自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

森 毅 さんが亡くなった

2010年07月31日 | 自由の森のこんなこと
自由の森を卒業した後、数学の大学に行くようになって、数学者 遠山 啓 さんの書いた本などを読みあさったりしていました。遠山さんのある本の「あとがき」を 森 毅 さんが書いていて、とても印象に残っている文章があります。

数学の本を書くことについて、遠山から学んだことに、なにを書くかより、なにを書かないですますかのほうが、ずっと重要だということがある。自分が学んだこと、自分が考えたことなら、書く気になればいくらでも書ける。むしろ、本の全体のために、それを書かないでおくことのほうが、著者の判断の真価が問われる。そうした思い切りの良さが、遠山の本の価値の大きな要素だろう。

---遠山啓著 関数論初歩 日本評論社



  なにを書くかというよりも、なにを書かずにおくか。

なにもかもを網羅的に書き尽くすのではなく、その次の世界の広がりを読者にゆだねているのだというふうに感じました。私にとっては、本に書かれた「関数論」の内容に加えて、ちょっと衝撃的に飛び込んできた、森さんの「あとがき」でした。

もうだいぶ以前のことになりますが自由の森学園にも来校されたことがあり、当時高校生だった私も、森さんのお話を聞く機会がありました。

数日前の「天声人語」に、森さんと学生のやりとりが載っていました。大学の授業で出席をとらなかったとき、出席をとってほしいと学生が言ってきたそうです。その学生への森さんの言葉は

「よっしゃ、出席してないヤツは少々答案の出来が悪くても同情するけど、出席したくせに出来の悪いのは容赦なく落とすぞ」

来校されたときもそうでしたが、ご自身の持つ「こうであらねばならぬ」というのはあまり表に出さず、外からの「こうであるべき」というものに対して、それを揺さぶるようなものの言い方をいつもされていたように思います。
なかの

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韓国河南高校で林業の授業

2010年07月27日 | 自由の森のこんなこと
韓国からの招待で河南市にある河南高校に行ってきました。
7月は自由の森学園から僕と社会科の藤原さん。9月には、河南高校から2名の社会科の教師が自由の森にやってきます。
藤原さんは、日本の教科書に描かれた植民地支配の内容を伝える授業。
僕は日本の森林と林業についての授業をしました。
イースター島をはじめ、多くの古代文明が森林を破壊したことによって衰退した事実、現在の世界の森林破壊の実態、日本の林業の抱える問題、法隆寺をはじめとする日本の木の文化などをテーマにすすめました。

韓国では、日本ではポピュラーなスギやヒノキがありません。(南の済州島にはあるそうです)なので、小道具としてヒノキオイルのスプレーを配って、ヒノキの香りを体験してもらいました。「これが日本を象徴する香りです」。
最後は、割りばしの話しをして、お土産に国産材で作った割りばしを一人ひとりにプレゼントしました。「今日の授業をふり返りながら、夕食のときに使ってください」

河南高校は私立高校なのですが、授業料は公立高校と同じだそうです。教職員の給料も国家が負担しているのだとか。似た教育システムをもった韓国ですが、そこはだいぶ違う見たいです。

そうそう、下の写真を見てください。教室の後ろにある背の高い机。これ、何だと思いますか?授業見学にはちょうどいい高さです。「校長先生とかが授業を見て回るためのもの?」
生徒が、笑いながら教えてくれました。「ここで授業を受ければ居眠りできないでしょ。」
さすが河南高校。

鬼沢真之

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たくさんの山を乗りこえて終業

2010年07月27日 | 自由の森のこんなこと
23日、終業の会と合唱交流でいよいよ夏休みに入ります。
6月は百日咳の大流行で学校が閉鎖されるなどあり、みんなで合唱を行うのは無理かもしれないと思っていましたが、何とかおさまりました。と思ったら、梅雨明け以降はものすごい暑さ。近年は暑くなる前に終業だったので、体育館のコンディションが心配されました。
グランド側のドアを開放して風を通すと何とか座っていられます。

7月の合唱交流は、全校が集まって初めて各学年の歌声を聴きあう場です。それぞれの学年の歌声から学年のカラーが伝わります。全校合唱も4月以降初めてです。高校生の中には浴衣姿も数名います。

音楽祭や公開研究会でも全体合唱はありますが、客席が教職員だけになってしまうのは7月の合唱交流だけです。がらんとした体育館に全校生徒の合唱が響き渡るこの瞬間は、他では経験できません。ちょっと役得かな。

暑い夏、みんな元気で乗り切ってくださいね。

鬼沢真之

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修学旅行の報告会

2010年07月17日 | 自由の森のこんなこと
7月5日から9日までの4泊5日の修学旅行の報告会がありました。
生徒たちの、映像や写真を使っての説明や語られた感想などを通して感じたことは、修学旅行でのさまざまなことをひとりひとりがしっかり受け取って帰ってきているのだなということ。
後半の日程では、65年前の沖縄戦のさまざまな爪痕や、移設をめぐってより大きく扱われるようになった基地問題を考えさせられる場所を訪れました。すべてのものを破壊し尽くしてしまう「戦争」の存在に直面し、自分たちがそこから何を受け取ってきたのかを、生徒たちはとてもていねいに語っていました。

音楽ホールには、報告する側の中3の人たちに加え、これから修学旅行をつくりはじめる中2の生徒たちや、中3の保護者の方たちでいっぱいになりました。
なかの

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中学3年の修学旅行に行ってきました。

2010年07月13日 | 自由の森のこんなこと
今年の修学旅行は、前半は伊江島・座間味島・久米島の3つのコースに分かれてそれぞれの時間をすごし、後半は那覇で合流して全体で動きました。

私がついていったのは、久米島のコース。海に出かけての「イノー観察」では、ナマコを手に取ったりたくさんの種類の貝や貝の卵塊、カニの抜け殻を見つけたり。案内をしてくれた「島の学校」の方からいろいろと教わりながら、海や浜で過ごしました。
2日目は、朝からハテの浜という白い砂だけでできた島に渡り、海に潜ったりして珊瑚やそこに群がる熱帯の魚たちを観察。午後は、久米島で暮らす家庭におじゃまして、お菓子をつくったりお手伝いをしたり。
私もそれぞれのご家庭を訪問しましたが、手作りのサーターアンダギーをたくさんごちそうになりました。久米島には4年前にも修学旅行で訪れたそうで、そのときにお兄ちゃんが訪問していた家庭に今回は妹がホームビジットをしたことが判明。すごいびっくり。
3日目は、午前中は島を自転車でまわったり、近くを散歩してみたり、生徒たちそれぞれが久米島をいとおしみながら那覇へ向かいます。
那覇のホテルでは、久しぶりに学年の生徒たちが合流したので、それぞれのコースのことを話したりしながら賑やかでした。

4・5日目は、朝からバスに乗り、シムクガマ・チビチリガマ、佐喜眞美術館、ひめゆり資料館、平和祈念公園などをめぐりました。
余談ですが、よその中学校の修学旅行にも出会いました。そこの添乗の仕事をしていたのが自由の森学園の卒業生。しかもその中学校の教師をしている人も自由の森学園の卒業生だというので、会ってみたら私と同期の人でした。とてもびっくり。

学校に帰ってきてからは、修学旅行の報告会に向けた話し合いなどが行われます。
なかの


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西中学校で出前授業してきました。

2010年07月09日 | 自由の森のこんなこと

2年ほど前から、飯能市内の中学校に同じ飯能市内の高校の教師が出向いて中3生に対する「出前授業」が行われています。飯能高校の先生たちを中心に、「地元の子どもたちを地元で育てよう」という主旨で、地元の高校(飯高、聖望、大川、自由の森)の授業の面白さを各中学校に出向いてアピールする企画です。
秋には、2年生を対象に飯能高校に各中学校の2年生を集め、授業をしたりクラブ紹介を行います。

8日は、修学旅行や学年ワークなどで教員が出払っていたこともあって、西中で「出前授業」をしたのは数学の増島さんと社会科の私。久々に社会科の授業を中学3年生とすることができました。5時間目の生徒たちは、かなり緊張気味でかたい雰囲気からスタートしました。一方で、6時間目の生徒たちは、うちとけて和気あいあいとした雰囲気で参加していました。ちょっと眠そうな隣の生徒をつついて起こしてあげる生徒もいて感心です。同じ授業でも始めと後とではだいぶ違うと他校の先生たちも語っていました。

多分西中の保護者の方々だと思いますが、ドアの外から授業の様子を見ている方も何人もいらっしゃいます。
教師にとっても、他校の授業はどんな感じなのかわかってとても参考になります。控室では飯能高校の社会科の先生と教材プリントの交換をしました。ナルホド、ナルホド。

今日9日は今度は飯能1中。西田さんと町田さん(数学)が「出前」です。

鬼沢真之

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東京説明会が行われました

2010年07月03日 | 自由の森のこんなこと
今年度は東京での説明会は2回、また関西・神戸での学校紹介の機会も得ることができました。
今日は 東京・池袋にて、今年度最初の、第1回目の学校説明会が行われました。

先日保護者の方から寄付をしていただいたトラックに生徒の美術作品をたくさん積み込み、今回の会場の壁面などに絵画・染織の作品がかけられ、木の器やイスなどの木工の作品も並べられました。
やはり、生徒の美術作品がある会場は、学校とは別の場所であったとしても、どこか自由の森の雰囲気をつくりだしていて、不思議な安心感があります。

教育の理念の話や、選択授業や学校行事、総合学習としての修学旅行や中学の「森の時間」など学校生活の説明、美術作品から見える「表現」の時間の話などがありました。また、自由の森学園をこの春に卒業した卒業生からは、在学時の具体的なできごとからいま通っている大学への進路をひらいていくまでのことなどを、また在校生の保護者の方からは、いまの自由の森で過ごすお子さんのことを、ご自分の生き方や子どもの生き方に触れながら、話していただきました。

次回の東京説明会は9月4日(土)。高田馬場で行います。
東京YMCA山手コミュニティーセンター

また、7月25日(日)には、夏のイベント「学びの森ネイチャーフェスティバル」のご紹介をしながら、神戸三宮において自由の森学園のご説明も行います。
>詳しくはこちら
なかの


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保護者からトラックが寄贈されました

2010年07月01日 | 自由の森のこんなこと


 これまで、公演や学校外の説明会などで資材を運搬するのに苦労していたのを見かねて、保護者のMさんがトラックを寄贈して下さいました。
とにかく、きれいで学校名も目立っていてびっくりです。
荷台の中をのぞくとさらにびっくり。
公演の着替えができる装備まで整っていて至れりつくせりです。
これからこのトラックが埼玉や東京をはじめ、全国を走ることになります。
Mさん、ありがとうございました。大切に使います。


鬼沢真之


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