故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

塹壕を掘れ

2023-04-18 06:44:46 | よもやま話

絵のタイトルは、’’Window’’です。
高木があっても、下草を刈っているだけで風が通る。


連日の草刈と雑木伐りで、上腕の筋肉がきしむ。
背中と肩の筋肉もパンパンである。
サロンパスのお世話になる。
よく眠れた。

今日のタイトルは、「塹壕を掘れ」です。
孫に見せたいと菜の花を畑に植えた人から聞いた言葉です。
東北では、雌竹のことを篠竹と呼んだ。
移住した年に、家についていた畑と地域の耕作放棄地の畑に篠竹が茂っていた。
伐って、根をおこしても次の年にもまた生えて来た。
どうしたものかと相談したら、帰ってきた答えでした。

教えに従い、畑の山際に塹壕を掘ることにした。
山際から伸びる篠竹の根を断つのが目的だと考えた。
火山灰の黒ぽくを1.5mも掘ると、赤ぽく(赤土)の層になった。
1.5m巾x1.5m深さで、12mの長さの塹壕を山際の畑に掘った。
昔は畑だった林が伸び放題で、我が家の畑に陽が差さなかった。
林の持ち主に許可をもらい、山際から順に高木を切った。
冬には、塹壕に入り、近所の猟友会の方からいただいた鴨の毛をむしった。
ダウンが風に舞い、飛散するのを防ぐためである。

翌年も残る篠竹の根を丹念におこし続けた。
根は案外浅く30cmも掘ると、芋づる式に掘りおこせた。
2年目の冬に塹壕に切った枝を埋め土をかけた。
暗渠である。
大雨の時、山から突出する水を、塹壕が貯水してくれた。
3年目には畑は乾き、篠竹は消えた。

コーヒーを飲みませんか。
子供の頃の小便たれが声をかけて来た。
「背が伸びたね」とかつての少女に返した。
50年前からは、伸びました。と返事。
誘われるままに行くと、90歳のお母さんが出て来られて、昔話に花が咲いた。
縁側から先に、見えるはずの海が見えない。
そよそよと風に揺れる孟宗竹の壁ができていた。
かつての崖が一面、孟宗竹に覆われていた。
妻は、「切ろうか」と私が発するのを警戒していた。
娘は、「塹壕は掘れない」と笑っていた。
お母さんは、「川を渡る竹」は見たことがないと私の説に同意した。

孟宗竹は、地下茎を密かに30mも伸ばし先端に橋頭保の幼竹を生やす。
そして順に親竹側に、二の矢三の矢と続いて生やす。
地下茎の深さは、たかが30cmである。
東京の地下鉄のごとく、三層四層となると始末に負えなくなる。
かつて煉瓦を焼くために掘った赤土の山は、全山が孟宗竹に覆われていた。
妻から冷や冷やしたと後から聞いた。
「切らせてもらえますか」とは言えなかった。

2023年4月17日
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