経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

戦略の達人

2015年03月09日 | Weblog
戦略の達人


秀吉の、「負けるが勝ちの戦略」、
家康の、「立ち枯れの戦略」を考察した。

ここで少し戻って、今一度
信長の桶狭間の戦いをみてみたい。


生きるか死ぬか。
今川義元に負けて死ぬことも選択できたのだけど、
死ぬのはいや、ということで、「生きること」を択一した。
生きるためには、今川軍に勝つことだ。

今川軍に勝つためには、今川義元の首をとる戦略と、
今川軍と戦い、勝つ方法。この択一だ。
前者、後者、どっちが勝利の確度が高いかを考え、
前者を択一して義元の首を取ることを考えた。


ワンマン経営者が、いなくなると企業は衰退する。
元々今川義元が、京を目指すのは、彼個人の課題。
組織全員の目標ではない。
彼がいなくなれば、京に行く目的より、早く故郷に戻り
妻子の元へ、となるだろう。

ランチェスターの「弱者の戦略」を勉強していなくとも
信長でなくとも、そうなる。


戦略は決まった。
次にその方法、戦術だ
その戦術は、アレがある、これがある、いろいろある。
あれとこれと組み合わせて、今川の首を取ってしまった。

ということで、一か八かの戦いに挑み、奇跡の勝利、でも
運良くでも、強運に恵まれ、といったことでは全くない。
ましてや一か八でも、ヤケクソでもない。

まさに信長は、「脳力開発」の達人。
戦略を立て、それを組織全員に共有する。


「生きたいか!」  

「オ-!」

「それなら狙うは、義元の首ぞ。他にかまうな!」

「オ-!」

その狙う首が、どこにあるか。
その首が、どこにある場合が彼の首を取りやすいか。
その首を取りやすい時間帯と場所は?

戦略を具現するためには、まずこうした情報収集だ。
信長は、他の武将にまして、
かねがねから「情報収集」の重要性を認識していた。

戦略を具現するためには、科学的計算にもとづき、
様々な戦術の中から、最適のものを組み合わせるのだが、
現場と相手の動きは流動的で、変化する。


だから、戦術は任せる、ことなのです。
否、任せる以外にないのです。

それを、アーセー、コーセーと上が仕切るから、うまくいかない。
方法、戦術まで指示命令する企業をみたら、
うまくいかない企業とみてまちがいない。

実際に城野先生に引きつられて、桶狭間、長篠を見てきましたが、
信長という人の戦略思考、並じゃなかったのだ、ということが
今の地形からも滲み、感じ取ることができた。