自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

「自動車工場で働いてました」

2005年01月21日 | 自由の森のこんなこと
校長室に昨年卒業したA君が訪ねてきました。専門学校に行くことにしたので調査書を書いて欲しいとのこと。
「専門にいく学費を稼がなきゃいけないんで、愛知県の自動車工場で6ヶ月働いてました」
社会科の教員なら誰でも知っている、あの「期間工」です。



 自動車のドアとフードの取り付けをやっていたそうです。毎朝5時半のバスに乗って出勤し、3時過ぎまで働きます。一台の間隔が50秒から70秒、生産台数によって変わるとか。
 「ずっと立ち仕事じゃしんどかっただろう?」
 「立ち仕事じゃないっす。歩き仕事とか走り仕事なんで・・・。」

 一番辛かったのは夜の勤務から朝の勤務にシフトするとき、寝られないのだそうです。夏場は脱水症状で工場内で誰かが倒れるらしく、毎日工場の中に救急車が来ていたといいます。工場の中を救急車が走るっていうのもすごいですね。同期に入った仲間の二人は早々と辞めてしまったのに、彼は半年間、無遅刻無欠勤でやり遂げました。
 「まさかそんなに頑張り屋とは思わなかったよ。」
 「でも、もう行きたくないです。奴隷みたいなもんだから。」

 学校では学べないものを経験してきたみたいです。下の兄弟たちのために自分の学費は自分で働いて稼ぐという優しいAの未来が開けるように、思いっきり応援してやりたい。
 

おにざわ

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「自由とはなんぞや」

2005年01月20日 | 自由の森のこんなこと
夕方遅くなって職員室で教頭の平野さんたちと話していると、一人の高校3年生がやってきました。アンケートに答えてもらいたいとのこと。来週の高3最後の授業でプレゼンするための資料にするのだそうです。

今、社会科の授業でレポートのプレゼンテーションを行っています。夏から各自が書いてきたレポートを後期の授業では一人ひとり発表するというものです。つい先日、8組の授業に顔を出したことがあります。二人の生徒がプレゼンを行い、それに対して質問したり意見を述べたり。テーマは「日の丸・君が代」と「自由の森生徒の減少から見えてくるもの」です。僕は後者の発表を聞きたかったのだけれど、僕が教室に行ったときには議論が終わりかけていました。残念。受験者を全て受け入れるべきであるという主張をめぐって話していました。

さて、職員室に入ってきた彼女のアンケートは、「自由の森学園の自由とは」というものでした。「一言でもかまいません」なんて書いてあるけれどもそうはいかない。こりゃ重い宿題を抱えてしまった。でも、しっかり答えてあげたいと思っています。

ついでですけれども、始業の日に図書館の大江さんから東京新聞の連載記事のコピーをもらいました。「60年目の自由」と題する特集記事は、教育の現場に吹き付けている新自由主義的改革のなかでどのような問題が起きているのかを丁寧にに取材したものです。「学力低下ブーム」の中でこのような記事を載せた東京新聞はさすがと思います。
『「自由とはなんぞや」。60年前、こう書き残して特攻で死んだ学生がいた。戦争は終わり、生き残った者はそれを手に入れた。自由をおう歌し、豊かさを享受した。だが今、自由が揺れている。・・・・自由とは何なのか・・・』
東京新聞1月1日付

おにざわ

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卒業生からの年賀状

2005年01月14日 | 自由の森のこんなこと
おそくなりましたが、あけましておめでとうございます。
今年も僕なりの切り取り方で、自由の森の匂いをお伝えできたらと思っています。

 年が明けて一番うれしかったことと言えば、卒業生からの一通の年賀状でした...

...昨年まで担任していた5組のある生徒の年賀状に、就職できましたと書かれていたのです。
 3年間、いろんなやり取りを試みたものの思うようにコミュニケーションが取れない生徒でした。
 卒業にはこぎつけましたが、その後のことについては何も手助けができないでいました。その賀状には、ある会社に就職しみんなに優しくしてもらっていると大好きなイラストともに書いてありました。できたこともそうだけれども、
これまでなかった気持ちが感じられて、僕にとっての代えがたいお年玉になりました。

 学校の北側の斜面にはまだ雪が残っています。週末にまた積もるかも知れません。来校される方、路面の凍結が心配です。お気をつけて。

おにざわ

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