Jerry Emma Laura Piano

Mina, Dalida, Barbara, Laura, Lara....美人大好き! あっ、Mihoが一番好き

チェコでの一コマ

2013年09月28日 | 腰折れ文
Erika & Coco
マッチ箱のような街。そんな場所での姫様の出逢い。NHKではおとぎ話のその先をぐちゃぐちゃにしたドラマが放送されている。シンデレラと白雪姫がもうぐちゃぐちゃ。
だから、いろんな話があってもいいと。。。。。。

公園の木々は色づき、石積みのアーチのゲートが樹々の合間から見える。このゲートを彼女は勝手にEntrante in arteと読んでいた。まさしく誰もが秋を楽しみ芸術家になれる場所だった。

Cocoは落ち葉が足にまとわりつき、いやいや彼女の散歩に付き合っていた。アーチのアバットは大きな岩で、そこから伸び上がる石のアーチは、中央のキーストーンによって、見事に連結されている。その上に二層の通路と部屋が渡っているが、三十米も高い位置にあるので、その通路の状況は下方からは見えない。

ゲートをくぐると、大きく蛇行した川が旧市街地を囲んでいる。下り坂を行くと木造の橋が掛かり、脇の粉挽きの水車小屋からはコトン、コトンと音が聞こえる。水車小屋に水を引き込む堰はそれも石積みで、溢れた水は落ち葉を伴って落ち、又下流でゆったりとした流れに戻って下っていく。Cocoは橋の親柱に片足を上げ、用足しをすると横桟に精一杯伸びてアゴを上げ、川を覗き込んで休んだ。

「andare Coco」と言って、リードを引くと、一瞬抵抗したが、ふてくされながら歩き始める。橋を渡ると、まだ静かで扉はしまっている小さな店が並んでいる。その中で、一軒だけ、忙しく音を立て、香ばしいパンを焼く店がある。
「buongiorno」と店先で手を少し挙げて職人にガラス越しに挨拶すると、微笑んで挨拶を返す彼がいた。小麦粉で白くなっている彼の横には、母親がパン生地を天板に並べている。Cocoが先に行くというので、犬を指差し、帰りに寄ると合図する。彼はわかった様子で頷く。

Cocoは、橋を渡ると石畳みの道と知っている。歩きたくはないので、足元にまとわりつくが、彼女はそれを無視して歩く、帰りは結局抱いて帰る羽目になる事はわかっているから、せめて広場に着くまでは歩かせることにした。

夏も終わり、別荘から戻ったErikaは、毎日公園に散歩に出かけ、昼は絵を書いていた。小さな街では、誰もが彼女を知っているし、彼女も皆知っていた。新聞配達も牛乳配達も路地でも大通りでも会えば気さくに挨拶を交わし、昨日も会ったのに、「come sta?」と聞き、元気ですという言葉を返した。

そんな中で、小径の門に住むLauraだけは違った。同い年の彼女は老人と営む小さなバールを切り盛りしている。Lauraは彼女と会うと、Cocoを抱き上げ、「よく貴方は、Erikaに仕えているわね。辛くないの」言って頬を摺り寄せる。彼(Coco)も嬉しくて、彼女を舐めまわしている。
「なに言ってるのよ。私の方が振り回されているのよ」
「そうは思わないわよ。辛かったら、お姉さんのところに逃げてきなさいね」
Erikaは、自分を普通の住人のように扱い、冗談を朝から発して、元気づけてくれる。
「ねえ。今日は祖父の誕生日なの。あんたもよかったら来なさいよ。キラキラドレスだけはやめてね。いい男も来るし、日本から来ている男も来るからさ」
「行けたら、行くわ」
「期待しないでまっているわ」
そういうと彼(Coco)を道に降ろし、「ちゃんと歩いて帰りなさいよ」とポンとお尻を叩いた。しかし、彼女の姿が見えなくなると、結局彼を抱いて、石の階段を上がりゲートの上の通路を通って戻る事になった。



夕暮れ、そんなに派手じゃない思うドレスを選び、用意した花束を携えて部屋を出て石積みゲートの一番上の通路を渡って、降りて行った。道行く男たちは立ち止まり、「Bella」と言って声をかけた。「oggi una pesta」と聞く者もいる。彼女は微笑んで、会釈してLauraの店に向かった。

店の前に歌声が聞こえ、奥に彼女の祖父のが座っている。LauraがErikaを見つけて、良く来たね、後で皆んなを紹介するといいながら、忙しく働いている。Erikaは主賓に挨拶に行くために狭いテーブルの間をやっとすり抜けた。
「Buon compleanno」と声をかけ花束を渡した。老人はスーッと立ち上がり、Erikaの手をとって、中腰で口づけした。
「principessa Sono lu?ingato per l’onore che mi accordate」と答えた。すると爺さんは姫様の知り合いなのかと言う声が聞こえ、いつの間にか椅子用意された。
lauraは彼女に向かって、あんたが主役じゃないのよと耳元で言って、手伝うようにカウンターに入れと指示した。これが、Laura一流のもてなしだった。店はごった返し、ゆっくり座ってはいられない。しかしカウンターの中にはlauraが認めた人しか入れないので、椅子に座ってゆっくりできるのだ。彼女はいつも乱暴な言い方だがErikaを思いやっていた。

「vistosa」と派手な服装だねといい、汚れるからここにいて、飲んでいてという。そして
この人が東洋から来た「GENTAROU」とだけ紹介して、飲み物は彼に言えばいいからとも言った。これが、秋の終わりの出逢いだった。Lauraに感謝。





Image


Image_2