よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

放射線・放射能と人の行動

2011年03月23日 | 技術経営MOT

放射線・放射能は肉眼にも見えず五感を動員しても感知することができません。計測・公開されたデータや情報に頼らざるを得ません。そこで放射線・放射能に関するデータや情報に接して人は多様な行動をとります。

話を単純化します。たんなるデータは効用を生みません。データに意味が加わってデータは情報となります。意味を加える作業が、意味づけ、吟味、解釈です。そして情報の束に構造が加えられて知識となります。このプロセスを編集と言い換えることが出来るでしょう。その知識を、既存の知識処理の構え=パターンでさらに複雑に変換して人間は行動をとります。まあ、この複雑な所作には認知心理学、行動科学、意思決定論、行動経済などいろいろな立場からいろいろなモデルや仮説が作られていますが。

さて、新幹線や飛行機に乗って遠隔地に回避する関東圏居住の日本人、日本を離れる外国人が後を絶ちません。大学に届けでずに帰国してしまう留学生や外国人研究者もちらほらいます。

放射能についての情報は素人には分かりづらく、また、専門家による解釈や意味づけも難解なものが多いのが現状です。東北大学の村田裕之さんから届いた情報が以下です。空間線量に注目した解釈です。

http://hiroyukimurata.jp/review/y2011/vol150.html

しかしながら、空間線量ではなく、放射線を発生する放射線物質そのものを問題をするとコトは変わってきます。体内に蓄積された放射性物質は、長期にわたり人体に悪影響を及ぼすといわれています。

今日(3/23)の「東京都が放射性物質検出を発表、23区など乳児の水道水摂取抑制を呼びかけ」というニュースです。とうとう来たか。

<以下張付け>

東京都は3月23日、東京都水道局金町浄水場の水道水から、食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定的な指標値を上回る放射性ヨウ素131を検出したと発表した。

乳児の飲用に関する放射性ヨウ素131の暫定的な指標値は1リットル当たり100ベクレル。これに対し、金町浄水場から検出された放射性ヨウ素131の検出量は210ベクレルだった。

東京都は23区、武蔵野市、三鷹市、町田市、多摩市、稲城市の居住者に対し、乳児の水道水の摂取を控えるよう呼びかけている。

この数値は長期にわたって摂取した場合の健康影響を考慮して設定されたもので、代替となる飲用水を確保できない場合には摂取しても差し支えない。

金町浄水場と同じ時間に測定が行われた朝霞浄水場では放射性ヨウ素131は検出されず、小作浄水場の放射性ヨウ素131の検出量は32ベクレルだった。

「ただちに健康には悪影響はない」とよく為政者、マスコミは言及しますが、この「ただちに」がクセモノです。長期的な影響はノーコメントということです。

<以上張付け>

あまり大きくは報じられていませんが、以下の「米原子力空母が出港、原発事故の退避措置」ニュース(3/21)は大変意味深長。

<以下張付け>

米原子力空母ジョージ・ワシントンが21日午後1時10分ごろ、配備されている米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港した。基地関係者によると、福島第1原発事故を受けての退避措置とみられる。在日米海軍司令部は「あらゆる任務に対応する準備はできているが、航路は未定」としている。

空母は4月上旬ごろまで横須賀基地内で定期メンテナンスを続ける予定になっており、途中で切り上げての出港となった。

<以上張付け>

米空軍が飛ばし続けてきた無人偵察機「グローバルホーク」の高性能のカメラは「車のナンバーが読み取れるほど」の高機能で、原発施設の内部状況をほぼリアルタイムでとらえています。政府はこの情報を得ているとされています。しかし東京消防庁のハイパーレスキュー隊が福島第一原発に侵入したときに瓦礫に立ち往生したことなどを見ると、貴重な情報が現場とは効果的に共有されていなかった模様です(要検証)。

福島第一原発の事故で、文部科学省が行った放射性物質の拡散予測の結果が公表されていないことは大問題です。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム、SPEEDI(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Informationの略)を用いて計算し見える化したシミュレーション結果です。

なぜ秘匿するのか?ここからまた疑心暗鬼が生じる余地が生じてしまいます。迅速に情報を公開すべきであると思います。

注:その後23日の夜にSPEEDIが処理した情報が公開されました。