「哀愁のオヤブン」その1
チャイムが鳴ったので玄関をあけると、そこには、困った顔をした母が立っていました。
「これ、何とかしてくれない?」
足元を示すので見てみれば、そこには大きな白い猫がうずくまっています??。
「何、この猫?」
「知らないわよ~。いきなり現れて、そのままくっついてきて離れないのよ~。」
猫嫌いの母はうんざりしている。
母は猫が大嫌いなのです。
猫ときたら、いい加減で、ものぐさで、飼い主のいう事なんぞ、どこ吹く風のマイペース。
飼い主に忠実で誠実さが売り物の犬とは大違い…だから猫は大嫌いーというのが母の主張なのだ。
よりによってこんな猫嫌いの母に付いてくるなんて…なんて変わった猫?
「追い払ってよ~。」
門を閉めようとしたのに、半分体を挟まれたのに、痛がりもせず、そのまま無理やり押し入ってきたそうで。
「大人しいわね。どこかの飼い猫なのね。」
おぉ、よしよし…私が撫でようと手を伸ばしても、動じないでじっとしている。
人間を恐れていない。叱られたり、はたかれたりしたことがない育ちらしい。
母が玄関に入ると、白い猫も当然のように母に付いて入ってきた。
とりあえず、抱き上げて風呂場へ。
濡れたバスタオルで全身や足裏を拭いている間も、大人しくされるがまま。なんておっとりしたいい子なんでしょう。
その頃我が家には、またまた三女が拾ってきた子猫が暮らし始めていました。
小太郎亡き後、捨て猫たちは、内縁側に置かれた藤籠で暮らすようになっています。
そこに連れて行って、子猫が使っている餌皿にキャットフードやミルクを入れてやったのですが、
ふんふんーと言った感じで匂いを嗅いだだけ。
食べようとしない。
その後は茶の間を珍しそうに眺めているだけ。
やがて着替えを終えた母が茶の間にやってきて、自分のお茶の用意をし始めると、しずしずとその側らに歩み寄り、
ゆったり香箱を作って座り込んだのです。
「この子はママを飼い主と間違えているんじゃない?」
「首輪をしているから、どこかの飼い猫なんでしょうけどね。」
「いやに落ち着いているから、きっと小さい子供のいない年寄りだけの家の猫よ。」
「それにしてもでっかい猫ね。下手すると、お隣のダックフンドといい勝負よね。」
ワタシたちががやがや話している間も白い猫は、静かに目を閉じたまま。
猫が動いたのは、母がダイニングキッチンへと去った時です。
母が流し台で調理を始めたら、その足元に座り込み。ガス台の方に移動したら、猫もそこへ移動。
「何、この猫!邪魔だから、そっちへ連れて行ってよ!」
母が怒りだしました。
妹が慌てて、茶の間に連れてきて、ドアを閉めると、猫は不思議そうに我々を見あげます。
でもドアの前に座り込むードアの向こうの母の気配を感じていたいらしい?
暫くして母が茶の間に入ろうとドアを開けたとたん
「うわっ!なんでこんなところにいるの!危ないじゃない!つまずくところだったわよ。二階へ連れていきなさい。」
怒られた我々は仕方なく猫を二階へ連れていきました。
今まで抱いた猫の中では一番重い猫ですねぇ。続く…
絵は「これからお出かけ(2)」 07-07作成
娘がお出かけ前、鼻歌まじりにお化粧していたのを見て、
その明るく楽しそうな雰囲気を絵にしたくなりました。
そういえば、お化粧が楽しいなんて思わなくなって久しい
…これが年をとったという事なのかしらね。
チャイムが鳴ったので玄関をあけると、そこには、困った顔をした母が立っていました。
「これ、何とかしてくれない?」
足元を示すので見てみれば、そこには大きな白い猫がうずくまっています??。
「何、この猫?」
「知らないわよ~。いきなり現れて、そのままくっついてきて離れないのよ~。」
猫嫌いの母はうんざりしている。
母は猫が大嫌いなのです。
猫ときたら、いい加減で、ものぐさで、飼い主のいう事なんぞ、どこ吹く風のマイペース。
飼い主に忠実で誠実さが売り物の犬とは大違い…だから猫は大嫌いーというのが母の主張なのだ。
よりによってこんな猫嫌いの母に付いてくるなんて…なんて変わった猫?
「追い払ってよ~。」
門を閉めようとしたのに、半分体を挟まれたのに、痛がりもせず、そのまま無理やり押し入ってきたそうで。
「大人しいわね。どこかの飼い猫なのね。」
おぉ、よしよし…私が撫でようと手を伸ばしても、動じないでじっとしている。
人間を恐れていない。叱られたり、はたかれたりしたことがない育ちらしい。
母が玄関に入ると、白い猫も当然のように母に付いて入ってきた。
とりあえず、抱き上げて風呂場へ。
濡れたバスタオルで全身や足裏を拭いている間も、大人しくされるがまま。なんておっとりしたいい子なんでしょう。
その頃我が家には、またまた三女が拾ってきた子猫が暮らし始めていました。
小太郎亡き後、捨て猫たちは、内縁側に置かれた藤籠で暮らすようになっています。
そこに連れて行って、子猫が使っている餌皿にキャットフードやミルクを入れてやったのですが、
ふんふんーと言った感じで匂いを嗅いだだけ。
食べようとしない。
その後は茶の間を珍しそうに眺めているだけ。
やがて着替えを終えた母が茶の間にやってきて、自分のお茶の用意をし始めると、しずしずとその側らに歩み寄り、
ゆったり香箱を作って座り込んだのです。
「この子はママを飼い主と間違えているんじゃない?」
「首輪をしているから、どこかの飼い猫なんでしょうけどね。」
「いやに落ち着いているから、きっと小さい子供のいない年寄りだけの家の猫よ。」
「それにしてもでっかい猫ね。下手すると、お隣のダックフンドといい勝負よね。」
ワタシたちががやがや話している間も白い猫は、静かに目を閉じたまま。
猫が動いたのは、母がダイニングキッチンへと去った時です。
母が流し台で調理を始めたら、その足元に座り込み。ガス台の方に移動したら、猫もそこへ移動。
「何、この猫!邪魔だから、そっちへ連れて行ってよ!」
母が怒りだしました。
妹が慌てて、茶の間に連れてきて、ドアを閉めると、猫は不思議そうに我々を見あげます。
でもドアの前に座り込むードアの向こうの母の気配を感じていたいらしい?
暫くして母が茶の間に入ろうとドアを開けたとたん
「うわっ!なんでこんなところにいるの!危ないじゃない!つまずくところだったわよ。二階へ連れていきなさい。」
怒られた我々は仕方なく猫を二階へ連れていきました。
今まで抱いた猫の中では一番重い猫ですねぇ。続く…
絵は「これからお出かけ(2)」 07-07作成
娘がお出かけ前、鼻歌まじりにお化粧していたのを見て、
その明るく楽しそうな雰囲気を絵にしたくなりました。
そういえば、お化粧が楽しいなんて思わなくなって久しい
…これが年をとったという事なのかしらね。