ひつじ草の挑戦状

色んな思いを綴ってます。

百寿

2016-02-21 | 日記
阪神淡路大震災の翌年、
私は大学2回生となっていた。
帰りは夜9時過ぎ、真面目に、
アルバイトに勤しむ女学生だった。
当時オートロック女子専用アパートに住んでいた。
男子禁制…とはいうものの、
女学生の彼氏及び友人らは、
ロックを解除され、
ひそかに入室許可されていた。

ゴミも前夜から出し放題…
管理人不在のアパート、
所詮野放図である。
ガサガサ…
「…(あ、野良猫)」
ゴミを漁る子猫がいた。
可哀想、とか、
可愛い、とか、
特別深い感情を抱かない冷たい女学生で、
「…(仕方ないよね)」
野良だもん…なんて、思っていた。
自転車を駐輪所に止めて、
ガタン、
鍵を掛けて、
ちらり、
はたと、猫と目が合ったような気がした。
無視無視…、
相変わらず解除されっぱなしのオートロック玄関を開けて、アパートの部屋に入った。

パタンッ

次の日、やはり9時過ぎ、
「げッ」
野良がいた。部屋の前で、
お目々をクリクリさせ、
「入れて」
そんな顔で私を見る。
「ダメなんぜ」
ダメ…の意味すら知りません(-_-)
まぁ、
今日だけ…、
一日だけ…、
のつもりが、

アパートでこっそり飼い始めた。
こっそり、
のつもりが、
にゃ~は、子猫。
こっそりを知らない。

当然だが、
男子禁制の規律は緩和され、
ペット厳禁の戒律は厳格である。
普段不在の管理人から、
アパートの掲示板に【猫禁止】
と張り出され、
やむなく、
父(当時猫嫌い)に頼んで、
家に置いてって哀願した。
野良を小荷物料金で、
サンダーバードに乗せて、
富山へ連れてって、
それから、
「タルトぉ、あんたも年ね」
高い所へ登ろうとして、
ずッ、転けた。
20×5=100
今日で人間年齢で100歳。
もう立派な飼い猫…の域を脱し、
老師か、
仙人である。

「にゃにゃに触らんがッ」

娘に遊ばれ、
尻尾を掴まれても、

「にゃにゃ、わざわざ来んがッ」

娘の前に来る。

人間が好きなのか、
己を人と思っているのか、

「にゃ~、長生きしられ」

またいつか一緒に寝ような。

今は、
ちらり、
娘が寝ている…。

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