よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

アメリカ地方銀行の惨状とゴールド急騰

2010年12月17日 | 恐慌実況中継
年の瀬なので経済アウトルック=恐慌実況中継をまとめます。

このところ、米国国内の地方銀行の破綻が強烈な勢いで進行中ですが、日本の大手マスコミはこの重大な動向を全くと言っていいほど報道していません。

エビゾーかカニゾーか知りませんが、あの低俗ニュースの10分の1でもいいので、マスコミは米国の草根経済の報道をすべきなんですが、そうもいかないようです。

さて米国の草根経済過去5年間の実体を雄弁に物語るデータは米国地方銀行の破綻件数です。ざっと、以下のような推移を辿っています。

2006年 0件
2007年 3件
2008年 26件
2009年 140件
2010年 151件(12月17日まで)

米国の地方銀行の破綻件数は激増中です。Failed Bank Listというリストが公開されています。Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC)が破綻銀行の処理業務にあたっていて、この組織が、銀行利用者、投資家などステークホルダーのために破綻地方銀行を公開しています。

The Federal Deposit Insurance Corporation (FDIC)は米国政府が経営する企業で、もとはといえば、1933年のGlass-Steagall Actによってできた会社です。銀行が破綻した時の貯金保険を提供して消費者を保護し、銀行が破綻した時のマネジメントを行っています。

Wikipediaにも信頼がおける破綻情報を集約した米国破綻米国地方銀行リストがあります。

このところダウ式平均株価が戻しつつあり、なんとなく米国経済にうっすらと日差しがあたりかけているようなニュースが目につきます。しかし、米国経済の足腰にあたる米国地方銀行の惨状を見れば、ダウ式平均株価の揺り戻しなどは、ほんの表面的な出来事(操作された表面的な事象)でしかないことがわかります。

アメリカの地方銀行は地元の中小企業や家庭の金融を扱っています。とりわけ住宅の購入や投資にともなうローンや商業不動産開発のための融資の要の役割を果たしているのが地方銀行です。

一連の世界的な金融・財政危機と先進国を中心とする景気大幅悪化の「震源地」は米国の住宅バブル崩壊です。だから住宅着工件数、住宅市場指数、購入用住宅ローン申請、借り換え用住宅ローン申請件数にも注目する必要があります。

米国金融破綻シナリオは、サブプライム⇒アルタA⇒プライム⇒商業用不動産投資用貸付、というように破綻の連鎖はまったくもって着実、かつ深刻に進行中です。

破綻が続くと、個人消費や経済に一層の影響を与えること必至です。FDIC会長のSheila Bair氏は、今年2月に、2010年の破綻件数は、商業用不動産投資用貸付の焦げ付きのため、2009年の140件を凌駕するだろうと警告を発していましたが、はやりそうなりました。

したがって瀕死状態にある国=米国が発行する国債の人気が出るわけがありません。ユーロ圏の国々が発行する国債も、不安定要素の塊です。株、国債、債券などありとあらゆるペーパー・マネーの信用が失墜すれば、お金は究極の実物ゴールドに行かざるをえません。



紙幣、株、債券などのペーパーマネーの価値は、その時々の材料に敏感に反応して凹凸はあるものの、長期的には下落傾向が鮮明となります。日本以外の世界は、金に敏感になっています。ゴールドを巡る直近の現象としては以下の3点に注目です。

①チャイナの動向
中国の金輸入量は、2010年1~10月の実績値で209トン。昨年に比べて約5倍に急増しています。それに比べて中国による米国債の買い越し残高は頭打ちです。ところが、日本は相変わらず、買わされ続けています。チャラパーになる米国債など、本当は買ってはいけないのですが、そこは米国寡頭勢力に操作されている日本のイタイところです。

②欧州の財政危機
欧州ではギリシャに端を発した財政危機のあおりで、国債の買い増しを敬遠し、金に逃避する動きが高まっています。国家破綻は、アイルランド、スペイン、ポルトガル、イタリア、フランスと連鎖中です。昔ならば「ドルか金」という選択肢なのですが、ダメドルの今日では、はやり長期的には金でしょう。ドルの下落基調には変わりありませんから。

③東北アジア戦争
11月23日に北朝鮮と韓国の間で砲撃事件が発生。「有事のゴールド買い」で市場が反応し、金は1オンス=1383ドルまで上昇。東北アジアで戦争を始めたい寡頭勢力が蠢動しています。オバマ政権が終息する時と前後して、米国戦争屋の台頭と東北アジアやイスラエル・イランでのドンパチが懸念されます。

                ***

現代の世界恐慌は、静かにでも着実に進行中です。日本のマスコミ(マスゴミ)は正しく報道していません。マスコミが伝えないモノゴトにこそ、真実が隠れています。その恐慌基調に加え、マクロ的、長期的な節目が近づいているようです。それはデフレからインフレへの潮目の変化です。

実物コモディティ=必需品の高騰が2011年半ばから2012年の年央位にはハッキリしてくるでしょう。綿花、砂糖、ゴム、大豆、小麦、コーヒー、トウモロコシなど2010年にものきなみ高騰していますが、今後はますます高騰基調になります。

これらの大半を輸入に頼っている日本は、輸入品から悪性のインフレがもたらされることになるでしょう。これをインポートインフレと命名することにします。たぶん野菜の値段も今後上がるので、260万人の専業農家に対し200万人いる週末家庭菜園ファーマーは今後とも増えるでしょう。

これら実物コモディティの頂点に君臨するゴールドは、乱高下(下値1g=3000円位)を伴いながらも、高騰してゆきます。