕は、そういう人たちを生み出す社会は、やっぱりおかしい、と感じました。 

 これは小さな個人の問題というより、大きな社会の問題です。ホームレスの人、1人ひとりが苦悶し続けている現状はおかしくて、みんなで一緒に考えていかないといけない、と思いました。僕も一緒に、考えていこうと思います。」

モルゲン

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