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私本東海道五十三次道中記~品川宿」の名刹・古刹巡り~北の天王さん・品川神社と板垣退助の墓~(その四)

2011年06月17日 13時00分53秒 | 私本東海道五十三次道中記
当ブログの品川宿の名刹・古刹巡りの(その二)でご紹介した荏原神社と対をなす品川神社は南に位置する荏原神社を「南の天王さん」に呼応して北の天王さんと呼ばれ親しまれています。

その縁起は古く、12世紀後半の文治3年(1187)に安房国(千葉県館山)洲崎明神の天比理乃�起命を勧請して祀ったのがはじまりといわれています。
また家康公とは関わりが深く、関ケ原の戦いに出陣する祭に家康公は当社に詣で神前で太々神楽(だいだいかぐら)を奏でたそうです。そのご利益があってか関ケ原の戦いで勝利した後、家康公は御輿と仮面を当社に奉納されています。

第一京浜に沿って走る京浜急行の「新馬場駅」から至近に位置する品川神社はかつては風向明媚な江戸湾の海原を一望できる高台に鎮座しています。第一京浜の賑やかな通りに面して立派な鳥居が立っています。他の神社にはあまり見られないような、鳥居の両柱には龍が巻き付いているレリーフが施されています。

品川神社石柱
品川神社鳥居
龍のレリーフ(左)
龍のレリーフ(右)

鳥居の脇には「新東京百景」と刻まれた石柱が立っています。実は当社は昭和7年(1932)に新束京八名勝の第三位に選出されたらしいのです。その時の一位が池上本門寺、二位が西新井大師だったそうです。

新東京百景の石柱

鳥居をくぐると見上げるような急峻な石段が天空へとのびています。所謂、これが俗に言う「男坂」なるものと勝手に判断しながら、老骨に鞭打ちゆっくりと登りました。膝がケタケタ笑いそうな位にしんどい石段です。石段を登りきり振り返ると、遥か彼方に天王洲のビル群が目に飛び込んできます。江戸時代には東海道の脇まで江戸湾の波が打ち寄せ、その波打ち際には洲崎の砂洲が広がっていたのではないでしょうか。そしてその砂州にはあの利田神社の祠を遠望できたのではないでしょうか。

石段
石段を見下ろす

石段を登りきると、もう一つの鳥居が迎えてくれます。境内の右手には神楽殿、そして一番奥に拝殿が控えています。境内には梅雨どきの代表花である「あじさい」が彩りを添えていました。

品川神社本社殿
本社殿とあじさい

実は品川神社を訪れた別の理由として、板垣退助の墓を一度詣でたいと常々考えていたことを実現したかったからです。神社にどうして板垣退助の墓が?と疑問に思っていたのですが、板垣退助の墓はかつて当神社に隣接していた東海禅寺の塔中の「高源院」の墓地にあったものなのです。しかし現在、高源院はなく板垣退助の遺言に従って墓だけを残したと言われています。尚、高源院は昭和14年に世田谷の烏山へ移っています。

品川神社の本社殿の裏側へ通じる細い道を進んでいくと突然視界が広がります。ちょうど高台にしつらえられたテラスのような場所なのですが、この一角全体が板垣家の墓域になっているようです。もう少し整備してもいいのではないかな、と思うような佇まいです。

板垣家の墓域
板垣退助の墓
右:板垣退助 左:奥様
板垣死すとも…の石碑

この一角の一番奥におそらく板垣退助と奥様の墓が並んで置かれているようです。確かに立派な墓石が2基立っています。そしてその傍らに「板垣死すとも、自由は死なず」と刻まれた大きな自然石で造られた石碑が置かれています。憲政史に残る偉大な政治家である板垣退助が眠る墓前で、昨今のあきれた政治に愚痴をこぼしてきた次第です。

私本東海道五十三次道中記~品川宿の名刹・古刹巡り(その一)
私本東海道五十三次道中記~品川宿の名刹・古刹巡り~荏原神社~(その二)
私本東海道五十三次道中記~品川宿の名刹・古刹巡り~東海禅寺と沢庵和尚の墓~(その三)
私本東海道五十三次道中記~品川宿の名刹・古刹巡り~大きな地蔵が門前に鎮座する品川寺~(その五)





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しずか)
2011-06-18 00:05:20
こんばんは!
今日はコメントをありがとうございました。

品川神社は、昨年お参りしましたのですが、板垣退助のお墓があることは知りませんでした。
次回訪問する機会があったら、見逃さないようにします。
今の季節は紫陽花が咲いているのですね。
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品川 (iina)
2015-09-29 09:01:37
品川神社の鳥居も、立派でした。

品川神社と東海寺とは、変転があったようでした。

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