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Mina, Dalida, Barbara, Laura, Lara....美人大好き! あっ、Mihoが一番好き

LPレコードの紹介(No.015)  CARO THEODORAKIS IVA

2016年06月15日 | LPレコード紹介

 

 イタリアの女性カンツォーネ歌手の中でも、いわゆる実力派を挙げるなら、どうしても忘れることのでさないのが、このレコードですばらしい歌を聞かせてくれるイバ・ザニッキです。その歌声は、ゆたかな知性にあふれるとともに、女らしい情感をたたえて、やさしく人々の心を包み、あるいはドラマティックな表現で、力強く曲調を盛り上げて、深い感動を与えます。ハリのある美しい声といい、適確な解釈といい、みごとなテクニックといい、名実ともにかねそなえた第一級の歌い手です。
 しかも彼女は、なかなかの美人スターで、女優として盛んな活躍を見せていますから、まさに鬼に金棒というわけです。とくに、近年、イバ・ザニッキは一段と円熟練を増し、次々に意欲的なアルバムをレコーディングして、大いに話題を賑わしています。シャンソン界の大御所シャルル・アズナヴールの歌に取組んだLPもそのひとつですが、ここではさらにレパートリィをひろげ、ギリシャのすぐれた作曲家ミキス・テオドラキスの作品をとりあげ、新たな境地を開拓しました。エキゾティシズムのただよう名曲のかずかずが、そのチャーミングな歌声にいろどられて、ふくいくたる香りを放っています。又とない聞きものでしょう。
 イバ・ザニッキその人については、今さら申すまでもないかも知れませんが、彼女は1941年1月18日、北イタリアのレッジョ・ネレミリアのリゴンキオで生まれた人。祖母はオペラ歌手でした。その血を享けた彼女も、幼ないころから音楽的才能を示し、1961年、20才の時、故郷の町のコンテストに出場して優勝、翌’62年、カストロカーロの新人コンテストでうたって第1位の栄冠をかちとりました。この優勝者には、名高いサン・レモ音楽祭への出場権が与えられるのですが、あいにくザニッキは扁桃線の手術のため、せっかくのチャンスをフィにし、しばらく時節を待たねばなりませんでした。その間にも、テレビに出演して歌と演技ご好評を博し、1964年には「夏のディスク・フェスティバル」に出場して、「コメ・ティ・ボレイ」という歌をヒットさせました。こうして、1965年、サン・レモ音楽祭に初登場した彼女は、この年は入賞を逸しましたが、翌’66年、「別れの夜」をうたって入賞、さらに’67年、クラウディオ・ピルラをパートナーに、「愛のわかれ」でみごと優勝の栄冠をかちとり、スターの座についたのです。1969年のサン・レモ音楽祭では、「涙のさだめ」によって、ホビー・ソロとともに再度の優勝を果たし、1970年にはセルジヨ・エシドリゴの「ノアの箱舟」で第3位をかくとくするなど、順当な歩みをつづけて今日に及んでいます。1971年の歌謡祭は、レコード会社の事情で出場しませんでしたが、その代り充実したアルバムを世に送って、真価を発揮しているわけです。
 イバ・ザニッキがうたう、これらの曲を作曲したミキス・テオドラキスは、「その男ソルバ」などの映画音楽で世界に知られたギリシヤの作曲家。彼はギリシヤのアテネに生まれた人で、音楽の基礎教育を受けたのち、王立芸術学校に学び、ヴァイオリンや作曲法をマスターしました。そして、ヴァイオリニストとしてデビュー、ロイヤル・フィルやフィルハーモニア・オーケストラを経て、アテネ交響楽団のコンサート・マスターをつとめました。映画音楽界に足をふみ入れたのは、1955年のことで、「裸足の部隊」というギリシヤ映画がその第一作でした。やがて、1957年のイギリス映画「将軍月光に消ゆ」で頭角を現わし、1962年には「死んでもいい」、’63年にはフランス映画の「テルエルの恋人たち」、「真夜中へ5マイル」、’64年には「エレクトラ」のスコアを書さました。そして同年、アンソニー・クインの主演による20世紀フォックス映画「その男ソルバ」の音楽を担当し、ギリシヤの民俗楽器ブズーキやサンドーリなどを使ってみごとな効果を挙げ、大成功を収めたのです。さらに、1967年には「魚が出て来た日」、’69年には「Z」の音楽を作曲し、大いに才腕をふるいました。なお、彼はギリシヤの軍事政権から、左翼的な行動をマークされ、1962年以来、2度投獄の憂き目に会っていますが、それに屈することなく、国外に身をかくして、創作活動をつづけています。
 このレコードでうたわれる彼の作品も、詩情ゆたかな佳曲ぞろいで、民俗楽器を加えた伴奏や素朴なコーラスが、エキソディックなムードをかもし出し、イバ・ザニッキの歌声が、その魅力をたっぷりと味わわせてくれます。では、テオドラキスとザニッキが、息の合ったコンビを組んで作り上げた、これらの名曲名唱に、耳を傾けることに致しましょう。(解説・永田文夫)


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