八幡町をゆく(18) 虫送り
今は消えてしまいましたが、かつて農村で行われた大切な行事がありました。
「虫送り」です。
蝗(いなご)などが大量に発生した年は、たちまち生活は破壊されてしまいました。
中西条(加古川市八幡町)の山本定次さんは、『ふるさと・やはた』に「除虫祭(虫送りまつり)」ついて寄稿されています。
・・・・この祭りは、氏神八幡神社で毎年七月の土用三郎(土用に入ってから三日目)の日、稲の害虫駆除を主として、一般農作物の害虫を除き豊作を祈念するお祭です。
・・・夕方から、各農家より麦わらの束を持ち寄って神社にあつまり、神主さんより種火をいただき、各自持っている藁束に火を点じ、その火が消えないように振り回し、「・・・虫送りせんかいなあ、さねもりさんのお供せい・・」と言いながら、一列縦隊の行列をつくり、夕闇の細いあぜ道を通って、加古川の太子岩の左岸まで送って行きました。
最後は、河川敷に掘った穴に、その火を投げ込むのですが、その道中の有様はまことに壮観でした。
後日、「八幡神社御祈祷御守護」と書かれ、その右に小さく「五穀豊穣」、左に「家内安全」と書いて印を捺したお守札の配布を受け、それを各田の水口にさしました。・・
こんな虫送りの行事も、農薬の普及した現在姿を消してしました。
*『ふるさと・やはた』(加古川農業改良普及所)参照
挿絵は、淡路市北淡町野島の「虫送り」、『暮らしの歳時記』(のじぎく文庫)より
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