いくやの斬鉄日記

オープンソースからハイスクールフリート、The Beatlesまで何でもありの自称エンターテインメント日記。

ユーザーインターフェースの翻訳の勘所

2014年11月01日 21時19分23秒 | OpenSource Software
最近、でもないか、ちょっと前にMATEの翻訳者になりまして、気に入らないところとか直してました。
その一環としてEngrampa(file-rollerのフォーク)の翻訳を見てると、こんなのがありました。

"作成・アーカイブ展開有効"
お、おう……。
英語をひらがな・カタカナ・漢字混じりの文にすることを翻訳というわけではないのですが、どうしてこうなった……。

というわけで、これを例にどのように翻訳したらいいのかを考えてみましょう。まずは原文です。
"Allows to create and extract archives"
私の場合は最初に単語に分割するのですが(たいていそうだと思いますけど)、どう訳すかは他でどのように訳されているかを参考にします。すると、
create…作成
extract…展開
archives…書庫
となります。これは翻訳ファイル(poファイル)を上から下までひととおり読むと掴めますし、もし揺れがあったらついでに修正しましょう。同じ語で別の語に翻訳しなければいけないケースというのは、ユーザーインターフェースの翻訳に限るとさほど多くありません。単純なミスか、前後を読んでいないかを疑いましょう。

あとは"Allows"をどう訳すかですが、辞書を引いてみます。「有効」という訳はありません。
どの訳にするか迷うところですが、その場合はpoファイルを見ます。
#: ../caja/libcaja-engrampa.caja-extension.in.h:2
msgid "Allows to create and extract archives"
なるほど、Caja(ファイルマネージャー)の拡張機能で使われそうな文に見えます。ロードマップにも
caja: Extension management system (GSOC 2014)
とあるので、拡張機能の管理であれば普通に「許可」でよさそうです。

そこで修正したのがこちら。

"書庫の作成と展開を許可する"

誰が翻訳したのか名指しで批判するようなことはしませんし、誤訳をするなというのも無理ですが(私もいっぱいしますし、誤訳を恐れないのも時には必要です)、それにしてもこれはひどすぎるので(せめて日本語と呼べるものにして欲しい……)、猛省していただきたいところです。
コメント (4)
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