「山」旅の途中

40代後半になって始めた山歩き。自分はどこから来てどこに行くのか。光、空気、花々の記憶を留めたい。

函館山のスプリングエフェメラル

2010-05-04 18:20:04 | 道南の山々
(千畳敷コースから見た函館山)

5月2日、函館山に登る。標高334m、周囲9キロの小さな山だが、12のハイキングコースがある。

さて、どのコースを歩こうか。最も代表的なコース、「函館山ふれあいセンター」から続く旧登山道コースを選ぶ。道幅が広く、昔は車両も通ったのだろうか。

広葉樹の森は未だ芽吹き前。足元には白いキクザキイチゲが延々と続き、ところどころに淡い赤紫色のカタクリが彩りを添える。

真っ先に咲く花々をスプリングエフェメラル、春のはかなき妖精たちと呼ぶ。木々の葉が茂る前、たっぷりと日ざしを受けて一斉に咲き乱れる。


(キクザキイチゲとカタクリ)

アオジ、ウグイス、ジョウビタキ。海峡を渡ってきた夏鳥たちの囀りもにぎやかだ。

葉が茂っていないので、観察には好都合。耳で、目で、やって来た春を愉しむ。

野鳥観察小屋に立ち寄ったら、先着の女性が「クロツグミが沢で水浴びしている」と教えてくれた。こうした思わぬ出会いも山歩きの楽しみだ。


(アオジ)


ゆっくり登って一時間ほどで山頂に。正式には御殿山と呼ぶ。

北海道を代表する一大観光地だけあって、ゴールデンウィークを過ごす大勢の行楽客でにぎわっていた。笑顔も満開だ。

お約束の写真を、一枚だけ撮影。やはり、函館といえば、この写真。


(函館山から見下ろした市街地)


下りは旧登山道コースから千畳敷コースに寄り道してみる。スミレの仲間では最も早咲きのスミレサイシンを見つけた。

函館山はスミレの種類が多いというが、時期が早いのか、この花が初見だった。


(スミレサイシン)

旧軍の千畳敷砲台跡(戦闘指令所)を覗いてみた。

函館山には明治の末に5つの砲台が作られ、函館要塞として昭和21年まで一般の立ち入りは禁じられていた。

そのおかげで、自然が保たれたという歴史の妙にも思いを巡らせてみる。


(千畳敷砲台跡)

砲台跡から千畳敷コースの来た道を戻り、汐見山コースを降りることにした。ミズナラが続く細い尾根なので、登山気分が満たされる。

足元に、スミレをもう一種類見つけた。淡い赤紫色、恥じらうようなヒナスミレが点々と咲いていた。そして、深い紅色のコジマエンレイソウも存在感をアピール。

春の妖精たちに、季節が始まった清々しい躍動感のおすそ分を頂いた。


(ヒナスミレ)


(ヒナスミレをアップで撮影)


(コジマエンレイソウ)


■登山記録
12時55分:入山
13時55分:山頂
16時05分:登山口に戻る

 市営 谷地頭温泉 420円 茶褐色の熱いお湯が良い。




(宝来町から見た夕暮れの函館山)


(翌朝、啄木小公園から函館山を望む)

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5 コメント

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はっ! (木の葉)
2010-05-05 15:02:39
山男完全復活?ですね
こちら愛知は昼間28度もあって
まるで一気に夏が来たようですよ。
北海道の山は春の花々が美しいですね。スミレかわいいです。

函館の街はこんな形してるんですね!
初めて知りました。海に浮かんでいるようです
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火山と砂州 (ikuni)
2010-05-05 15:38:30
北海道の春は例年より、ゆっくりと。
函館山は火山活動で生まれた島。その後、陸地と砂州でつながったのです。その砂州の部分が
市街地といわけです。子供のころ住んだことのある大好きなマチ。
あまり出来栄えはよろしくありませんが、木の葉さんのコメントにお礼の意味をこめて海から見た函館山もアップしましょう。
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函館山 (木の葉)
2010-05-05 20:06:02
ありがとうねー。
いろいろお勉強になります
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函館山 (エルモ)
2010-05-19 11:48:13
函館山は以前は毎年GWに遠征していました。
スミレ観察が目的です。
長い間一般には開放されていなかったために植物相が興味深い山ですね。
最近、道南でもマキノスミレが発見されていますので、ここでも自生の可能性はありますね。
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スミレ (ikuni)
2010-05-21 21:17:42
エルモさんへ~
スミレは奥深くて、愉しいながら、スミレ地獄ですね。ゴールデンウィークの函館で宿泊する場所もなく大変苦労しました。まあ、これも旅の面白さ。毎春の函館通いが始まりそうです。

今年もよろしくお願いいたします。
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