今から丁度17年前のこと。
私が独立して一人で再スタートした最初の号でした。
以前からやりたいと思っていた自転車特集で、その1年前に結成され注目していた「自転車スイスイ」の会の代表さんを取材しました。
その時に会で月に1度実施しているサイクリングのことを知り、同行取材することになりました。
私は車の免許を持っていないので、取材はいつも自転車のチャリ大好き人間です。
が、この日は小平駅から立川の昭和記念公園まで往復するというので、ママチャリでついていけるか不安でした。
「30キロの予定ですが、遅い人に合わせて走るのでママチャリでも大丈夫。ぜひ参加してください」
「え~っ 30キロも!」とためらいつつも、事務局の方の言葉に乗せられ参加したのでした。
この日の参加は5人、ロードバイクなどのサイクリストの方々に交じって、ママチャリは一人の女性と私のみでした。
ナビゲーターのYさんを先頭に、5人の熟年自転車スイスイ隊が出発しました。
新小金井街道から野川沿いを行き、貫井神社に寄って参拝。
2月19日、快晴の早春の空の下で爽快なサイクリング日和でした。
それから国分寺のお鷹の道に入り、万葉植物園を見学。
その後、お二人が迷子になり、ナビゲーターが引き返すというハプニングもあり・・・
府中街道を横断し、国立市へ入り谷保天満宮へ。
梅の花が5分咲きでしたが、自転車はこういう寄り道ができるからからうれしい。
国立は大学通りしか知らなかったけれど、郊外に乗馬クラブがあったり、田んぼが広がる風景に感激したものです。
でも、何せママチャリ、迷惑かけずについていくだけで精一杯。
「この自転車だとこんな坂道でも平気ですヨ~」と最後尾のガード役のTさんがおちゃめに追い越していくのです。
出発から2時間半、ようやくランチタイムで立川のおそばやさんへ。
ようやく落ち着いて、みなさんからお話しを伺うと・・・
ナビゲーターのYさんは多い時で月に2000キロ走るという猛者。
所持する自転車5台、前の年にはドイツのロマンチック街道を愛車で駆けたとか。
一方、Tさんも利根川を銚子の河口まで360キロ走ったという方でした。
お二人とも60代の入口を過ぎた頃で、第2の青春まっさかりのようでした。
このようなスゴイ方々と一緒に走るなんて厚かましいこと、よくやったものです。
昭和記念公園は塀だけ見て素通りし、帰りは砂川町から玉川上水緑道へ。
美味しい鍋焼きうどんを食べて満腹なのと、睡眠不足のせいかウトウトしそうになったところへ、
Yさんが横道にそれ、農家の梅の古木を見に行くことで気分転換させてくださいました。
多摩のどんな路地にも精通なさっているYさんに感服したものです。
終点の小平駅が見えた時はホントに本当にホッ。
小平、小金井、国分寺、府中、国立、立川の6市を自分の足で駆けたのです。オドロキ!
しかも交通費ゼロ、排ガスゼロ、運動量は私にとってマキシマム。
メーターを覗いていたTさんが「距離36キロになってるよ。初めてにしちゃキツかったかな。ママチャリは30キロが限度だっていうから」。
「ワ~ォ~ッ」
こんな体験をさせてくださったみなさんのこと、今も忘れられません。
独り立ちして不安な時期に次へのステップになった取材でした。
あれから17年、YさんとTさんは80歳近くになられたでしょうか。
きっと、今もカッコよく自転車に乗っていらっしゃるのでは?
あの頃は私も元気いっぱいだったのだなあ、と懐かしく思い出します。
今、36キロはムリ、ムリ、ム~リです。