年月に関守なし…… 

古稀を過ぎると年月の流れが速まり、人生の終焉にむかう。

満員電車に乗れず

2016-01-20 | 俳句&和歌
◇◇◇  満員電車に乗れず

 記録的な暖冬か続いていたが、18日早朝には南岸低気圧の発達で関東地方は雪に見舞われた。東京23区でも積雪を記録し滅多にお目にかかれない雪景色を見せてくれたが、如何せん5㎝位では綿帽子のような深々と鎮まる、視界が一変するような雪景色にはならなかった。
 しかも、雪は小雨に変わりシャーベット状の醜い斑模様に変わり、夕刻には雲の切れ間から冬陽が射し始めていた。だが終わってみれば「滑って頭の骨」骨折など206人が怪我をしたと報道された。
 たかが「これっぽちの雪」だったのだが、交通機関への影響は甚大で航空便と高速道路はマヒ状態となった。とりわけ鉄度は壊滅と云っても過言ではない。来ない電車でホームは一杯、改札口から駅舎外まで乗客の列が延々と続いた。こういう時に通常では見聞することがない思わぬ事態が飛び出して「そうなのか」なんて事があるものである。
 玉ノ井部屋の東輝は午前6時半に部屋を出て国技館に向かった。電車は遅れに遅れ、ようやく来る電車も超満員で力士の渾身の押しでも乗車出来ない。なにしろ125キロの巨漢、乗り込むスペースが確保できない。結局、2時間遅れで到着し、予定の18番後に翔希と対戦、決まり手は押相撲ではなく「寄り切り」で初白星をあげた。
 宮城野部屋の翔希(しょうき)は 74キロの西序二段八十六枚目の弱冠17歳。午前7時に場所入りし、相手がいつ来るか分からないので気持ちが切れた「待ちぼうけ」の末に敗れた。幕下以下の彼等を正式には力士養成員と呼ぶ。
 東輝も翔希も特段の出世をして関取にならない限り、ニュースになるのはこれが最初で最後である。それにしても6:30の出勤時間とは早いナ~

 
 
 
  黒星を十個並べて金星や笑みは半分マイクに向かう
 
  大銀杏乱れ清しく前頭大関倒しどっと転がる
 
  臥牙丸や大砂嵐の面魂 故国背にして猪突の蹲踞


 

   悴かんで立合う前に往される

   懐手サッと手を抜く審判団
 
   初場所に冴ゆる力士の玉の汗

 
 
 
※東輝(あずまひかり)=東序ノ口筆頭の22歳。部屋は足立区西新井4
※悴む(かじかむ)=手足が凍えて思うように動かなくなる。 冬の季
※往なす(いなす)=急に体をかわして、攻撃に出る相手の体勢を崩す
※冴ゆ(さゆ)=透き通ったような、凜とした様子。 冬の季