本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

丑年にちなんで

2021-01-04 16:38:29 | 住職の活動日記

「牛」さんは仏教とも縁が深く

いろいろな場面に登場します。

まず、

お釈迦さまは幼少名を

「ゴータマ・シッダルタ」といい

このゴータマのGOは牛という

意味があり、

ゴータマは優れた牛というような

意味合いがあるようです。

 

また、

インドでは牛は神聖な生き物で

牛肉は食べないというので

ビーフカレーはないということを

聞きました。

 

それから、

牛の乳を精製していく段階を

乳ニュウ・酪ラク・生酥ショウソ

熟酥ジュクソ・醍醐ダイゴ

の五つの味で表します。

 

正月には修正会という法要が

勤められその時の護符が

牛王寶印(ごおうほういん)  

といって朱の判を押した護符が

出されます

 

 

これは熊野大社で頂いたものです 

面白いことに神社でもお寺でも

出されます

戦国武将たちはこの札の裏に

起請文といって

神仏に懸けて約束を違えないと

お札の裏に署名捺印したものです

中には重要文化財になっている

ものもあります

今はこうやって頂けるのですが

昔はこのお札の数も決まっていて

差し上げた人の名前まで書いて

残したようです。

 

牛頭天王ゴズテンノウといえば

祇園精舎の守護神で

京都の祇園社(八坂神社)にも 

災いを除く神として祀られ

ています

牛の中の牛の王ということで

仏を指すこともあります。

 

いずれにせよ

牛という動物は昔から

大変重要な生き物として

祀られてきたようです。

 

また、漢字をみて見ると

色々と内容が深いものがあります

「丑」はうしと読み音ではチュウ

と発音します

「草木も眠る丑三つ時」と

時間を表し

「丑寅の方角」といえば

東北の方角、鬼門を表します。

 

牛篇の字ですと

牝メス・牡オスとどっちも牛です

牢屋という字の牢も

牛がつき、もとは牛を入れる

建物のことを指しました。

 

気になったのは

よく使う「物故者」という場合の

物という字も、牛篇です

もとは雑色の牛のことで

そこから、

万物は種々ふぞろい(雑)から

成り立っている

ということです。

最近はよく「違いを認める」

ということをいいますが

本来は皆ふぞろいなものが

集まっているというのがこの世界

ということでしょう。

それで、

「物故」ということも

人の死を表しますが

その人の使っていたものが

みな古くなったということで

死を遠回しに言った言葉です。

 

何気なく使う「特別」の

特もうし篇の字です

おうし、という意味ですが

そこから、すぐれたもの、

おうし、種牛という意味もあり

 

またこの字

「犇」牛を三つ書いて

日本ではひしめくとよみますが

ホンと読み、はしるといういみです

牛が驚いて走る様子です。

 

修行の時

お釈迦さまは

「犀の角の如くただ一人歩め」

と仰っておられます

この犀という字も牛篇で

室生犀星の名前にも入っています

 

最後に牛篇の字には

「犠牲」という言葉があります

いけにえ、ということですが

他人のために一身を捨てる

という意もあります

お釈迦さまの修行時代の話は

「ジャータカ」本生ホンジョウ物語

として、

他の生き物たちを助けるため

自ら犠牲になられた話や

施身聞偈や捨身飼虎シャシンシコ

の話は有名です。

法を求めるために身を捨てる

これは何となく分かるのですが

飢えた虎のために自分の身を

施すという

究極の犠牲の精神でしょう。

 

牛という言葉も

色々見ていくと面白いものが

あるようです。

 

 

 

 

 

 

                        

 

 

 

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