経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

傾く理由

2009年02月17日 | Weblog
頭の中が一杯で、新しい情報はなかなか入りがたい、
ということがあります。
またキャパシティのこともありますし、
中に入っているものが新しいものを受け入れない
という保守性の原則が、頭の中で働いていることもあります。

インスタントラーメンで満ちたお腹には、
美味い鹿児島ラーメンを受け付けない。
同じものには飽き来て受け付けないということもあります。

お店も、頭も同じです。
どんな大きなお店であろうと同じです。
陳列台やゴンドラ、平台を上回って陳列は出来ません。
通路が空いているからといってここに陳列しては命取りです。
陳列できない分は、倉庫にしまい込むことになります。
倉庫にしまい込んだ商品は、実は「ないのと同じ」です。

情報や知識も経営者の頭の中に綴じ込まれたままではないのと同じ。
能力も才能も行動として発揮されて、初めて「ある」ということ。

またまだ在庫として山積みされているものを、
新に仕入れる訳にはいきません。
新しいものを入れたら、今より売れると思っても、
今の在庫に見切りを付けて、捨てて、
それらを入れるのには躊躇します。

情報も同じです。
経営も同じです。

経営のこと、戦略や目標、数字は、パートには知らせない、
といった会社があったら、その会社、というより、経営者は、
おまえ達を信頼してないんだ、という情報を流したことと同じこと。
口で上手の情報より、実際行動のほうが情報量は多いし
確実性が高いのですから、彼らは後者で判断します。
実際は信頼されていないことを。
これを実感した従業員は力を発揮できるでしょうか。

そもそも経営は、理念に内包される戦略を経営者が打ち出し
その戦略を全従業員に浸透させる。
それでもって従業員は戦術をあれこれ行使して、
形と成し、その形をみた消費者が、購買の意思決定をする、

という一連の有機的システムです。
戦略に基づいて形を成さねば、消費者に伝わらないのに、
その戦略が伝えられていないでは、従業員も、消費者も
どう行動したらいいか判らない。
だから、従業員は無意味な行動を取らざるを得ない。

「仕事をしたフリ」。
「階段の上り下り」で、忙しくし、汗を掻く。

こうした人にも賃金を払っている。
だから、ダメになる。
消費者は、背を向けざるを得ない。

二度目の「そもそも」。
そもそもそういう意味で情報開示は信頼の表しになる。
自分の会社の従業員にすら、情報開示しない、
従業員すら信頼していないところが、
第三者の消費者にまっとうな情報開示をするわけはない。
消費者にしたら何を考えているか判らない。
疑心暗鬼な会社の疑心暗鬼な商品が売れるわけはない。

「いやいや」、消費者には十分情報は流していますよ」と
いった経営者がいた。その物証を見せていただいた。

パンフレット、チラシ、リーフレット、CM原稿等々。

笑った。こっそり笑った。

自分にとって都合の良いで満載。これを右の車輪としょう。
消費者の知りたい情報。これを左の車輪としょう。
その会社を車としよう。

「ああ、これでは御社が傾いてきたのは当然ですね」