故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

2024-09-06 10:36:32 | よもやま話

絵のタイトルは、「ロッククライミングウォール」です。
課題の壁に挑戦する。
若い時は、越せぬ高い壁を見上げるばかりでした。
何度もはじき返され、絶望した。
自己嫌悪にもなりました。


壁だった ひっくり返れば 空に融け

今日のタイトルは、「壁」です。
大学生の年代に当たる前後の壁は、与えられた課題(壁)のような気がします。
何故とも考えず挑戦していました。
悩みの種は、挫折感でした。
尊敬する先輩の語録をとってみたり、小説の主人公に夢を馳せました。
越えられない壁は、そのままにしておけばよかった。
刹那に悩まず、続けていればこんなことだったのかとなる。
何事も針小棒大に見えてしまった。
視野が狭かったのでしょう。

勤めるようになってからは与えられる壁が低くなり、越えれないものはないように思いました。
これは少しずつ育て上げる社会の作戦でした。
未知のことは、先輩から学べました。
何者になるのやら悶々とする学生時代に較べれば、楽とも言えた。
なまけた分だけ、隠れた落とし穴に自らはまりもがくようになりました。
自ら築いた負の壁も併せて、越えなければならない壁は一挙に高くなりました。

40代で壁を見ぬように心がけ、できることをしようと方針転換した。
代わる代わる現れる壁を昇り続けました。
壁を登頂することが生きがいのようになりました。
もう、他人を羨む余裕はありませんでした。
常に、己はこんなものかと自分に問い続けたように思います。
ひたすら、会社、家族、そして自分のために生きてきました。
苦しんだ壁も遠くになり、低く見えました。

役を解かれ、家族も育ち、何をしてもいいんだよとなりました。


絵のタイトルは、「命の水」です。
命とは、自分のことであり、周りの人たちのことです。
他人に目を向けない生活を長い間続けてきました。
故郷に恩返ししようにも、返す相手がいませんでした。
迷惑をかけた人たちに、謝ったり感謝する機会もありません。


この壁は、聳(そび)えるものではありません。
身近にある暮らしそのものでした。
食うことで精一杯だったのです。
当たると感じる透明な膜のようです。
ピンでほじくるのか、化学変化で溶かすのか曖昧模糊とした壁です。
何をしてもよいと試されています。
やりたいとさえ思わなかったことの数々に挑戦しています。
暮らしのそばにある、時に温かく、見えにくい闇です。
長い間の思考停止の生き方を、若いころ漠然と夢見たベクトルに向けている。
なにもかもが、沁みるように入ってくる。
やらかした過去を笑い話に昇華し、このことと決めてできることが楽しい。


2024年9月6日
コメント
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