故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

傷跡

2018-09-05 05:10:19 | よもやま話

絵のタイトルは、唐柿。
私達は熟したのを食べました。
乳のような汁で、唇を傷めました。
この辺りでは、青い実を砂糖煮でいただきます。


今日のタイトルは、「傷跡」です。
2017年11月30日投稿記事「しこり」に触発されて、
似たようなテーマで書き続けています。

戦争の傷跡は、何世代にも渡り連鎖される。
その傷跡を掘り起こし、精神的に克服するのは容易なことではない。
表に出てくる話は氷塊したように伝えられるが、
多くは未だに闇であると想像される。
(記事「しこり」から抜粋)

かつて勤めていた会社に、指を落とした同僚がいました。
欠損した指に包帯を巻いていました。
親しくなった頃、「包帯をとったらどうか」と話しました。
翌日から、彼は包帯を外しました。
包帯をしていると、誰からもどうしたのかと聞かれます。
都度、応えるのもしんどかったと思いました。
その後、聞かれることは無くなったそうです。

傷跡を隠す気持ちはよく解ります。
墓場まで持っていこうという気持ちも理解できる。
一生隠せないこともある。
歳をとることで、「うそをつく」ことをやめようと思うようになりました。
嘘の上塗りができなくなったからです。
誰にどんな嘘をついたか覚えられなくなるのです。
なら、正直に生きていくしかないと思う。

正直に書こうとブログを書いています。
その気持ちがあっても、正直には書けぬものです。
嘘だけは書かぬようにしよう。
いっそのこと、嘘で固めてしまうか。
そして忘れる。

傷跡をなめる時がくる。
「かさぶたをとるか」と誘惑にかられる。
かさぶたをとったら、新たな傷ができた。

戦後長い時を経て、日系の方達の父親捜しが始まった。
憎いけど、自分が現在あるのは、父親がいるからと探した。
やむなく引き上げた日本兵も自分が残した家族を探していた。と知った。
その中のある日系オランダ人女性が言われた言葉が、印象に残った。

「憎しみを、次の世代に残さないために」

(記事「しこり」から抜粋)

次の世代に残さぬために、色んな史実(中には、永年のマル秘事項)が
公表されます。
また、家族の真実が亡くなる前の口から吐き出されます。
辛い真実です。

果物は、こすれた傷を糖分を注いで治そうとします。
樹木は、持っている栄養のすべてをつぎ込んで、
裂けた枝を修復しようとします。
だから、傷ある(鳥が突いた、風でこすれた)果物は、美味しい。
裂けた枝は、節となり樹木をさらに強くする。

枯れすすき 焼き払われし 灰に芽が

2018年9月5日
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