経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

それいけドンドン

2010年10月03日 | Weblog
経営者が戦略的に自社の行く末を、
ゴーイングコンサーンに目標を置いていたら
今のために将来(さき)を担保にしたり、今の業績確保のために、
将来を危うくしたり、といった短期的な判断は取らない。


社員が「背を腹に替えらる」といったやり方、
今のために将来がどうなろうと、知ったことか、
といった類のことを、一切やらせないであろう。
 
しかし現実は、今の飯食えず、将来が食えるか、
それいけどんどん、さぃを心配する暇あったら
今、電話しろ。今、はんこ押させろ。
朝駆け夜がけ、それでおまえらの死活が決まるんじゃ、となる。


長期戦略、長い目で物事を考える。俯瞰的思考は、
大陸ではない、島国に住む日本人は苦手、というか
そうした考えすら欠如しているとされる。

さもありなん。
「やあやあ、我こそは・・・」といった一対一の戦い、
すなわち戦術レベル、技の競い合い。これが長く続いていたのである。
あるいは感じように任せて、将来(さき)の見通しもなく発作的に
戦いを起こして、自滅した明智光秀の如く「思いつき」か。
いずれかが主流だったと言える。

そうした時代に、桶狭間の戦いに見られるような、
[戦略にもとづく戦術の行使」を実践で自在に行使した織田信長は、
まさに傑出した人物といえよう。


経営者がゴーイングコンサーンを選択しているにもかかわらず、
配下が後者的行為、すなわち「その場良し、後わからず」
といった仕事をなしているのであれば、
それは戦略が徹底されていないことになる。
だから、その点を反省、徹底を図ればいい。これが対策だ。

だが、経営者が、「いけいけどんどん」を組織に命じているのなら
それは事業にとって死の選択を自ら採っていることになる。

その場合そのことに気が付いた者が諫止できればいいが、
そうした経営者はたいてい聞く耳持たず、諫言を嫌い甘言を歓迎
といったタイプがほとんどであるから、まさに粗指呼の不幸である。

良識あり将来が読める者は。その組織を去り、
甘言を弄して身の出世、身の安泰を図ろうという取り巻きが、
組織に残ることになる。

そして、タイタニック号の悲劇で見られるように、
船中でゲームに勝った者も負けた者も、船もろとも滅びる、
といったことは、古今東西の歴史の中にはごまんとある。

いな、歴史上の栄枯盛衰は、この2つの路線の織りなしで
綴られているといえる。(