駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

ロバート・B・パーカー遺作

2010年06月19日 | 読書
今年の1月に突然の訃報で、世界中のパーカーファンは悲しみにくれました。
この自分もその一人。
それほど読書家でもないオレが、これほど悲しい思いをするのは何故か。
まだ20代の頃、インターネットも携帯電話もなくて、世間は今ほど読書離れしていない時代に、ロバート・B・パーカーという作家の代名詞となったスペンサーシリーズのブームがありました。
そんな中、平凡な(夢や希望や物欲や食欲や性欲に溢れた)若者であったオレも、例に洩れずこの人の作品に出合い、いとも簡単に心をつかまれたのでした。
それから30年ぐらいの間ずっと、年に1~2度ぐらいのペースで本屋でこの人の新作を見つけては買いこみ、時間をかけてじっくりと読むという習慣となっていました。

訃報を新聞で知り、今後はもう二度とスペンサーに会えないと知った時、自分の両親が亡くなった時よりも、ある意味ショックでした。
しかし、以前の日記にも書きましたが、日本語訳は時差があるので、ニッポンでの未発表の出版があるだろうと、最後の望みというものがありました。

そんな彼の遺作は3月に追悼出版された「勇気の季節」でした。
もちろん、本屋で見つけた時には小躍りして買ったわけですが、書棚から取り出すときには手が震えるような気持ちの高ぶりを覚えました。
それとあわせて、隣にあって2008年に出版されていた、兄弟本とも言えるような若者向けの「われらがアウルズ」も未読でしたので購入。
実に多作なパーカーですので、この手のスペンサーシリーズではない小説もたくさんあります。
気付くと知らぬ間に出版されていて、買いそびれたこともよくありました。
しかし、もう読むこともできないと嘆いていた彼の小説を一気に2冊も手に入れてしまい、嬉し過ぎて、なんだかもったいなくて読みたいけど読めない、みたいな感情さえ生まれました。
でも実は、名古屋駅からすぐに電車の中で読み出しましたけどね。
この青少年シリーズ、この次のテーマは何だろうかと「あとがき」にも期待を込められて書いてあったけれど、連続ものになりそうな気配がありました。
内容は、パーカーの少年時代の古き良き思い出が溢れていて、スポーツと恋と友情と正義感というものを題材に、のほほんとパーカーの祖国に思いを馳せるといった趣向でした。
「われらがアウルズ」はバスケット・ボール、「勇気の季節」はボクシングという、パーカーの得意な知識があちこちに、しかもごく単純に散りばめられています。
そして、スペンサーシリーズもそうなんだけど、貫き通す主義は変わらない。
「米国は正義の国、その国民である自分も正義感と誇りは絶対に不変だ。たとえ世の中が変わり、考えは古臭くなったとしても、結局最後に正義は絶対に勝つんだ」というメッセージに溢れています。
オレは、この人の作品を読むといつも「これでいいのだ」と思う。
設定やストーリーが多少ぎくしゃくしても、「これでいいのだ」と思う。
たとえ、これは失敗作?と思えるふしがあったとしても、やっぱり「これでいいのだ」なのですのだ。
だって、ロバート・B・パーカーが書いたんですもの。
あ~、スペンサーシリーズの未発表の遺作出版がありますように。
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