本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

音響忍・柔軟忍・無生法忍

2020-09-17 20:20:41 | 十地経

「忍」ということも

本当に幅広い意味を持った言葉

ただ、耐え忍ぶというだけでなく

忍は認に通じ認識し許すという

内容も含んでいます。

 

また新たに、

音響忍(おんごうにん)

柔軟認(にゅうなんにん)

そして

無生法忍(むしょうぼうにん)

という「忍」が出てきました。

この言葉は

詳しくは

随順音声忍ズイジュンオンジョウ

思惟柔順忍シユイニュウジュン

修習無生忍シュウジュウムショウ

ともいいます。

 

音響とは音の響きですから

説教を聞いてさとる

ということですから

聞慧モンエ・聞ということです

 

それから、

柔軟忍、心が柔らかくなる

という意味です

柔軟・柔はニュウともジュウとも

発音します

柔道も元の意味には

やわらかな道、柔順の道、

ということがあります。

そこから、「やわら」という

言葉も生まれたのでしょう。

 

柔軟には柔らかい、しなやか

という意味があり、

心が柔らかくなってくると

柔軟(じゅうなん)に

物事を考えることができる

心がもつれてくると

心が柔らかでなくなりますから

頑迷固陋というか

自分の考えに固執してしまい

考えが堂々巡りしてしまいます

そこで、柔軟(にゅうなん)に

なると、

思惟が徹底してくるということに

なってきます。

 

三慧ということからすると

柔軟忍ということは思慧シエ

ということになります。

音響忍・柔軟忍は「聞・思」

ということになり、

無生法忍は「修慧」となります。

 

どうも、忍というと

耐え忍ぶの「忍」が頭から

離れなくて、

「忍」という漢字の姿から

忍=たえしのぶ、ということが

浮かんできます。

ここを切り替えて

忍は認識の忍であると

頭にインプットし直し、

ですから一つの智慧であると

見た方がいいと思います。

 

講義でも、

「忍の種類もあるけど、

 位もある。

 つまり、宗教心、宗教的要求

 というものが、だんだん

 そのような認識を持ってくる

 菩提心がこういう認識で

 菩提心が含んでいる雑夾性を

 排除していく。

 そして菩提心が自己自身を

 純化していく。

 そういう意味で、

 この無生法忍というのが

 相応して起こってくる。」

 

と語られています。

いろいろ複雑に見えますが

智慧を得たといっても

それで終わりではなく

その智慧の中にも不純なものが

たくさんある

それを純化していくという

道程を考えると

忍という智慧の中にも

音響忍・柔軟人忍・無生法忍と

あって、智慧が深まっていく

その過程を表しているようです。

 

その無生法忍も更に三つに分け

喜忍・悟忍・信忍となり

また新しい忍ということが

出てきます。

信仰といっても

それを得たから喜ぶという

それは感情的なものでなく

一つの智慧・さとりとして

認識を深めていくのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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