本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『 施身聞偈 』 と 『 捨身飼虎 』

2012-08-09 18:25:47 | 住職の活動日記

 自分の命も省みず、一命を落とされました。

30歳という若さ   …

 とても悲しいお葬式でした。

 

 そのとき、お釈迦さまの物語を思い出しました。

法隆寺の 『 玉虫厨子 』  に描かれている二つのお話です。

『 施身聞偈 』 ( せしんもんげ )   と

『 捨身飼虎 』 ( しゃしんしこ )    という、

仏教の精神を表す根幹の物語です。

 

    

 

 羅刹に教えを請います。

  「 諸行は無常なり   これ消滅の法なれば 」   …

羅刹は言います。

 「 自分は今とても腹が減って、何かつぶやいたのかもしれない 」

雪山童子は

  「 この言葉は確かに真理の言葉です。

    残りの半分を聞かせてください。」

 「 では代わりに自分の空腹を満たしてくれ ! 」

と、羅刹は童子に迫るのです。

  「 わかりました、教えを聞いた後は

    私の身体をあなたに差し上げます。」

 

     

 

 「 消滅を滅し終わって 寂滅の楽と為す 」

この残りの半偈を聞き終わると、

童子はこの文句を書き付け、

自分の体を羅刹の口めがけて飛び込むのです。

 

 教えを請うために自分の体を投げ出す。

  ( ここまでは何とか理解できるのですが  … )

 

次の  『 捨身飼虎 』  の話は

 お腹をすかしたお母さん虎が今にもわが子を食べようとしている。

 

    

 

そこで、太子は自分の身を飢えた虎にささげるのです。

 

 

   

 

今の私たちの感覚からすると、

到底理解できる話しではありません。

 聖徳太子はこの話に深く感動され、

『 玉虫厨子 』  にこの物語を書き記されたのです。

 仏教の説話の中には、自分の身を捨てて他にささげる

という話が数多く出てきます。

 『 忘己利他 』  ( もうこりた )  

己を忘れ他を利するは慈悲の極みなり。

 

 話としてはわかるのですが、

いざ、自分の子どもが  …   と考えると、

なかなか理解しがたいものがあります。

 

 今日の方も  行いとしては立派でも、

「 なぜ自分の子が  …  」

という、割り切れないものが残られているのでしょう。

 

 

 

生ぬるい考えになっていた私に、

『 捨身 』  という、根本的な問題を突きつけられたような思いでした。

 

 

 

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