故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

Knowledge broker(知的仲介者) と地域おこし

2018-12-31 09:52:55 | プロジェクトエンジニアー

「トンネル掘っちゃった」というタイトルの絵です。
エンジニアー達の挑戦に終わりはありません。
海ほたるで見たモニュメントです。


今日のタイトルは、「Knowledge broker(知的仲介者と地域おこし」です。
私は、知らないうちにそうなっていた。
己の能力に限界を感じたのは、若いころでした。
生きる道を見つけようと、一生懸命やっていうるちに自然とそうなった。

60歳を過ぎた、空調会社の再雇用社員が、「物忘れがひどくて」と嘆いておられました。
忘れるのは仕方がないことです。誰が知っているか覚えるだけにしたらいかがでしょう。
とプロジェクトマネージャーの私は、答えました。

そのような考え方は、Hub的思考であるとネット記事で読みました。
ネット記事の解説にあった、「社内にある「資産」と目の前の「問題」とを"つなげる"役割」と理解しました。
先輩はクラウド的感覚と言われました。
クラウドとは、「自分のパソコンや携帯電話ではなく、インターネット上に保存する使い方」です。

課長になりたくないと、一生係長を続けたかたがいらっしゃいました。
困ったときは、その方に相談しました。
20台以上並べた貫流ボイラーの末端の1台か2台が失火する。
液化LPGガスの中に含まれているオイルミストが原因でした。コンプレッサーの潤滑剤でした。
なかなか認めないLPG供給会社に、その人が社内の研究施設で分析した結果を示し、その会社は認めました。
係長は、ミスト除去装置(ミストセパレーター)も設計し、メーカーも紹介してくれました。
そこまでできる実力は、私にはありませんでした。

あるとき、熱解析を映像分析できる装置の売り込みにある会社が来ました。
20台以上のボイラー周りは、運転を始めると体温より高い環境になりました。
売り込みに来た会社に、無料で映像解析してもらいました。
ボイラー全台数の上部部分から熱が排出されているのが映像解析でわかりました。
大手飲料メーカーの工場全体(100mx100m)に熱をばらまいて、工場全体の温度上昇を引き起こしていました。
工場全体の空調解決に1億円という見積もりが出ました。
ボイラー部分(そもそもボイラーを工場内に設置が悪い)全体に大きな排気フードを設置しました。
0.1億円で、ボイラー周りは3-5℃下がり体温より低い環境になりました。
解析してくれた会社を、飲料メーカーに紹介しました。配管の漏れチェックに素晴らしい映像解析があると。
これも、優れたものと困ったことの接点を作った仕事でした。

濾過水槽(500トン貯水)を追加で作りました。大手ゼネコンの仕事でした。
既設の濾過水槽(400トン貯水)とのバランスを保つために、
大手の水処理会社が造った複数台の濾過槽のうち一基だけ、
交互に二つの濾過水槽に濾過水を供給し二つの濾過水槽(新旧)のバランスを管理していました。
かなめの濾過槽一基が故障しました。
飲料会社から相談を受け、二つの濾過水槽をつなぐ管を設置するよう提案しました。
大手ゼネコンは、工場を稼働しながら地下に掘った二つの濾過水槽の水面を
同じにする埋設接続管(連結管)は設置できないと拒否しました。

係長に相談しました。
良いものがある。特許を取得したばかりで、開発者はどこかに売込みたいと願っている。
埋設管(連結管)がだめなら、地上のサイフォン管を設置しようと提案しました。
特許取得の簡易なサイフォンブレークの提案もくっついていました。
サイフォン管中の溶存空気をCUPに入れて、
浮力で浮かせてひっくり返す単純な装置でした。
300φのサイフォン管の頂点にその装置を取り付けました。
開発者は、特別価格で提供してくれ、施工管理までしてくださいました。

プロジェクトマネージャーとして、
リストラになるまでエンジニアリング会社で働きました。
顧客である大手飲料会社のある工場から無理難題を突き付けられ、
いつも一千万円以下で解決しろと言われました。
あとでわかったことですが、工場決済の限度額が一千万円だったのです。
それも知らずに、大真面目にびっくりするような王道の提案をしました。
拒絶され、困っていろんな方に相談するようになりました。
あいつなら知ってるよと、紹介の連鎖となりました。

次から次に解決できました。私が偉いんじゃない。
一千万円の仕事を4つこなしました。
もう一つは、蒸気の無害化でした。
飲料のキャップを閉める前に液化炭酸ガス(あるいは窒素ガス)を
蒸気でガスにして封入します。中味水の腐れ防止のためです。
言っては何ですが、蒸気管のなかは錆びだらけです。
結論から、これも売り込みに来たフィルターメーカー(糸巻フィルターなど)の
技術を応用しました。
封入に使う蒸気管をフィルター(2基)に接続し、蒸気に含まれる錆などの
異物を取り除く装置でした。
完全無欠ではありませんが、無害化に近づくことができました。
大手飲料会社に売り込みができると、そのメーカーは破格の見積もりを出してくれました。
フィルターメーカーは、大手飲料会社の複数の工場で同様のものを受注できたそうです。

私は、自慢するためにこの稿を書いているのではありません。
困ったときには、いつも社内や社外のプロフェッショナルに相談しました。
なんか使えるんじゃないかとかアンテナを張り巡らし、
この人なら知っているかもと解決策を模索していました。
プロフェッショナル達は、すべての人が面白がってくれました。
ルーチンワークを脇にやり、面白い仕事に取り掛かってくれました。
見返りは、その人の紹介であり、別の仕事の発注でした。

話は変わりますが、カフェには複数の絵、写真や工芸品がなにげなく置かれています。
作者には、定期的に新しい、移ろう季節に合うものを展示替えするように依頼しています。
それが展示前の約束です。
そのコーナーは、一人の作家のゾーンとして提供しています。
興味を示す顧客には、作者を紹介しています。けっして売ることはしません。
B級品の果物をタダでいただくことがあります。
お試し加工品にして、提供者に一番にまた定期的に届け、
カフェに来られる方や地域の皆さんにはタダでプレゼントしています。
美味しいと言われるお客さんには、レシピーを伝えています。
原料が欲しい方には農家さんを紹介しています。
困ったことに、美味しいと思う方も、もう一つ欲しいと言えません。
よって、少額の売り物にしようと考えています。
瓶代もかかることだし、と思っています。

地域には、プロフェッショナル(セミも含めて)がいっぱいいらっしゃいます。
仕事で付き合っていまだに友達付き合いしている友人が都会にいっぱいいます。
地域で手に入らぬものがあると、都会の友人に調達してもらっています。
紹介した後は、当人同士でやり取りしてもらいます。
私は、困ったことを面白がって解決しているだけです。

あるとき、大手ゼネコンの社長から受注したい案件がある。
初めての冷凍・冷蔵庫案件で、社内に知見がないと言われました。
依頼があった翌日に、「冷凍冷蔵庫建設の仕事」のコンセプト資料を送りました。
急いでおられると聞いたし、ブログも書きたいしということでブログ上に公開しました。
今でも、エンジニアーがよく読まれている記事です。
その後、提案している図面が届き、
数日のうちに図面に是正を朱書きし、コメントをくっつけて返しました。
受注できたかどうか知りません。
どちらも責任者(社長は建築の責任者、私はプラントの責任者)として
一緒にやった仕事が面白くて、今でも互いに困ったときのアドバイザーとして、
友達付き合いしてくださいます。

地域おこしは、減少する人口や空き家の増加を解決するのが、仕事とは限りません。
「面白い」を紹介し、「面白い」をやってみたい人を一人でも多く発見することです。
そして「面白い」を地道に追及することです。
その延長にもしかしたら、日本全体が抱える難題を解決する糸口が
見つかるかもしれません。

病気なり 世界が開け 頼もしい

2018年12月31日

<<編集後記>>
読者の皆様、今年一年飽きもせずお付き合いくださり、ありがとうございました。
来年からも、自らの内面を抉り出し、ちょっとだけお役に立てればと願っています。
良いお年をおむかえください。
(筆者)

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