
この方もこのカットしかありませんでした。
でも良い顔に描けました。ありがとう。
今日のタイトルは、「予測」です。
予測とは、
将来の出来事や有様をあらかじめ推測すること。
前もっておしはかること。(広辞苑より)
私が結婚するのは、いつ頃だろう。いやできるかしら。
できたらいいな。と段階を下げていきます。
おみくじなどを引き、良縁近しなどの文言を見つけると急に嬉しくなります。
ところが、一年経っても二年経っても結婚相手は現れません。
あきらめた頃、つい優しくされてゴールインなんて話を聞きます。
パン工場を作っている頃の話。
注文予想が外れ、欠品を出したり作り過ぎて廃棄した話を聞きました。
理由は、販売予測ができないことと
段取り(原料調達、人員配置、ラインの選択)に時間がかかるので、
安全を見て、早めに大量に作ってしまっていたのです。
注文生産をしようとなりました。しかも3便対応でした。
注文が来てから出荷するまでの時間は1便は6時間。
工場内のリードタイムは、8時間でした。
ラインの主機械のオーブンは、安全と省エネを考慮して重厚長大傾向でした。
その結果、温めるのは早いが冷ますのは遅いのが欠点でした。
もう一つのネックが解凍庫でした。
その工場は、全国統一商品を売りにしていましたから、生地は冷凍生地でした。
従来の解凍庫は、温度分布が均一でないため、
生地の解凍時間に30分のばらつきがありました。
ハード面の主たる改善は以下のとおりでした。
解凍庫は、自社で熱シミュレーションをして、
解凍用熱風(湿度、温度管理済)の風速を割り出しました。
解凍庫のメーカー選択条件は、±1℃、±5%(相対湿度)の厳しい条件でした。
オーブンは、メーカー選択条件に、昇温は10℃/分、降温は5℃/分としました。
ソフト面は、注文後すぐ(15分以内)に生産指示書を印刷して配布すること。
また、出荷基準時間で生産計画し、人員配置のピークカットも可能なソフトでした。
膨大なデータを計算し、瞬時にラインごとの生産指示書を発行する。
1便については、ラインを二回流すことにしました。
一回目は少なめに、二回目に注文をカバーする量を作る。
ピークカットは、事前にシミュレーションできるようにしました。
注文生産することで、ロス率は、10%から2%まで落ちました。
それは、利益に直結しました。
しかも、パン職人を使わずともアルバイトで指示書通りにワーク(製品)を
移動させることで、生産できました。
どんなに優れた予測ソフトより、注文生産が優れていました。
予測できないことが起こりました。
生産計画支援ソフトに頼ることから脱却できなくなりました。
パンの顔を見て、臨機応変に美味しいパンを作るのが職人です。
美味しいパンを開発する。
ピークカットのために、余った工程の人を回せなくなった。
昔は個人からスタートしたパン屋さんは、パンの全行程を熟知していました。
つまり、マルチタレントでした。
それを是正する人がいませんでした。
ソフトに使われ、利益に胡坐をかいた経営者の怠慢でした。
画期的なことで業界をリードできるのはわずか10年です。
センチュリーカンパニーとなるには、
世の中のトレンドの先を見る目が求められます。
これは、予測です。
2018年1月18日
(1月21日に追記)
生産ソフトを開発した真意が理解できない方が、
経営者として代々変わっていきます。
これこそ、時代遅れとなる要因です。
現場で起こっている変化を察知できない。
変化を報告できない環境にしてしまっている。
これでは、どこまで行っても修正できない。
マイナーチェンジで生き残れるほど、悠長な状況ではないことは理解できているが、
対処方法が分からない。むしろ判ろうとしない。
自分の無能をさらけ出すことで、優秀な社員が出てくることもある。
カリスマは、自身の成功体験しか話さない。
昨日優秀でも、今日は優秀とは限らない。
それは、自分が一番わかっていることです。
それだけ、人の命(生活)を預かることは厳しいはずです。