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散歩日記X

札幌を中心に活動しています。食べ歩き・飲み歩き・ギャラリー巡り・読書の記録など

なぜか松江(15)田部

2019年10月23日 17時33分48秒 | ART
そろそろ時間になり、安来から松江へ戻る。安来駅の待合所にはドジョウがいた。私がイメージしているドジョウ(食べる奴)よりかなり大きい。







ちょっと疲れて来たが、松江駅前からレイクラインというバスに乗り、田部美術館へ。





■田部美術館「四季の茶道具 湯気白く」。山林王と呼ばれ、現在でも地元で力を持つ田部家二十四代(最近、二十五代目の当主が襲名したらしい)の調度品を展示する美術館である。話に聞くと、竹下元首相、青木参議院議員もこの家のおかげでその地位に着いたと言われているとか。

展示はあまり説明がなく、私は良く分かっていないのだろうと思うが、有名どころでは、小堀遠州作の花入「竹輪無二重切(再来切)」、野々村仁清作在印の茶入「柿天目ふくべ」があったことをお伝えしておきたい。


→多分、二十三代目くらいの田部さん。



再び堀の辺りを歩きながら、街中に戻る。途中に木の橋が架かっていたが、この上は自動車が通っても良いようであった。


なぜか松江(13)足立美術館

2019年10月23日 13時00分42秒 | ART
安来に到着すると、駅前には足立美術館行きのシャトルバスが到着していた。私は何とか乗ることができたが、次のバスになってしまった人もいた模様。また、バスはマイクロバスなので、大きな荷物を持ち込んでも載せるスペースがない。じゃあどうするかというと、膝の上に抱えるしかないので、スーツケースを持っている人は大変な目にあっていたことをお知らせしておきたい。


→写真のバスは私が乗ったのではない観光バス。

約20分で足立美術館に到着して、入館。何よりも先にしなければならないのは、帰りのシャトルバスの整理券確保である。わっと人だかりになったが、何とか13時の整理券を確保することができた。これをもらっておかないと、バスの発車の際にあとまわしにされていた人がいたので、これまた要注意である。

美術館は流石に見ごたえがあり、また、庭などには興味が薄い私をもってしても、素敵に思える庭だった。ま、ちょっと人工的にすぎるところもあったように思えるがな。









それから、この美術館には窓から見える景色がまるで絵画作品のように見えるところがあるのだが、もれなくその先には人がいることをお伝えしておきたい。なかなか、テレビ番組や雑誌のように素敵なカットは撮影できないのである。



■足立美術館「名品選III 動物画」。橋本関雪、竹内栖鳳の作品が展示されている。

■足立美術館「<改元記念>名画でふり返る明治・大正・昭和の日本画」。
竹内栖鳳「獅子」:さすが迫力がある作品。
横山大観「無我」:もしかして、三点あるこの作品を全部見たかもしれない。不思議に上手く見えない作品である。
菱田春草「紫陽花」:ほぼ緑に近い単色で描かれた作品。

竹内栖鳳「瀑布」:淡い墨色の細やかな所から、濃い墨色の大迫力の水まで表現されている。
土田麦僊「静物 鮭と鰯」:色鮮やかな鮭と頭の形がキュビスム的な鰯の表現が面白い。
山本春挙「奥山の春図」:流れる水が岩で盛り上がり、また下る描写が素晴らしい。
川端龍子「獻華」:牡丹の花を描いて、これでもかの作品。

■足立美術館「秋の横山大観コレクション選」。
横山大観「紅葉」:賑々しく紅葉が描かれている大きな屏風絵。鶺鴒が飛び立つ余韻も素敵である。

更に新館では「再興第104回 院展」の作品が展示されており、やはり上手い絵が多くて感心する。少々疲れてきたので、贅沢だが、こちらは駆け足で見て流す。バスの時間待ちでアイスコーヒー休憩。



ふう、疲れた。

なぜか松江(7)出雲大社

2019年10月22日 13時17分38秒 | ART
9時前にホテルを出て、JR松江駅へ。松江から出雲市までは何とかICカード圏内なのである。



ここからアクアライナーに乗り込み、出雲市駅へと向かう。今日は祝日だが、混雑具合はほどほどで、座ることはできた。





出雲市駅に到着し、そこから一畑電鉄に乗り換えて、出雲大社前駅へ。





一畑電車はICカードが使用できないクラシックな仕組みなので、切符を買い、チッキで切符を切ってもらう。本当に久しぶりだね。



出雲大社前駅は国の登録有形文化財とあって、良い雰囲気の建物だ。





出雲大社前駅からは道なりに出雲大社方面へ。





参道を通って進んで来たが、先に島根県立古代出雲歴史博物館に行くことにしよう。

ここは大したことのない、神社の宝物館だと思っていたのだが、私のとんだ勘違いで、なんとも本格的な博物館ではないか。今日は10月22日、即位礼正殿の儀とあって、入場無料なのであった。





■島根県立古代出雲歴史博物館「常設展」。

入口を入ると、顔ハメ勾玉がお出迎え。



「出雲大社 巨大神殿の柱(宇豆柱)」:かつての出雲大社は高さがどうやら48mあったという説に根拠を与えた柱。重要文化財。



「出雲大社1/10モデル」:これを見たら驚くよね。過去何回も倒れ、再建されてきたという歴史が紹介されていた。



「日本最多358本の銅剣」:すごい物量作戦だ。国宝。



「銅鐸」:ここにきて本当に良かった。全部国宝。



「日本最多16本の銅矛」:これまた国宝。ぐうの音も出ない。



「ウミガメが描かれた銅鐸」:紀元前2~1世紀のもの。国宝。



いや、ここは国宝満点で恐ろしくも素晴らしい博物館であった。普段より大きめの写真でお届けしました。これだけの文化を持って、大和朝廷に屈した出雲の国は、さぞかし恨み深いことであろうよ。

その他の展示はちょっとだけご紹介。

「朝酌促戸の市」:「出雲国風土記」をもとに市場の様子を再現したもの。



「北松江駅」と「列車」再現:時刻表の表現が面白い。





すっかり疲れてしまったが、出雲大社には一応行っておこう。が、途中で宝物殿があったので、更にそちらでひっかかる。中は写真撮影不可だったのだが、もう岩石の塊に見える「高大本殿心御柱」(重文)、「慶長本殿棟札」(国宝)があった。

それから出雲大社の拝殿へ。あれ、あまり大きくないなと思ったら、これが本殿ではなかった。



出雲大社の本殿は囲まれていてよく見えない。どちらかというと、後ろ側から見たほうが、姿が良く見えるようである。



この後、おみくじを引く。もちろん、その手のものを信じているわけではなく「行ったよね」という記念のためである。どうやらここのおみくじは「大吉」などの表示が無いようだったが、概ね良いことが書いてあり、多分大吉に相当するのではなかろうか。

というわけで、入り口に戻ってきたが、相当腹が減っているので、出雲そばを食べたい。どの店に行けば良いだろうか。

いろいろあった東京(2)

2019年10月14日 16時40分31秒 | ART
上野駅から三越前に移動。

■三井記念美術館「茶の湯の名椀 高麗茶碗」。
「刷毛目茶碗 銘合甫」:小さな茶碗の内、外に大胆な刷毛目のある作品。
「真熊川茶碗 銘朽木」:雲のように暗い釉薬がいい。ちょっと私の好みとしては背が高すぎる感じだ。
「粉引茶碗 津田粉引」:自然に葉の落ちた土のようにも見える釉薬。

「無地刷毛目茶碗 銘千鳥」:伊達政宗が常用していたという茶碗。
「雨漏茶碗 銘蓑虫」:雨漏の名前の通り、水がしみ込んだようなまだら模様がいい。
「青井戸茶碗」:大井戸、青井戸、小井戸とあるなかで、私は小ぶりのこの茶碗が気に入った。

「蕎麦茶椀 銘花曇」:色は良いが、少し口が開きすぎのように思う。
「斗々屋茶碗 銘奈良」:縁の薄さが好みなのだが、歪みがなあ。歪んでいるのも味があるように見える時と、どこか気に入らない時がある。
「伊羅保片身替茶碗 千種伊羅保」:17世紀に入り、刷毛目が技巧的になってきた。
「黄伊羅保茶碗 銘楊雄」:これは私好みだ。

これだけ茶碗があっても、すべてどこか違うのだから面白い。見ていると、「色は良いのだが、形がなあ」とか自分の好みがどんどん出てくる。私が好きなのは、色にグラデーションがあり、模様は無いもの。形が浅め、薄目でややそりのある茶碗のようである。



ちょいと疲れて、あまり頑張ることも無いかと思い、美術館巡りはこれで終了。時間は少し早いが、門前仲町に移動し、「KRM」へチェックイン。

ドリンクサービスがあり、腹が減っていたのでありがたくカフェモカという甘そうな奴を持って部屋へ。おお、新しいホテルらしく、部屋がきれい。そしてかなり広く(ダブル部屋のシングルユースのようだ)、小さなソファと机があるのも、ブログ記事を書く身にはありがたい(仕事をするわけではない)。





ここまでの記事を書いて、一休みしたところで、そろそろ外に行きますか! 

いろいろあった東京(1)

2019年10月14日 13時00分27秒 | ART
なんでこんなに早い時間の飛行機を取ってしまったのか思い出せないが、3連休の今週は仕事の前の祝日移動となった。朝6時に起きて、朝食は無理に取らずに6時半出発。始発のバスに乗り、JR琴似駅前に到着。



駅で何か買おうかと思ったが、コンビニが開いていない…(7時開店なのね)。



琴似駅に来たエアポートは空いていたが、3連休最終日の今日は札幌駅で混雑が始まった。台風で大変な騒ぎだったが、札幌に来ていた観光客はいるのだろうか?



新千歳空港に着き、腹が減って来たので、おにぎりを2個購入。待合室に入ろうと思ったら、どうもいつも使っているICカードを忘れてきたようだ。おっと、どうやってチェックインするのか困る。焦りながらスマホで入れるのかと思ってやってみると、無事に進むことができた。初めて使ったよ、スマホのチェックイン。

やっと少し落ち着いて、先ほど購入したおにぎりを食べる。その後、無事に飛行機に乗り込み(8時半発)、本を一冊読んで羽田空港に到着。2泊3日の出張であれば、3冊本を読むことを目標にしているのだが、なかなかそれも難しいのが現状である。

羽田に着くと小雨らしい(10時過ぎに着いたが、こんなに頑張らなくてもよかった)。モノレールで浜松町へ、山手線で上野へと向かい、外に出るとほぼ気にならない程度の小雨になっていた。途中見える川(なのか?)の様子は、台風一過とあって、かなり水が濁っているようだ。



今日の一か所目はこちらへ。



■東京国立博物館「文化財よ、永遠に」。いわゆる総合文化展(常設展)で見ることのできる展覧会だ(しかし、出品目録が無いのか…)。

「阿弥陀如来立像」:なんと投入堂のご本尊である阿弥陀如来がお越しになっていた。コケシ風の顔立ちに、手のひらにくっきりと3本の手相線が目立つ。線は手のひらを横断する方向に2本、それを貫くように1本くっきりと入っている。振り返って、他の仏像の手相を見てみると、大体横方向1、2本しか線が入っていない。今まで気にしたことは無かったが、珍しいのだろうか。
「十二神将立像」:滋賀県金剛輪寺の十二神将が6人お越しになっている。色彩が鮮やかだったことが想像される、小ぶりな体は、実にフィギュア感が強く、コレクター魂をそそるなあ。

この後、本館を見て回る。まずは国宝室「十六羅漢像(第七尊者・第十尊者)」。



森川杜園「観音菩薩立像(九面観音)(摸造)」:素晴らしくよくできている。



次は展覧会と言うほどではないが、東洋館での「博物館でアジアの旅」へ。



諸炘(火へんに斤)「春水吹簫図扇面」:中国は清時代の作品。扇に画というと即興的なものをイメージするが、実に精密なのである。



と言うところで移動しよう。東博では今日から「正倉院の世界」が始まるはずなのだが、初日とあってさすがにパス。どのくらい混雑しているのかも分からなかった(チケット売り場はそれほどでもなかった)。

恐ろしい地獄と化していたのは、東京科学博物館。3連休最後で、昨日は一日閉じこもっていた人が多いから集中したのだろうか。驚くべき混雑になっていた。後は、上野の森美術館の「ゴッホ展」も予想通りの行列ができていた。

20191012ギャラリー巡り

2019年10月12日 17時00分41秒 | ART
本日は芸森→法邑→大丸→三越→スカイホール→さいとう→ARTスペース201→オマージュ→富士フイルム→大通→道新→SCARTSの12か所。芸森に行くのに時間がかかり、それでも食事・休憩をはさんで、計8時間くらい頑張った所で挫折。

■札幌芸術の森美術館「奇跡の芸術都市バルセロナ展」。
ジュアン・プラネッリャ「織工の娘」:貧しい階層の子供は、小さな頃から仕事をしなければならない。近代的リアリズム絵画。
フランセスク・マスリエラ「1882年の冬」:今展覧会のイメージシンボルだが、この裕福な生活もバブル崩壊直前の話だったらしい。


→記念撮影用の枠。

アントニ・ガウディ(デザイン)、カザス・イ・バルデス工房「カザ・バッリョーの組椅子」「カザ・バッリョーの扉」:まるでイエスのレコードジャケットにでも出てきそうなデザイン。素敵だな。
ジュアキム・ミール「貧しき者の大聖堂」:1898年の作品だが、建築中のサグラダ・ファミリアが描かれている。そして今でも建築中。
パブロ・ピカソ「カルラス・カザジェマス」:仲間の画家を描いた暗くもカッコイイ肖像画。しかし、その人は自殺してしまったとか。

サルバドール・ダリ「裸婦」:若い頃(20歳前なのか)の作品で、のちのダリらしさはそんなにない。裸婦の首から上が、作品の外に向かって消えているのが、それらしいといえばそれらしい。
サルバドール・ダリ「ヴィーナスと水兵(サルバット=パパサイットへのオマージュ」:キュビスム風で、どちらかというとピカソを思わせる。
サルバドール・ダリ「幽霊と幻影」:雲が何か悪い予兆めいた雰囲気で、小さく描かれた人、水たまり、レンガの壁は実に精密。ダリらしくなってきた。

「奇跡の芸術都市」と作品タイトルにあるが、どちらかというとそこに住む市民(スペイン全体、ヨーロッパにおける位置を含めて)の階層差や政治的な要素が大きく影響しているように思えた。しかし、そういうことがあってこそ生まれる芸術があるというのも事実。複雑な思いの残る展覧会であった。

美術館のB展示室ではコレクション選「1925 胡蝶園とその時代の画家たち」ということで、本間紹夫の別荘「胡蝶園」で交流のあった画家などを取り上げた展覧会をやっていた。


→都心部よりは気温が低いせいか、紅葉が始まっている。

■札幌芸術の森工芸館「彫刻の動き展」。
アルナルド・ポモドーロ「羽ばたき(習作)」:先日、東京都現代美術館でも見たポモドーロの小品。この人の作品は球形のイメージがあるが、これは三角錐を二つに分割したような形をしている。その内側のギザギザはポモドーロらしい。

工芸館の建物に入り、右手の販売スペースは廃止になったのか? 会場内に販売スペースがあったので、一時的に移動している可能性もあるが、どうにも寂しい話である。



バスは次のを逃すと30分来ないので、ちょっと急ごう。





■茶廊法邑「森弘志の静物画展」。これは見に行かなくてはと思っていた。食べ物をキャンバス一杯に描くシリーズは「せんべい」「かんづめ」「さしみ」「みそしる」「あたま」「サンドイッチ」と続いている(ちなみに「あたま」は魚の頭である)。いずれもそんなに美味そうに見えないところが、意図的なのかどうなのか。

F4サイズのシリーズでは「いものめ360%」「とうだいつぶ560%」などが特にリアル度が高くて好みである。会場にはってあった「何故わたしは今、静物画を描いているのか」という文章を読んでいたら、法邑さんから「真剣に読んでいる人には、上げて下さいと言われてます」と、解説のコピーを頂いた。

■アートスペース「北の妖怪展」。
古田萌「山鳴り」:この方の作品は久しぶりに見るような気がする。



■ギャラリー・オマージュ「NEO(n). GINZA TOKYO」。東京銀座を舞台にしたスナップ風イラストの展示。
sachiko「資生堂パーラー銀座本店」:私も銀座には結構行くが、私に縁のありそうな場所はあまりなかった。


20191005ギャラリー巡り

2019年10月05日 16時42分32秒 | ART
本日は近美→資料館→市民→三越→SONY→さいとう→スカイホール→CAI02→オマージュ→富士フイルム→大通→SCARTS→大丸の13か所。

■北海道立近代美術館「カラヴァッジョ展」。ついに未到着作品は札幌会場では展示断念とのこと。よって、再入場用に配布されていた券を使うことになった。普通の入場券を持っている人は2回入場できるようだ。それから、心ばかりのお土産ということで、カラヴァッジョ作品の絵葉書が2枚いただけることになった。



■札幌市民ギャラリー「第61回学生美術全道展」。これが最後の開催となるらしい。



足立愛海「繁茂」:植物要素が入って見えるところが面白い。奨励賞。



橋本幸奈「もう還れない」:相当な迫力と描写力の作品。優秀賞。



工藤もも「これから」:こちらも危うい女性の姿を描いて、魅力ある作品。全道美術協会賞・北海道美術館協力会賞。



この展覧会、最高賞に輝いた人の中には、私がパッと見ただけでも、安田侃、川本ヤスヒロ、武石英孝、福井ルカ、波田浩司、石垣亜希、宮内ちひろ、清武昌、梅木美呂と中々のメンバーがそろっている。せっかくの展覧会をやめてしまう理由は何なのだろうか。

■αプラザ札幌「写真家 北山輝泰 作品展 TRAVELLER ~世界の星~」。金星と銀河を1枚の写真に収めた作品(金星は太陽の近くにしか見えないため、銀河と一緒に撮影することは非常に困難)など、そう簡単に見ることのできない星空を撮った作品展。本人の話で「星の光だけで自分の影が見えた」という体験談も興味深い。

■さいとうギャラリー「丸藤真智子展」。
「ホダの子」:色も形もにぎやかだが、取っ散らかった感じがせず、バランスが良い。何となく縄文テイストを感じる不思議な作風である。
「あしたの雨」:これは割と単色の背景に、オバQのO次郎の顔を描いたような作品。こちらも単純にして、バランスが取れている。

■CAI02「荒木悠 新作映像展「RUSH HOUR」」。火をめぐる人間の営みを映像化した作品。私が見た範囲では炉ばた焼きのシーンがずっと流れており、違う意味で興味津々で見た。

大通美術館のエレベーターホールで、留萌炭田の瀝青炭を発見。大五ビルヂングは留萌炭田の主力鉱である羽幌炭鉱を経営した羽幌炭礦鉄道株式会社が建設したという関係があるとの記載がされていた。



■SCARTS「Collective P -まちとプラザを繋ぐ搬入プロジェクト-」。地下鉄駅で作成したピース(発泡材)を地下鉄に載せ、地下街を通って搬入して公開設営したものだそうだ。



■大丸画廊「CINQ Lumiere 愛知県立芸術大学出身作家5人展」。それぞれ面白かった。

時間がないので、感想は省略気味。手抜きである。

20191013追記
全道展交流紙「ZEN No.58」に次のような文章があった(私の解釈で意図をくんで縮めています)。
・学生美術全道展の出品数が減少している。1995年は500点超、2018年には146点。
・出品する高校も限られ、音威子府以外の地方の高校名は入賞・入選からほぼ消えた。
・道展U21、高文連への出品に時間を取られる。予算削減、大作品を制作する場所がない等。
・入場者数も減っていることもあり、全道展本展を中心に考えるべきではないか。
・承認されたものの、会員は本音では学生展を残したい気持ちは多かっただろう。

思いがけず東京(4)

2019年09月23日 15時11分16秒 | ART
■泉屋博古館分館「文化財よ、永遠に」。修復した文化財を取り上げた展覧会である。
「弘法大師捨身図」:弘法大師7歳、かわいいお姿である。
「草虫図」:13世紀の元の作品で、横2mはあろうかという立派な作品。
狩野一信「五百羅漢図」:増上寺の例の濃すぎる作品が5点展示されていた。

「法華経一品経・授記品第六」「無量義経」:いずれも埼玉慈光寺に伝わる国宝。いいものを拝見した。
曾山幸彦「弓術之図(弓を引く人)」:遠目には写真のようなリアリズム作品。

ロビーにある給茶機で、珍しいことにシークワサー(だったかな?)のジュースがあり、それを頂いた。少々甘すぎるようだが、なかなか悪くない。



ここからは歩いて行ける美術館シリーズである。

■大倉集古館「開館記念 大倉集古館名品展」。リニューアルオープンして初めての展覧会。
藤原定実「古今和歌集序」:様々な色の紙をついで、流麗な文字が書かれた作品。国宝。
「普賢菩薩騎象像」:これも大倉の名宝。見るのは2回目かな。国宝。
小林古径「木莵図」:金泥の背景にピンクの梅が鮮やか。
下村観山「不動尊」:青と金泥の炎、上手い。

■大倉集古館「桃源郷展」。与謝蕪村、呉春あたりがメインの展覧会。
呉春「武陵桃源図巻」:絵巻物の前半部だけが展示されていたが(期間で場面を切り替えるのだろう)、全く人物が登場せず、雄大な自然が描かれている。

昔の美術館のイメージを残しつつ、立派なエレベーターを作り、地下一階にはミュージアムショップとロビーができていた。久しぶりの新しくなった大倉集古館。なかなか楽しく拝見できた。





ここからさらに、初めて行く美術館へ。

■菊池寛実記念 智美術館「藤本能道 生命を描いた陶芸家」。入口が1階で、展示室が地下であるためらせん階段を降りる。この階段の手すりが、横山尚人「ガラス手摺」という作品で、あまりの華麗さに驚く。これは触れないわ。

藤本能道の作品はデザイン的ではなく、白い陶器に1点物の絵付けをしている絵画的な作品が多かった。食器もあったが、6・8・12角形など、角型の作品が目についたように思う。ま、作品よりも美術館の建物に少し驚いてしまったか。




思いがけず東京(2)

2019年09月23日 11時50分04秒 | ART
6時に目が覚めたが、あまり早く起きてもしょうがない。2度寝して7時過ぎに本格的に起床。朝食は寿がきやの岐阜タンメンまぜそば。かなりガーリック風味と辛味が強い。麺はもちもちして、なかなかできが良いような感じがする。

 

さて、飛行機の状況を見ると、なんか普通に飛んでそうだ。今日の午前中移動でも良かったのかもしれないが、結果的に(会社の金で)今日を有効に使えるので良しとしよう。

9時半になり、ホテル近くのバス停からバスに乗る。普段は通勤に使っているバスなのである。このバスは終点がスカイツリーなのはどうでも良いのだが、車内アナウンスで「東京都現代美術館前経由」というのがいつも気になっていた。あの美術館はどの地下鉄駅からも遠いのだが、このバスに乗ればその前まで行けるのかと。



普段はさすがに逃避せずに会社前で降りるのだが、今日は会社前の停留所を通過して、さらに先に進む。あまり聞いたことの無い地名に、この辺に住んでいるらしき人たちの乗降を見ながら、約35分で到着。実に14年ぶりの現代美術館だ。





■東京都現代美術館「あそびのじかん」。やたらに親子連れが多いと思ったら、参加型作品の多いこの展覧会が開催されていた。子連れでもなく、休日らしからぬ服装(さすがにスーツの上着は来ていない)の私は浮きまくっていた。

開発好明「受験の壁」:3段につまれたタンスの1段目には昇ってもOK。親子連れが非常に楽しそうなのだが、皆さん、作品のタイトルは見たのかね?



TOLTA「ロボとヒコーキ」:紙飛行機を飛ばして作る参加型作品。ロボの上に飛行機が乗ると、願いが叶うのか?



うっかり間違って3階に来てしまったのだが、先ほどのタンスの隙間に奥への入口があったのだ。



野村和弘「笑う祭壇」:ボタンを離れたところから投げ、棒の上に乗ったら成功という作品なのだが、どうみても乗りそうにない。もし誰かがあの上にボタンを載せたら、拍手が鳴るに違いない。





作品名不詳だが、迷路のようなところに迷い込む。後戻り禁止ということで、やむを得ず(高いところが好きではないのだ)階段に昇って進む。



だいぶ省略したが、親子連れが大勢詰めかけていた展覧会であった。



■東京都現代美術館「MOTサテライト2019 ひろがる地図」。
今和泉隆行「中村市内の粗大ゴミ」:架空の大都市、中村市(これでなごむる市と読ませるらしい)の地図を作り、その町での暮らしを創造する作品。このゴミ袋も中村市指定ゴミ袋で、椅子には粗大ゴミ用のシールが貼ってあるのだ。



マリー・コリー・マーチ「アイデンティティ・タペストリー」:鑑賞者が自分が当てはまると思うメッセージに毛糸をかけていき、その結果として食べストリーが生まれるという作品。

全体像はこんな感じ。



自分の生まれた土地からスタートするのだそうだ。



こんなキーワードが途中にあるのだ。





次も作品名・作者名を記録し忘れた。



栗田宏一「ソイル・ライブラリー JAPAN」:日本国内365カ所の土を瓶に入れたもの。



この辺の土は赤っぽい。



そしてこっちは緑っぽく見える。



いろいろと考えさせられる作品が多い。

■東京都現代美術館「MOTコレクション ただいま/はじめまして 第2期」。
アルナルド・ポモドーロ「太陽のジャイロスコープ」:非常に巨大なこの作品がシンボリックに迎えてくれる。



毛利悠子「I/O」:この人の作品を見たことのあるかたは想像つくだろうが、いろいろなものがこっそり動いている。



外に出ると、鈴木昭男「「点音」and”nozomi”」があった。



そして最後は、宮島達男「それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く」。デジタルであるため、一見永遠に続くように思える営みだが、20年間これを灯し続けたところ、個々のLEDの明るさに個体差が生じて来たとのこと。そこで休館中に点検・修復をしたそうで、何だか興味深い。



また、外に出ると、アンソニー・カロ「発見の塔」。1日3回登るタイミングがあるようだ。



リチャード・ディーコン「カタツムリのようにB」。


20190921ギャラリー巡り

2019年09月21日 16時00分22秒 | ART
本日は三岸→資料館→富士フイルム→らいらっく→三越→SONY→スカイホール→さいとう→ivory→ARTスペース→500m→道新→チカホ→赤れんがテラス→大丸の15か所。

まさに北海道の秋空。好天の中スタート。



■三岸好太郎美術館「三岸好太郎と幻想のイメージ」。今回は三岸以外のシュルレアリスム作品の出品に期待していた。
荒井龍男「静寂」:近美収蔵の作品らしいが、初めて見たのではないか。
小川原脩「断層A」:小川原の植物系シュルレアリスム作品が数点でていたが、これは初めて見るかも。岩山の様子を描いた作品。
国松登「夕凪」:ピンクの海に蝶を描いた、今回にはピッタリの作品。

国松登「題不詳」:フォーヴと言うしかない作品。こういうのも描いていたのか。
サルヴァドール・ダリ「『シュルレアリスムの思い出』シュルレアリスム的な美食学」:よく見るとエッシャーに登場する小鬼のようなものが描かれている。ダリはエッシャーって評価していたっけ?

■三岸好太郎美術館「#みまのめ VOL.5」。
田中咲「戦争ごっこ」:何とも肉感的な所と、昔の子供雑誌のような味わいが共存している。



片野莉乃「ホームシック」:情報からの視点と点描が特徴的。



福田亨「白雨」:雨に打たれ、傷んだ羽で飛ぶ蝶。立体木象嵌という技法で、素晴らしい作品を作っている。



佐々木育弥「<stones>より」:北大博物館の標本を撮影したものらしい。絵画的である。



たまたま観光に来ている人も多いせいか、観覧者も普段よりは多かった気がする。



札幌市資料館前から。



■らいらっくギャラリー「柴崎康男展」。
「秋色」:全体として「抽象風景」とでもいうか、独自の画風に磨きがかかっている。この小品は色彩がとても素敵だ。

■さいとうギャラリー「(学生さんの展覧会。ネットで検索しても展覧会名が出ませんな)」。
松尾星奈「人間の線」:人間を「毛」の部分だけ描いて表現した作品。かなりの要素(性別、体格)が見て取れるものだ。
角谷怜花「29年間の外側」:自宅前で時を置いて、母子2代の写真撮影をしたもの。写真に物語要素を上手く持ち込んでいる。

■ARTスペース201「米林和輝 個展”Who”」。あなたは誰かと問いかけるように作ったインスタレーション。まだ自己を確立していない人は、向き合ってみると良いのでは。



■500m美術館「思考するドローイング」。
平山昌尚「8335」:星、月、雲、太陽か? 原初のドローイングという感じ。



富樫幹「in motion/線」。横長であることを生かし、人が流転していく様。



今日は映像展示でいくつか表示されていないものがあった。事務局への簡単な連絡方法をどこかに記載してもらえないものだろうか。



玉山拓郎「Video for KURODEKO ”Copenhagen”」:道具たちがリズミカルに動く、分かりやすい作品。



■500m美術館「The WALL 鈴木ヒラク」。フゴッペ洞窟と手宮洞窟から影響を受けて作ったものらしい。



■チカホ北3条交差点広場「PARC9」。



谷本真理「ごっこ?」:擬人化した指たちが「膀胱炎の辛さ」について話し合うビデオ作品。何だか好きだ。



小林椋「草から峰から」「ましてや皿として沢」のどちらかの作品。:回転するモニターにはチカホの風景と謎のオブジェが登場する。



しかし、そのオブジェはモニターのすぐ裏にくっついているのだ。



■大丸画廊「俊英日本画作家・十人十色」。
阪本トクロウ「呼吸」:青いガラスコップという、日本画イメージから遠い静物をリアルに描いた作品。

祝日含んで東京(1)

2019年09月16日 16時23分32秒 | ART
今週は営業日が4日しかないので、久々の休日移動で東京に向かうことになった。朝、バスに乗って(歩くと25分くらいかかるのね)、JR琴似駅へ。

さすがに今日は混雑しておらず、座って札幌駅へ。しかしながら、ここから急に電車が混雑し始めた。服装や荷物を見る限り、遅い夏休みか、この3連休を札幌で過ごしたのかと思える人が多い。スーツを着ている私は浮きまくって、新千歳空港へ。

今日乗る飛行機はほぼ満席だったが、かなり前方席の窓側で、あまり圧力を感じないで過ごす。普段ならば寝るケースであるが、たまたま読んでいた本が強烈に面白く、読み続けたまま羽田空港へ。

羽田ではまだ雨が降っている。モノレールに乗り、浜松町へ。さらに上野に移動したときには、幸いなことに雨は上がっていた。

休日移動と言えば、今日の一発目はこちらである。

■東京都美術館「コートールド美術館展」。
ポール・セザンヌ「鉢植えの花と果物」:物の配置と軸線が気になる、幾何学的作品。
ポール・セザンヌ「カード遊びをする人々」:ガシッと男おとこした作品。塗残しがあるのも粋な感じさえ。
アンリ・ルソー「税関」:自らが勤めていた税関を描いた唯一の作品だそうだが、架空の風景らしい。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「春、シャトゥー」:草むらで背中を向けて立つ人。これは素敵なルノワールだ。
ピエール=オーギュスト・ルノワール「桟敷席」:これも傑作だよなあ。
エドガー・ドガ「舞台上の二人の踊り子」:奥に踊り子を描き、手前に広いスペースがある。ここに踊り子が移動してくる、動きを予想させる作品。

エドゥアール・マネ「草上の朝食」:オルセー美術館にある同名作品の背景を検討するために描いた作品らしい。まさかあの作品がと思って驚いた。
エドゥアール・マネ「フォリー=ベルジェールのバー」:やや虚ろな顔をした女性バーテンダーが描かれた、非常に有名な作品。画の正面に行くためにしばらく待っていると、まるでバーカウンターで酒の注文をするために待っているかのようだ。ぜひ注文で一言交わして、彼女を微笑ませたい気になる(←これって恋?)。ちなみにカウンターの上の酒瓶はバスペールエール、シャンパン、緑色のリキュール(どこかで見たことがあるような)など、ここで酒を頼んだら、何が飲めるのかなあ(多分、氷が潤沢に無いから、辛いかもな)。



オノレ・ドーミエ「ドン・キホーテとサンチョ・パンサ」:黒い塊のような二人と馬。異星のサイボーグかのようだ。
エドガー・ドガ「窓辺の女」:逆光で顔が見えない女性。母のような、滅茶苦茶イイ女のような。
エドガー・ドガ「傘をさす女性」:水墨画のような未完に見える作品。やはりすごい。

ポール・セザンヌ「曲がり道」:この未完成な塗りにして、セザンヌ100%の作品。
ジョルジュ・スーラ「クールブヴォワの橋」:静寂の中、煙突から登る煙だけが動きを示している。
ジョルジュ・スーラ「釣り人」:点描ではないが、絵になるワンカットを描かせたらスーラは凄いね。

ポール・ゴーガン「テ・レリオア」:民族的なものを単に物珍しく描くだけではなく、象徴としている。もちろんそれが、文明による勘違いだとしてもだ。
ポール・ナッシュ「サミュエル・コートールドの蔵書票」:デザインカッコいい。

あらためて、ドガ、スーラ、ゴーガンの素晴らしさが分かった気がする。しかし、そんな中でもやはり心に迫るのは、マネの「フォリー=ベルジェールのバー」だ。これはきっと、私がバー好きだからだろう。



今日の上野はこのくらいにしておいて、京橋に移動。

■TODA BUILDING「TOKYO 2021 un/real engine-慰霊のエンジニアリング」。「2021年以降を考えるために」というサブタイトルがついた建築展(終了済)と美術展が近く建て替え工事が始まるTODA BUILDINGで開催されていた。

入場は無料だが、事前にインターネット申し込みが必要だという今風の展覧会。時間がありそうだったので、申し込んでおいたのだ。展示は大きく二つに分かれおり、一つ目は「祝祭の国」と名前がついている。1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博を通して、2021年以降を占うような展示らしい。

藤元明「2026」。祝祭の後には廃墟の予感しかないのか。



檜皮一彦「hiwadrome:type THE END spec5 CODE:invisible circus」。何がタイトルなのやらさっぱり分からない。



弓指寛治「黒い盆踊り」。祝祭のような、禍々しいような。



キュンチョメ「日陰の太陽」「行方不明の太陽」。やはり万博モチーフが目立つ。



「万博ベンチ」は本当に1970年に制作されたものらしい。



やっぱり現代美術って分かるような、分からないような…。

続いて「災害の国」へ。思えば私が生まれてからも、日本は災害の連続であった。展示作品は見ると気になるものが多いのだが、写真撮影するという感じでもない。特に渡邉英徳「「忘れない」震災犠牲者の行動記録」という作品は、東日本大震災で犠牲になった人の死の直前の行動を可視化したデジタルアーカイブで、必要なことなのかもしれないが、平静には見ることができない。

SIDE CORE「意味のない徹夜」。



地下鉄駅まで歩こうとすると、アーティゾンミュージアム(もとはブリジストン美術館)の建物が見えてきた。



こんなスケールで建て替えするんだったのか。ちょっと驚いた。


20190914ギャラリー巡り(小樽含む)

2019年09月14日 16時48分46秒 | ART
本日はプラニス→小樽博物館→旧手宮線跡地→小樽芸術村→小樽文学館→小樽美術館→小樽市民ギャラリーの7か所。

■プラニスホール「鼓動する日本画」。とりあえず見ておくことにした。
三瀬夏之介「web ufo」:web上でufoとタグ付けされた画像をコラージュしたものらしい。ごく普通に色彩が魅力的な抽象画としてみていた。



平向功一「流氓」:この車であてもなくさすらうのか…。いや、すべての人は何かに乗ってさすらっているのか?



JRで小樽に移動し(結構込んでた)、小樽駅前からバスで手宮へ。正直な所、小樽のバスは分かりにくい。いまだに在住市民のことしか、考えていないのではなかろうか。どうしてバスターミナルに分かりやすい路線図がないのだろう…。

手宮からは博物館の手宮口から入り、ちょうどアイアンホース号の運行に出くわした。一時期故障していたという話も聞いていたが、無事に運行され、多くの親子連れが乗っていたようである。


→動いているところなのだが、静止画のため臨場感がない。

アイアンホースとすれ違い、博物館本館へ。


→これは扇形車庫かな。

今日の目的はこれなのである。

■小樽博物館「星コレクション -北鉄路の記憶【昭和編】-」。





国鉄時代の「あさひがわ」駅。私ももちろんこの時代(写真は昭和36年なので、生まれる前)の旭川には行っているが、自分が「あさひかわ」と「あさひがわ」のどちらで発音していたかは記憶にない。



バスで小樽の中心部に戻る。

■小樽・旧手宮線跡地「小樽鉄路写真展」。印象的なのは昨年の北海道大震災直後の写真を集めたもの。自分自身は2日間停電だっただけで、被害も苦労もないため「のど元過ぎれば…」という状態になっているが(しかも震災3日目から四国旅行に行った)、いろいろあったなあ。

ここで、小樽博物館運河館に行くのを忘れる。

■小樽芸術村「浮世絵コレクション第4期 月岡芳年「月百姿」」。古今東西の有名人(古くは曹操から)が眺める月、季節の月を特集した展示である。第3期を見そびれてしまったのだが、これからも小樽芸術村の展示には期待したい。

今回の展示は旧三井銀行小樽支店で行われているのだが、建物の一角には新たにガラスランプとステンドガラスの展示が増えていた。まだまだお金かけまっせ(なぜか関西弁)というところか。



■小樽文学館「Deep小樽 写真を読む」。小樽のいろいろな地区を撮影した写真展示があったが、やはり私は街の写真が好きなのである。素敵な看板を見つけたり、当時のメニューやその価格が分かるような写真があるととてもうれしい。そういう意味では「写真を読む」にマッチした男である(意味は違うと思うが…)。

2009年の花園の写真には「大衆酒場第一モッキリセンター」の看板が写っていた。2012年の稲穂では「コーヒーショップつどい」に明かりがともり、やっているように見えるではないか。こういう写真が好きなのである。



■小樽美術館「中村善策「空のいろ、海のいろ」」。大体見たことのある作品だと思うが、なぜか未完だと思われる「山村流水」という作品が展示されていた。絶筆でもないようだし、不思議である。

■小樽美術館「北海道の緑 佐藤進・佐藤道雄と一水会の画家たち」。
佐藤道雄「鉄塔のある丘」:近くで見ると葉っぱの描写などは適宜省略されているのだが、遠目に見ると緑の涼しさがある。
中村善策「大沼と駒ケ岳」:山の頂点が鋭く、その上に浮かぶ小さな雲も素敵な作品。
中村哲泰「灯台の見える風景」:ゴツイ岩と深い海の対比が素晴らしい作品。

中村善策「積丹半島白岩」:これも岬の天辺が高く、エッジの効いた小品。
金丸直衛「虹と北の港町」:最後に虹がでて、スッと明るくなるような面持ちだ。

最後に全体を一周して見て回ったが、どこか涼しくなってきた北海道の自然の中を散歩したような気分になる展覧会であった。


20190907ギャラリー巡り

2019年09月07日 16時40分56秒 | ART
本日は資料館→教育文化会館→らいらっく→富士フイルム→大通→グランビスタ→道新→SCARTS→HOKUBU→JR ART-BOX→大丸→紀伊国屋→三越→さいとう→ARTスペース→アリアンスの16か所。頑張ったよ、私。

■教育文化会館「描くことは生きること、抵抗すること、心をつなぐこと」。ソヘイル・セレイムの風景画は色彩に特有のものがあって、なかなか良かった。しかし、政治的なメッセージが重い(実は私は良く知らないのだが…)。

■グランビスタギャラリー「GOZA -直線があやなす花ござ-」。アイヌ民族文化財団の所蔵する作品が展示されているようだ。布製品はよく見かけるが、「ござ」はあまり見たことがないような気がする。

■SCARTS「鈴木康広 雪の消息|残像の庭」。オープンスペースにも作品が展示されているが、SCARTS COURT、SCARTS STUDIOは入場料500円がかかる。ちょっと「おおっ!」と思ったが、ケチらないで拝見することにした。

まず1階のスペースには18mの大きさがあるという「空気の人」。目を引く作品だが、あまり興味を持って眺めている人、写真撮影をしている人がいない。「空気の人」だから、目に入らないのかも。



「まばたき証明写真」:証明写真の自動撮影機と同じ形をした作品。実際に瞬きを検出して写真を撮影するらしく、「あなたが目を閉じているあいだも、あなたが存在することを証明します」というコンセプトの作品らしい。しかし、私が行ったときはちょうど故障していて調整中とのことであった。まあ、私は写真に写るのがあまり好きではないので、やらかなったと思うが。

有料会場に入場する。

「氷の人」:最初はガラスかと思ったが、本当に氷でできている人物像が刻一刻と溶けていっている。その一体を撮影しようとした私の目の前で、人物像が溶けて壊れ落ちた。撮影は出来なかったが、ナイスタイミングだったかも。



「まばたきの葉」:2階オープンスペースで展示されていた作品。柱のような装置に木の葉を差し込むと、空気の圧力か何かで天辺から飛び出してくるという仕組み。葉っぱには開いた目と閉じた目が描かれている。



柱の天辺から木の葉が飛び出すと、くるくる回転して瞬きをするかのように落ちてくる。



空気の流れで動きが変わるので、変化があってなかなか見飽きないのだ。床に落ちたものは再び飛ばすことができる。



「遊具の透視法」:回転する球状のものに映像を投影したもの。記憶を再現する可能ような乱れた映像が効果的だ。



いや、一見の価値はあると思う。

■HOKUBU記念絵画館「影の静かな影響」。疲れてきたので、とりあえずコーヒー&甘いもの休憩。いつもありがとうございます。



小野隆夫「隠された危険な関係」:目の部分だけの黒いマスクと目を描いた作品。視線が気になる。
小野隆夫「失くしてしまった」:人型の板に人物を描いた作品。こちらも遠くを見ているような視線が気になる。
久藤エリコ「うたかた」:2階で展示されている久藤エリコ作品は撮影&SNS投稿が可能(ブログは厳密にはSNSではないとおもいますが、同義と解釈しました)。壁面から距離を取ることで影を浮き立たせ、なおかつ、一つながりであることや、平面であることにもこだわらないという作者のチャレンジを堪能できる。このくらいのスペースで展示してくれると、やはり楽しいものだ。



SCARTS、HOKUBU記念絵画館ともにもっとたくさんの作品が展示されているのだが、それをすべて写真で公開してしまっては味気ない。特徴的なものをいくつか紹介するにとどめているので、ぜひなるべく実際に見に行って欲しいものです(そもそも行けない人、申し訳ないが諦めて下さい)。

■JR ART-BOX「藤原千也 太陽のふね」。列車の発着場におかれた、木の舟。



■さいとうギャラリー「加藤宏子彫刻展」。紙質の彫刻の中に明かりを入れた作品が綺麗だった。

■ART-SPACE201「浅川茂展 遠い日々の心象V 1998-2019」。どこか香月泰男を思わせる色彩の抽象画が良かった。

■札幌アリアンスフランセーズ「モノクロ写真マニア 札幌展」。10人の写真家の作品ということで、好みは多少別れると思うが、水準は高いように思えた。

20190831ギャラリー巡り

2019年08月31日 17時28分23秒 | ART
今日は三岸→資料館→三越→SONY→さいとう→富士フイルム→大通→道新→大丸→道庁の10か所。14時からイベントがあるため、あまり多くは回り切れなかった。朝は小雨降る中をスタート。ちょっと涼しい。



■三岸好太郎美術館「まぼろしミギシとともに」。展示されている作品はいつもの通りこの美術館所蔵のものなので、あまり新鮮味がないが、所在不明、または喪失した”まぼろし”の作品の複製パネルが展示されている。そこに目が行くね。

「築地風景」:日本美術展覧会(1923年11月)に出品された作品。



「レビューの男」(左):第1回独立展(1931年1月)に出品された作品。
「馬に乗る道化」(右):同上。



「ビロードと蝶」:第4回独立展(1934年3月)に出品された作品。



「ダイナミーク」(左):第3回独立展(1933年1月)に出品された作品。
「新交響楽団」(右):同上。



2階奥では「フランク・シャーマン コレクション-あるアメリカ人を魅了した浮世絵」の展示がされていた。



揚州周延「金閣寺山門之場」:非常にカラフル。



ところで、この美術館には地下鉄西18丁目駅から、知事公館の庭を経由していこうと思ったのだが、途中にテープが張られ通行止めになっているようだった。近くにある掲示を見ると、オオスズメバチの巣があり危険とのこと。何とも恐ろしい話だ。





■札幌市資料館「武井裕子絵画展 水彩で古を思ふ」。薬師寺や興福寺など、寺社仏閣を描いた作品。落ち着いており好感が持てる。

札幌市資料館で久々に「一石を投じる」を見た。頂上部から草が生えているのは見えたが、花は咲いていないようだった。



街中に出てくるころには、日差しも強くなり暑くなってきた。半袖で出かけてきたのは正解だったようだ。



■道新ギャラリー「川瀬裕之・支倉隆子2人展」。川瀬裕之の絵画はどこか懐かしいような、そして夢に出てくるように縮尺が極端に強調されたような、魅力あるものであった。

■大丸美術画廊「関根伸夫と「もの派」特集 世界の前衛巨匠作家展」。見たことのない傾向の作品もあり、良い展示だった。アンディ・ウォーホルのキャンベルスープ缶の作品(1188万円)が売れていたようだった。

■北海道庁道立文書館展示室「さよなら赤れんが 北海道立文書館移転記念所蔵資料展」。東京から来た人に道庁赤れんがでも見せておくかと立ち寄ったので、展示そのものはしっかり見ることができていない。9月末までなので、もう一度来るか。


→昭和の大合併、奨励ポスター。


もはや旅行の東京(12)

2019年08月24日 15時30分30秒 | ART


■東京藝術大学大学美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」。
円山応挙「写生図鑑(乙巻)」:クモ、ホタル、竹の子、猿など、細かく生々しい。
長沢芦雪「牡丹孔雀図」:ビシッとゆるぎない描写で、カラフルに描かれた作品。
国井応文・望月玉泉「花卉鳥獣図鑑」:オールカラー植物鳥類図鑑といったところか。

森狙仙「雪中燈籠猿図」:燈籠の中に入り込み、雪を避けている猿が可愛らしい。
岸竹堂「猛虎図」:イタリアのサーカスで実際の虎を見たことがある作者らしく、なかなか怖い虎が描けている。
森寛斎ほか「魚介尽くし」:エイ、フグ、牡蠣、鯛、スズキ、海老、イカ、鰻、カレイ、甘鯛、鮎などを28名の画家が描いている。

河合玉堂「鵜飼」:何かのテレビ番組で見たことがあるような気がするが、確かによくできている。鮎を追うための火が川面に映るところが素晴らしい。
木島櫻谷「山水図」:水墨の要素と近代写実風景画の要素を両方持つ、大スケールの作品。

前期後期の入れ替えが多く、両方見に来なくてはいけない展覧会だが、そういうのは厳しいよね。



■黒田記念館「常設展」。そんなに変わり映えなし。
黒田清輝「雲」:雲を写実的に描いた、6連の作品。



ここで上野から表参道に移動。荷物が邪魔くさい。

■根津美術館「優しいほとけ・怖いほとけ」。この美術館、海外の方に大人気の模様である。
「阿弥陀三尊来迎図」:来迎図で優しそうな仏がいると、実にありがたいね。
「阿弥陀二十五菩薩来迎図」:こちらもとても楽しそうに迎えてくれる菩薩がいる。
「四天王図像」:何となく挿し絵帖のような出来上がりで、これを見て、次々と四天王像を描いたのではあるまいかと思ったりして。

「愛染明王像」:ちょっと変顔の明王。しかし、それ以外の作品が割とパターンにハマっているのに比べて、珍しくて良いのかも。重文。
「愛染明王図」:こちらは重文だが、いわゆる図像的によくできた、シンボリックな明王像だ。
「大威徳明王像」:他の明王が背負っている炎は割とパターン化している(木で作った光背っぽい)のだが、これはリアルにメラメラと燃え上がる炎のように見える傑作。重文。



この他、鍋島の小品と題して、変形皿のコレクション展示をしていたのは面白かった。酒器もちょっと欲しいが、小皿も集めて見たくなるところがある。後は茶道具の展示にあった、「蟹硯」。おそらく短冊を描いて茶会で飾るということだろう。硯の上の小さな葉からチョロリとカニが顔を出しているところは、何とも愛嬌がある。

ロビーの仏像は撮影可能。



この美術館から表参道駅まで10分くらいあるのが辛いところよ。そろそろ美術鑑賞は終わりにして、新橋に移動。