
いつも明るくて、ちょっと問題のりえちゃんだった。
幹事を二人で、やることになったのは、2年前の同窓会でのこと。
前の幹事が頑張ってくれたので、多くの友人が集まってくれた。
皆が、言いたいことを言って、時空を越えたのである。
りえちゃんは、時々毛糸のパンツを履いてきていた。
どの女の子も、ゴム入り白木綿のパンツだった頃だから珍しい。
たまにしか帰って来ない船乗りの子供だった。
夫婦で、船長と機関長をやる、瀬戸内海の海のトラックだったのです。
両親が、帰って来られるとすぐに分かった。
見慣れないおしゃれな服を着て、学校に来たからです。
百姓の私達は、袖口てかてかの万年着た切雀でした。
どこまでも明るかった。
だれだれが唾を吐いた。それが学級会の議題でした。
誰々が、女の子をいじめた。それも議題でした。
10分の休み時間でも、外に出て走り回っていた。
りえちゃんも私も、ちびでした。だから隣合わせの席で前の方でした。
何が楽しい。何が悲しい。
生活すべてが、動いていた。
校庭の木々の葉が、潮風で裏返っていた。
皆が汗をかいていた。先生はこわかった。
昨日より、今日の方が幸せになると思いこんでいるこの頃。
とんでもなかったのである。
あの頃は、太陽がまぶしかった。素直に疲れて寝てしまった。
麦わら帽子の中の瞳は輝いていた。
無邪気なこころをいつしか置いてきたようです。
ほいほいと 今日も元気に がんばるぞ
2015年4月19日