大江戸散策徒然噺 Introducing Japanese culture and history

豊かな歴史に彩られた日本の文化と歴史を紹介

晩秋の大山詣で

2013年12月02日 11時53分10秒 | 地方の歴史散策・神奈川県大山詣で
師走に入ったばかりの12月1日、雲一つない冬晴れに誘われて丹沢山系に聳え、信仰の山として知られている「大山」へ女房と一緒に行ってきました。

というのも、東海道中の藤沢から大磯にいたるまで常に右手に見える大山には是非一度行ってみたいと思っていたところ、先々週の「アド街ック天国」で大山が紹介されました。アド街ック天国では大山の黄葉、紅葉が真っ盛りの映像が流されていたのですが、一週間を過ぎてしまったことで、全山錦繍の色づきはあまり期待はしていませんでした。

小田急線の伊勢原駅に降りる人の波は全員が大山詣といっても過言ではありません。駅前には大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)の一の鳥居が私たちを出迎えてくれます。

駅前の一の鳥居

駅前からは大山の麓の「大山ケーブル」まで神奈中バスが運行しています。(片道300円)乗車を待っていると、バス会社の案内係りが拡声器でなにやらしゃべっています。なんと「大山ケーブルの運休」を案内しているではありませんか。

私たちの予定はこのケーブルに乗って麓から大山寺駅を経由して「阿夫利神社駅(終点)」までの「楽ちん」な行程を組んでいたのですが、ケーブルを利用できないということは、この行程を「徒歩」で踏破しなければならなくなったのです。まさに天国から地獄。伊勢原まで来て引き返すことはしたくないので、意を決して歩けるところまで参道を進むことにしました。

伊勢原駅から直行バス(ノンストップ)で大山ケーブル駅までおよそ20分程度。バスは丹沢山系の山並みに向かって徐々に標高をあげていきます。車窓からは田園風景が広がり、山並みが近づいてきます。大山の麓に近づいてくると、街道には大山詣での参詣客のための旅籠(旅館)が目立ち始めます。

そしてバスは大山ケーブル駅へ向けて、急坂を登っていきます。バスを降りて、ケーブルが復旧していることを期待したのですが、その期待は裏切られてしまいました。それこそ老若男女・善男善女が「徒歩」での参詣を強いられることになったのです。
バスの終点である「大山ケーブル」の標高は300mなので、標高696mの大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)の下社までは369mの標高差があります。

こま参道入り口

「行けるところまで」ということで、歩き始めることにしました。歩き始めて最初に現れるのが、狭い上り坂の両側に店が連なる「こま参道」です。およそ400mにわたって参道の両側にさまざまなお店が並んでいます。江ノ島の江島神社参道の光景に良く似ています。買い物は下山の時のお楽しみとして、まずは参詣のための山登りを優先します。

こま参道

こま参道

「こま参道」を抜けると、道筋は舗装道路から土の道へ変わり、石段、石畳風の段差が始まります。
ということは大山の山懐へと入ってきたことになります。最初のうちは渓流のせせらぎの音、小さな滝、処々に残る紅葉、黄葉の木々を楽しんではいたのですが、徐々にきつくなる参道の勾配に周囲の景色を眺める余裕もなくなってきます。。

山中の参道にて



ケーブルが動いていなので、今日の大山参詣の人は皆同じ条件です。とはいっても、見るからに「お年寄り」といった方々が急坂や急な石段を上っていく姿は「お気の毒」にと、余計な心配をしてしまいます。

しばらくすると男坂と女坂の分岐点にさしかかります。ここには「追分社」と呼ばれる神社が置かれています。私たちは女坂を選び、さらに上っていきます。

息絶え絶えに山道を登って行くと、前方にたくさんの人が山の斜面を見上げています。なにかいるのかと尋ねてみると、「野生のシカ」がいるではありませんか。じっと動こうともせず私たちを見下ろしています。さずが自然味溢れる「大山」を肌で実感した瞬間でした。

野生のシカ

歴史を感じさせる石段を上っていくと、その傍らに弘法大師が一夜にして爪で彫ったと伝えられている「爪切地蔵」が置かれています。その石段を上りつめると、やや開けた場所に前不動(來迎院)とその脇に龍神堂の小さな祠が現れます。

爪切地蔵

前不動(來迎院)

龍神堂

ここを過ぎると、もう大山寺はすぐ間近です。しかし大山寺のお堂には最後の長い石段が待っています。だいたい霊山と言われる場所は、そう簡単に目的地に到達できないようになっているのです。

龍神堂前の紅葉

疲れ切った体を奮い立たせて、大山寺のお堂前に通じる長い石段を上っていきます。登りきったところが標高500mです。歩き始めて標高差200mを克服しました。もしケーブルに乗っていれば、2分でついてしまう大山寺なのです。

大山寺本堂

大山寺からの眺望

大山寺本堂への長い石段

ここ大山寺から阿夫利神社下社まではさらにキツイ上りがつづき、私たちの足では40分以上もかかるかもしれない、ということで、本日の大山参詣は阿夫利神社下社をあきらめ、ここから下山とあいなりました。

大山詣で、すなわち阿夫利神社なのですが、もし機会があれば再挑戦(もちろんケーブルで)ということで後ろ髪を引かれる思いで、来た道を再び戻ることになりました。

ちょうど時間も午後1時を過ぎて、お腹もへってきました。大山は「豆腐料理」が有名ということで、こま参道界隈の料理屋で豆腐コースをいただくことにしました。

豆腐料理の「ねぎし」

豆腐料理



疲れた体には優しい豆腐料理七品コース。豆腐なだけにそれほど満腹感はないのですが、腹6分目くらいの量でした。



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