<大好きなサロベツ原野で>
<後半戦の自転車>
小樽からいったん東京近郊の自宅に帰り、研究会に出たり論文を書いたり、清里の山荘のリノベーションをやったりと、いろいろコトを済ませてから、再度北海道にやってきた。
自宅とは冒険的生活のベースキャンプである。
ここに帰還して、衣食住を整え、知的生活、職業生活、家庭生活を送る。またベースキャンプは定常的なトレーニングの場でもある。そのエネルギーが、次のエクスペディション、冒険、旅のエネルギーを滋養、涵養するのだ。
札幌市内にある大学2つで講演を行うという大義名分(?)のもとで、堂々と(?)北海道に乗り込むことができるのは幸せだ。あらためて、呼んでくださった大学関係者の方々に感謝。
とまれハードな自転車ツーリングは健康だからできること。それに、札幌の大学で客員教授として講義をさせていただくというご縁をいただいて、はじめて大手を振ってというか大足を回して北海道を自在に自転車で走ることができるのだ。
感謝、感謝!
というわけで、いよいよ、宗谷岬を目指す後半の旅に突入だ。
今回の自転車は、700X32Cのホイールを装着したツーリング自転車。2002年あたりに北海道のツーリングシーンをめいっぱい意識して作ってみたオーダーメード自転車だ。一昔ならばスポルティーフとよばれた車種だが、実は高速巡航可能で、かつリアにパニアバックを取り付けキャンピングもできるようなスマートなツーリング自転車という一風変わったデザイン・コンセプトで作ったものなのだ。
(TOEIの文字が目に入ると、なぜか脚にも力がはいる?)
さて、本州でも北海道でも地道は山間部で急速に消滅し、きれいな舗装道路が山間僻地にまで延びるている昨今の道路事情。だからタイヤの幅は32mmもあればなんとかなる。
2002年に原サイクルの原さんとああでもない、こうでもないと議論に議論を重ね、マファックロードレーサーのセンタープルブレーキ(古いね)、TAのチェンリング(48X36X28)←旧タイプのクランクシール、電装などを持ち込んで組み上げた一品。ちなみに、このサイトはとても参考になり、大いに勉強させてもらっている。
フレームは東叡社製のクロモリ(パイプはカイセイ)だ。フロントキャリアとリアキャリアも、東叡社にお願いして高い精度で、ぴったりフレームに合うように一品製作をお願いしたしだい。
(ランドナーとは異なり、ブレーキワイヤーはハンドルバーに収納。チンカンベルがレトロ)
直進安定性高を増すために、ホイールベースを長めにとり、フレームは寝かせてその結果生じるシートチューブの後方のスペースにインフレータを格納。このあたりのアイディアはアルプスのパスハンターに長年乗ってみて納得のうえ採用したもの。
ダイヤモンドの空間にはボトル2個装着することができる。トップチューブは20mm前上がり。このため足つき性能があがり、シートポストが長くつきでるため、ちょいスポーティな感じも出てくる。
(お洒落のつもりでフォーククラウンの髭は長く伸ばし、銀メッキ)
この自転車は、やたらクラシックな部品に凝ってビンテージな時代性を求めるのではなく、あくまで、自転車に乗って旅をするという使用価値(value-in-use)そして、北海道を中心とした環境での文脈価値(value-in-context)を重視した設計・デザイン思想を練ってみた。
(ジュラエースのロングゲージ版のリア用変速機)
ぐだくだ書き始めるととまらないので、このあたりで、薀蓄はやめよう。
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この自転車を飛行機輪行して千歳まで飛び、快速エアポートで札幌まで移動。札幌駅北口のスペースでさっと組み立て、北大まで走る。
北海道大学のお洒落なカフェでH先生(北海道医療大学のサイクリング部の顧問)とお会いして、ひさしぶりに、global healthなどのテーマで議論、議論、議論。
一時の会話を楽しんでから、5時過ぎから走りはじめる。30分も走れば郊外。だんだんと伸びやかな石狩平野の風景が身の回りに展開し始める。
やっぱ、北海道いいね。
一泊目は石狩太美のあんぷらぐというコテージに泊まる。夕方からの走行なので、走った距離は20kmたらず。石狩太美についたころは夜になってしまった。
夜、宿のおやじさんとビールを飲みながら地元の話などたっぷり聞く。
明日からのサイクリングが実に楽しみだ。
走行距離:30km