「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ヒグマと接近 天塩岳の山行き①

2007-08-27 22:03:00 | 道北の山々
8月26日の登山記録①:
午前7時25分に天塩岳ヒュッテ前の登山口から入山。8時に旧道と前天塩岳ルートの分岐に。ここを左に折れて、前天塩岳を目指してジグザクの道を登っていく。    

斜め左手背後で「ガサッ、ガサッ」と、笹を激しく揺らす異様で大きな音。先行の登山者が斜面から落ちたかと振り向くと、黒茶の固まりが笹薮を駆け下りてきた。
「カラスだっ」と信じたかったが、一瞬、歯が見えた。 

 ク  マ  だ !

「うわっ」と思った瞬間、クマは僕を避けるように進路を変え、お尻を見せて笹薮を駆け下りていった。
「ウ ッ ー ー ー ー ー」という恐ろしい唸り声を発しながら・・・
距離は、わずか15メートルほど。声も聞こえるはずだ。8時40分ごろの事だった。

「逃げて行ってくれた」と思った。
少しでも離れたかったので、呼吸を整えてから、ジグザクを上に進む。死角になって見えないけれど、先行者が近いはず。1分ほどで、呆然と立ち尽くす男性2人と出会う。鏡があれば、僕の顔も見たかった。

「戻りましょうか」と言われたが、「クマから離れるのなら登りましょう」と一緒にひたすら歩く。僕はホイッスルを吹く。1人だったら、ここから新たな恐怖心と戦うことになっただろう。

彼らによると、ガサッという音が2箇所から聞こえたので、2頭いたのではないかという。となれば、僕が見たのはあまり大きくなかったので、1歳半程度の幼獣か。母クマが居たすれば、ぞっとする。先行者2人の気配を感じて、下に逃げたら、僕が歩いていたことになる。クマ避けの鈴を2個つけていたのが、良かったのか。
2人は、下にいた僕が危ないのではと心配だったという。

  (写真:旧道と前天塩岳ルートの分岐 ここから40分登ってクマと遭遇)