「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

ギンザンマシコと出会った 美瑛岳 

2010-09-14 19:49:52 | 十勝連峰
                                                (写真:望岳台から見た十勝岳)

9月12日(日)の登山記録:

美瑛町白金温泉の望岳台から十勝連峰の美瑛岳(2052.3m)を目指す。

逆光に浮かぶ十勝岳を真正面に見ながら、泥流跡の広大な砂礫斜面を行く。

40分ほどで、十勝岳と美瑛岳の分岐に達し、左へ折れる。

尾根を登るとハイマツが目立ってくる。登山路の脇には白く結実したシラタマノキが延々と続く。まるで真珠を撒き散らしたかのよう。


(写真:シラタマノキ)


進行方向にツインの山々。左が美瑛富士、右が目指す美瑛岳。山頂は鋭い岩塊で、登る意欲を刺激する。

9月半ばというのに、青々とした山肌。猛暑の影響なのか、期待していた紅葉は1週間ほど遅れているようだ。

登山路の周辺は雲ノ平と呼ばれていて、やがて美瑛岳の右側に爆裂火口が見えてくる。

色彩の乏しいこの時期、雲ノ平に咲くエゾノオヤマノリンドウの青紫が目に優しい。


(写真:左が美瑛富士、右が美瑛岳)


(写真:美瑛岳と爆裂火口 雲ノ平のエゾノオヤマノリンドウ)

深くえぐれた涸れ沢をロープと鎖に助けられて越えると、次のポンピ沢まで一気に下る。

せっかく登ったのに下るのは残念と思っていたら、ヒグマの大きな落し物に出会う。

一瞬どきっとしたが、内容物にナナカマドの赤い実が多い。なんだか秋だなと実感。

クマ対策は先行者に追いつくこと。数百メートル先に数人の姿が点々としているので、歩くペースを早める。


(写真:ヒグマの落し物)


(写真:ポンピ沢)

ポンピ沢を越えると、今度はかなりハードな急登。呼吸を整えたら、下の方から「おーい、おーい」という年配の女性の声が聞こえてきた。

クマ対策で大きな声を出していたのだろう。

急登をしのぐと美瑛富士小屋と美瑛岳の分岐に至る。ここで男性二人の背後に追いつく。これでクマへの恐怖心も消えてしまった。

分岐からは美瑛岳のツンと尖った山頂を望む。斜面の高山植物はポツポツと色づき始めた程度で、やはり秋の訪れは遅いようだ。



(写真:美瑛富士小屋と美瑛岳の分岐)

分岐を越えると稜線を一気に上がっていく。ハイマツの上に、ちょっと太めの赤い鳥。逆光で見づらいが確かにギンザンマシコだった。

雌雄のペアが寄り添って、僕の進むテンポに合わせて少しづづ遠ざかる。

なかなか出会うことのない高山鳥だ。「フィ、フィ」と透き通った声で鳴く。

残念ながら紅葉には出会えなかったが、予想もしなかったギンザンマシコとの一期一会に喜ぶ。



(写真:ギンザンマシコ)


稜線を登っていくと、風に乗った蝶のコヒオドシが次々に目の前を横切っていく。

1時間20分ほどで山頂に。

右手に十勝岳。左手に美瑛富士とオプタテシケ山、その背後にトムラウシ山。

抜けるような青空に、さわやかな風。無数のトンボが舞っている。

3年前は十勝岳で素晴らしい展望を得たが、2時間かけて縦走してきた美瑛岳は雲の中。

涙を飲んだが、今回はリベンジ。美瑛岳から見渡す十勝連峰の山々が至福の時を与えてくれた。

気温上昇につれて、次第に雲が湧き上がる。白いベールに包まれていく山々を記憶に刻んで下山する。

山の天気は変わりやすく、今回の展望も幸運としか言いようがなかった。


(写真:美瑛岳 山頂)


(写真:十勝岳)


(写真:美瑛富士、オプタテシケ山)

■登山記録:2010年9月12日

06時50分:望岳台から入山
07時35分:十勝岳と美瑛岳の分岐
08時45分:ポンピ沢
09時20分:美瑛富士小屋と美瑛岳の分岐
10時40分:山頂(登山口から3時間50分)
11時20分:下山開始
14時30分:望岳台に戻る

白銀温泉「森の旅亭 びえい」 800円 
オープンしてまもない旅館の日帰り入浴。きれいで賑わっていた。

■これまでの登山歴
07年8月19日 望岳台~十勝岳~美瑛岳~望岳台

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