雲一つない穏やかなこの日(12月5日)、師走の隅田墨堤の「秋色」を探しに出掛けました。朝夕の冷え込みが厳しくなってきたこの頃ではあるのですが、都内の黄葉、紅葉の時期は12月初旬まで楽しむことができます。
そんなことでまずは墨田区側の墨堤の名所の一つである「三囲神社」へと急ぎました。三囲神社はお江戸の花町で有名な「向島」の料亭街を貫く「検番通り」に面して鎮座する神社です。
三囲神社の秋模様
神社の由緒を見ると、その昔、この神社を建てるときに土の中から壷がでてきたので中を開けてみると、白狐にまたがった老翁の像が入っていました。その時、突然「白狐」が現れ、その像の周りを三度回ったことで「三囲(みめぐり)神社」と呼ばれるようになったと伝えられています。隅田川七福神の大國神と恵比寿神を祀っています。
また境内には元禄時代に活躍した芭蕉の弟子である宝井其角が詠んだ「雨乞いの一句」の碑が置かれています。
「ゆうだちや田のみめぐりの神ならば」
検番通りから斜めにのびる参道の入口には鳥居が構え、その鳥居の脇に黄色く色付いた銀杏の大木が立っています。参道を進むと境内にはまるで黄色い絨毯を敷き詰めたように銀杏の葉が土面を覆っています。
三囲神社の鳥居
境内の落葉
三囲神社本殿
ご本堂右手に鎮座する稲荷祠前の赤鳥居には鮮やかに紅葉したもみじの葉が晩秋の木漏れ日の中で鳥居の赤と競演していました。
稲荷祠前の赤鳥居
三囲の社を後に、検番通りを進み墨堤にひときわ目立つ存在でその姿を見せるお江戸の黄檗派寺院である「牛頭山弘福寺」に向かいます。当寺の境内にはご本堂裏手の小さなお庭以外には目立った木々がありません。ご本堂の黒々とした甍が真っ青な晩秋の空の下で輝いていました。
牛頭山弘福寺本堂
弘福寺に隣接して山門を構える長命寺から名物の言問団子の店先を通り隅田川堤へとあがっていきます。有名な堤の桜並木はわずかばかりの葉の彩りを残し、そのほとんどが散っていました。江戸時代から隅田川を行きかう舟の目印となっていた「常夜灯」の脇の紅葉が川面をなでる風に寂しく揺れていました。
常夜灯と紅葉
この後、桜橋をわたり台東区側へと向かうことにしました。橋を渡るとそこはかつて隅田川の渡しで有名な「竹屋の渡し」があったところです。この竹屋の渡しは吉原へとつづく山谷掘りに架かる今戸橋の袂から対岸の三囲神社あたりに店を構えていた船宿「竹家」を結んでいました。
桜橋を渡りきり、堤を下るとすぐに「幟」が並び立つ一画が見えてきます。近づいてみると幟には「平成中村座」の文字が染め上げられています。「あ~、ここがあの中村勘三郎が主宰する平成の歌舞伎小屋なんだ」と初めて知りました。
平成中村座芝居小屋
桜橋を渡りきった今戸から言問橋へ向かうと、江戸時代の天保以降に江戸三座である中村座・市村座・森田座が芝居小屋を連ねた猿若町があった場所です。そんな猿若町に近い場所に平成の芝居小屋を建てた勘三郎さんの「粋」を感じます。
芝居小屋越しに見えるスカイツリー
この平成中村座の小屋と道を挟んで建つのが「大根」と「巾着」をシンボルとし、「大聖歓喜天」を祀る待乳山聖天様です。
待乳山聖天山門
隅田川岸の小高い丘の上にお堂を構える待乳山聖天は遠目からでも境内の銀杏の葉の色付きを見ることができます。山門脇からつづく石段を見上げると、そこには黄葉を纏った銀杏の大木が聳え立っています。石段の縁につづく江戸時代から残る「築地塀」の瓦屋根に降り積もった落ち葉が一段を秋の深まりを感じさせてくれます。
石段から見る銀杏の黄葉
築地塀
石段を登りきり境内へと進むと、そこは一面の秋景色が広がっています。境内の水屋、舞殿、そしてご本堂が黄金色に染まる銀杏の木々と絶妙なコントラストを描いています。
境内の黄葉
境内の黄葉
舞殿と黄葉
黄葉越しの本堂
境内からは紅葉に染まる木々の向こうにスカイツリーの雄姿を眺めることができます。
境内から見るスカイツリー
待乳山聖天様の見事な秋色を堪能した後、近くに鎮座する今戸神社へと足を延ばしました。今戸神社は新撰組の沖田総司終焉之地として知られています。広々とした境内にはそれほど多くの木々はありませんが、鳥居脇と境内の真ん中に立つ銀杏の木は満身の黄金の衣を纏っていました。
今戸神社
今戸神社境内の大銀杏
台東区側の秋景色を堪能し、再び桜橋を渡り墨田区側へと戻り、水戸街道を東向島方向へと歩を進め隅田川七福神の寿老人を祀る「白髭神社」へと向かいました。
白髭神社
水戸街道脇に鎮座する白髭神社も参道を飾る大銀杏が黄金の衣装を纏い、静かな境内は黄色い絨毯を敷き詰めたような彩りを見せていました。
白髭神社
白髭神社本殿
ここ白髭神社までくると、残すところは「向島百花苑」です。事前に東京都の公園案内のホームページで苑内の色付き具合を調べたところ「これから」となっていました。せっかくなので入苑してみましたが、苑内にはモミジの木はわずか9本しかなく、その色付きは盛りとはいえませんでした。
向島百花苑の秋景色
とはいえ、すでに師走も初旬。都内の紅葉、黄葉は峠を越え季節は寒風が吹く冬が早足でやってきます。お江戸散策も寒空の下ではその風景はなんとも寂しく、寒々とした画像がしばらく続いてしまうことご容赦いただきたく存じます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ad/e684f0f4619ea5407c52c65d4f5c0c14.jpg)
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そんなことでまずは墨田区側の墨堤の名所の一つである「三囲神社」へと急ぎました。三囲神社はお江戸の花町で有名な「向島」の料亭街を貫く「検番通り」に面して鎮座する神社です。
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神社の由緒を見ると、その昔、この神社を建てるときに土の中から壷がでてきたので中を開けてみると、白狐にまたがった老翁の像が入っていました。その時、突然「白狐」が現れ、その像の周りを三度回ったことで「三囲(みめぐり)神社」と呼ばれるようになったと伝えられています。隅田川七福神の大國神と恵比寿神を祀っています。
また境内には元禄時代に活躍した芭蕉の弟子である宝井其角が詠んだ「雨乞いの一句」の碑が置かれています。
「ゆうだちや田のみめぐりの神ならば」
検番通りから斜めにのびる参道の入口には鳥居が構え、その鳥居の脇に黄色く色付いた銀杏の大木が立っています。参道を進むと境内にはまるで黄色い絨毯を敷き詰めたように銀杏の葉が土面を覆っています。
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ご本堂右手に鎮座する稲荷祠前の赤鳥居には鮮やかに紅葉したもみじの葉が晩秋の木漏れ日の中で鳥居の赤と競演していました。
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三囲の社を後に、検番通りを進み墨堤にひときわ目立つ存在でその姿を見せるお江戸の黄檗派寺院である「牛頭山弘福寺」に向かいます。当寺の境内にはご本堂裏手の小さなお庭以外には目立った木々がありません。ご本堂の黒々とした甍が真っ青な晩秋の空の下で輝いていました。
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弘福寺に隣接して山門を構える長命寺から名物の言問団子の店先を通り隅田川堤へとあがっていきます。有名な堤の桜並木はわずかばかりの葉の彩りを残し、そのほとんどが散っていました。江戸時代から隅田川を行きかう舟の目印となっていた「常夜灯」の脇の紅葉が川面をなでる風に寂しく揺れていました。
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この後、桜橋をわたり台東区側へと向かうことにしました。橋を渡るとそこはかつて隅田川の渡しで有名な「竹屋の渡し」があったところです。この竹屋の渡しは吉原へとつづく山谷掘りに架かる今戸橋の袂から対岸の三囲神社あたりに店を構えていた船宿「竹家」を結んでいました。
桜橋を渡りきり、堤を下るとすぐに「幟」が並び立つ一画が見えてきます。近づいてみると幟には「平成中村座」の文字が染め上げられています。「あ~、ここがあの中村勘三郎が主宰する平成の歌舞伎小屋なんだ」と初めて知りました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/79/f72db162f53a5f4fed75242018990bed.jpg)
桜橋を渡りきった今戸から言問橋へ向かうと、江戸時代の天保以降に江戸三座である中村座・市村座・森田座が芝居小屋を連ねた猿若町があった場所です。そんな猿若町に近い場所に平成の芝居小屋を建てた勘三郎さんの「粋」を感じます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/33/543ad764967e8b06a73fe6392d0ab771.jpg)
この平成中村座の小屋と道を挟んで建つのが「大根」と「巾着」をシンボルとし、「大聖歓喜天」を祀る待乳山聖天様です。
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隅田川岸の小高い丘の上にお堂を構える待乳山聖天は遠目からでも境内の銀杏の葉の色付きを見ることができます。山門脇からつづく石段を見上げると、そこには黄葉を纏った銀杏の大木が聳え立っています。石段の縁につづく江戸時代から残る「築地塀」の瓦屋根に降り積もった落ち葉が一段を秋の深まりを感じさせてくれます。
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石段を登りきり境内へと進むと、そこは一面の秋景色が広がっています。境内の水屋、舞殿、そしてご本堂が黄金色に染まる銀杏の木々と絶妙なコントラストを描いています。
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境内からは紅葉に染まる木々の向こうにスカイツリーの雄姿を眺めることができます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/bc/511de75c2c15a8de185b6cd44521d41d.jpg)
待乳山聖天様の見事な秋色を堪能した後、近くに鎮座する今戸神社へと足を延ばしました。今戸神社は新撰組の沖田総司終焉之地として知られています。広々とした境内にはそれほど多くの木々はありませんが、鳥居脇と境内の真ん中に立つ銀杏の木は満身の黄金の衣を纏っていました。
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台東区側の秋景色を堪能し、再び桜橋を渡り墨田区側へと戻り、水戸街道を東向島方向へと歩を進め隅田川七福神の寿老人を祀る「白髭神社」へと向かいました。
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水戸街道脇に鎮座する白髭神社も参道を飾る大銀杏が黄金の衣装を纏い、静かな境内は黄色い絨毯を敷き詰めたような彩りを見せていました。
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ここ白髭神社までくると、残すところは「向島百花苑」です。事前に東京都の公園案内のホームページで苑内の色付き具合を調べたところ「これから」となっていました。せっかくなので入苑してみましたが、苑内にはモミジの木はわずか9本しかなく、その色付きは盛りとはいえませんでした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/70/6810076ee09b7c2952e7163c1647325a.jpg)
とはいえ、すでに師走も初旬。都内の紅葉、黄葉は峠を越え季節は寒風が吹く冬が早足でやってきます。お江戸散策も寒空の下ではその風景はなんとも寂しく、寒々とした画像がしばらく続いてしまうことご容赦いただきたく存じます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/ad/e684f0f4619ea5407c52c65d4f5c0c14.jpg)
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