長尾たかしの・・・未来へのメッセージ

自民党衆議院議員長尾たかしのブログ。平成11年からネット上で情報発信を継続。サラリーマン生活を経て政界へ。

米国の民間保険制度と日米保険協定

2012-08-02 07:37:10 | TPP
6/7の講演の模様がアップされていた。TPP問題、慎重は議員皆でウォッチしている。以下、ご参照頂きたい。
岩上安身氏にも心から感謝

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自身も明治生命保険で勤務していた長尾敬(たかし)議員が「米国の民間保険制度と日米保険協定」について講演。日本の第3分野(医療保険)において、米国が日本企業の参入を許さず、いかに米国企業(アメリカンファミリー)がシェアを独占してきたか、その経緯を説明した。


2012年6月7日(木)、衆議院第二議員会館で、「第35回 TPPを慎重に考える会勉強会」が行われた。
■内容 講演「米国の民間保険制度と日米保険協定」
   講師:長尾敬議員
   ・1994年日米保険協定
   ・1996年の再確認
   ・その後の生保業界再編と勢力図
   省庁:外務省・総務省

長尾議員はまず、日本の第3分野(がん保険などの医療保険)解禁の流れを説明した。1974年11月に、アメリカンファミリーが日本でがん保険を発売。1993年4月に、クリントン・宮沢会談で保険、自動車、自動車部品が話し合われた際、保険分野の規制緩和を目的とした「日米保険協議」が始動した。その後、1994年10月、アメリカの強い要請を受ける形で、日本は、既存の国内生保会社の第3分野への参入の禁止を米国と約束してしまった。既存の生保会社は子会社による参入を模索し始めた。

この約束では、「当局による保険審査の緩和・期間短縮」「約款の認可を届出制へ」「料率規制の緩和」など、様々な規制緩和がなされた。しかし、この時日本の第3分野で売っていたのは、アメリカンファミリーほぼ1社だったため、同社がフルに恩恵を受ける形で、事実上の独占となった。

1996年12月、保険業に対する規制緩和を意図した新保険業法が施行されたが、日米保険協議の結果、既存の国内生保会社の第3分野への参入は許されず、外資の独占維持を2001年まで延長とする『激変緩和措置』が決定された。日産生命、東邦生命が破綻し、外資の軍門に下ってく一方で、1999年にはアメリカンファミリーのがん保険シェアは85%を超えた。その後も第百生命、大正生命、千代田生命、協栄生命が次々破綻してく中で、2001年に、ようやく既存の生損保「子会社」の第3分野参入が解禁となり、2003年7月に「全面」解禁となった。
すると、2004年3月、米生保協会のキーティングが「かんぽは民間から仕事を奪っている。民間会社は民営化に意義ある参加をすべきだ」との談話を発表した。そして、その談話を反映するように、2005年に郵政選挙が行われた。

その後、2008年に日米保険協議は停滞する。長尾議員は「米国からしたら、郵政(かんぽ含む)の民営化が済み、『一丁上がり』ということだったのだろう」と、協議が停滞した理由を分析した。しかし、政権交代が起こり、郵政の民営化に陰りがさすと、2010年10月に協議が再開した。長尾議員は「背景にTPPがあるのではないか」と自身の見解を話し、講演は終了した。

その後の質疑では金融庁、総務省、外務省の担当者を交えた議論が行われた。出席した議員からは「米国企業の一社独占となった背景」について、質問が相次いだ。首藤議員は、1974年にアメリカンファミリーだけが、がん保険を販売できたことについて、「TPPにおいて、米国が政府調達で日本にない概念で参入し、シェア拡大を狙っているが、それと同じ構図なのか?」と質問。重ねて、舟山議員も「なぜ1974年に他の国内会社ががん保険を売らなかったのか?」と質問した。それに対し長尾議員は「まさしく、第3分野という概念が、当時の日本になかった。また、アメリカンファミリー以外の認可が降りなかった」と、当時の事情を説明した。

さらに、舟山議員が金融庁担当者に、現在のがん保険シェアを質問。金融庁は「平成22年度の金額ベースで、外資55%、日系45%。件数ベースだと外資81%。企業別内訳の資料は後ほど提出する」と回答した。

最後に、総務省と外務省の担当者に対し、主に日本郵政の斎藤社長の「かんぽのがん保険への参入見送り」発言についてのヒアリングが行われた。首藤議員は「総務省はかんぽを無くそうとしているのか、発展させようとしているのか?」 と質問。総務省は「監督官庁としてはきちんと経営をしていただきたい」と明言を避けた。首藤議員が「総務省としてどうしていきたいのか?」とさらに問いただすも、総務省は「個別の案件は民営化委員会で決めるので…」 と明確な回答をしなかった。

続いて、山田正彦会長が斎藤社長の発言について、「米国が、かんんぽのがん保険参入をけしからんと言ってきているのだろう。昨日の役員会でも大串政務官が認めている」と外務省担当者へ追及。外務省は「4月6日付のカナダ・米国の共同声明でそのように言われているのは事実。しかし声明の主体は米国政府ではなく米国の業界団体」と、米国の要求を否定した。

さらに舟山議員が、「要求がないのであれば、日本側が『あれを譲ろう』などと右往左往しなければならないのか。やはり具体的な要求があるからではないのか?」と質問するも、外務省は「国会でも答弁させていただいておりますが、米国からの具体的な要求はありません。現在
情報収集中です」と、再度否定した。

小林こうき議員も、「米国は表向きは『具体的な関心がある』位にしか言ってないだろう。『日本側が勝手に譲って米国が快く了承する』といういつものパターンだろう。ただ、このタイミングで斉藤社長のあのような発言があるということは、別ルートで要求がきているという事。その別ルートを断ち切らねばならない」 と追及。

最後に山田会長が「外務省、正直に言いなさい。私が米国に行った時にカトラーは『米韓FTAを見て下さい』と言った。韓国で保険分野がどうなったか見ればわかるでしょう」と外務省に釘をさし、勉強会は終了した。(IWJ・佐々木)
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コメント (10)
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