駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

最先端のドラム?

2012年02月13日 | ドラム&パーカッション
(画像はかつての名器YD3000)
ファッションでは「時代は繰り返す」と言われ、細めになったり太めのダボダボが流行ったり、10年ぐらいの周期で移り変わっていきますよね。
その都度、それが流行の最先端になるんですが、例えば実家のタンスの中にはもう着なくなったかつて最先端だった父親の古いスーツが、今流行のものとそっくりな形でぶら下がっていたりします。

ドラムセットなどは、歴史としてはそんなに古いものではないのだけど、もう既に一周してしまっている感があります。
ドラムマガジンの、話題のドラマーの楽器を紹介するコーナーでは、かなりの割合でヴィンテージもののラディックやグレッチのセットを愛用しておられますし、TVを見ていても音楽番組で古いセットを使用しているスタジオドラマーが多くいます。
何故か。
まず形式美ってところですかね。

見た目がシンプルイズベストみたいな、ワンタムワンフロアーで、「これだけありゃ十分だぜ」みたいな、男気のある雰囲気がかっちょ良かったりするからだと思うし、サウンド面でも「古き良き音色」ってことで見直されてきたってことでしょう。
アコースティックの打楽器ですから、材質が「木」であるならば、木材が一番いい時代の物が、そのまま音に反映するのだろうと思います。
昔の国産品、敗戦後の昭和の木材不足の1950年代のドラムセットは、やはり材質に問題があったのだろうし、そもそもドラムなどという贅沢品を国内で作るという必要もそんなになかったわけで、当時の一級ドラムは外国のメーカーの物しかないというような状況だったのでしょう。
いや、国産品もあることはあったのですが、品質の割に値段も高いし、何と言っても絶対数が足りないから、もうこの世に存在しないものが多いんですよね。

(YAMAHAのホームページから拝借)
なので、今もてはやされているドラムは、50~60年代の欧米製のものを取り寄せて、きれいにメンテしたドラムセットが、当時の新品価格より高い値段で取引されていたりするわけです。
その後我が国ニッポンでは、高度成長期で様々な技術もグレードアップし、世界に名を残すドラムが誕生しました。
それが70年代ですかね。
シングルヘッドタムが流行ったり、ファイバー製のドラムが大ヒットしたり、深胴、超深胴のドラムセットが売れました。
サウンドに対するテクノロジーも大きく変化し、アナログからデジタルへと移行していったのだけど、その間の試行錯誤がそのままレコーディングに使われました。
今の電子ドラムの走りですが、今では信じられないような安っぽいピコピコ音やらベタベタした音が曲に使われました。
しかし、当時は例えばシモンズの「チュンチュン」という電子ドラムのサウンドを耳にした時、「なんちゅういい音だ!」なんて驚嘆の声をあげたもんです。
ところが人工的に合成した画一的な音色などというものは、すぐに慣れ、飽きるわけで、あっちゅう間に陳腐化したのは言うまでもありません。
なので、その後は自然の音をサンプリングして使用するというスタイルに変わりました。
思えば、ドラムのもっとも不遇な時代は、サンプリングだったらなんでもオッケーということで、「ドラムなんかいらない」とまで言われた時代です。
でも、救世主というか、バンドブームなどを経て、「やっぱり生身の人間が叩くドラムが一番」と改めて認識されて、現場のドラマーが駆逐されてしまうようなことには至っておりません。
やはり、「古くても悪いとは言えないよ、良いものはいつまでも最高だ」ってことで、まさに「OLDIES BUT GOODIES」ってことですよ。

ということで、一番新しいドラムは、いちばん古い外国のドラムセットか?というとそうでもないんですよね。
最先端の技術を駆使したドラムセットというものも、各ドラムメーカーの威信をかけて開発していて、これまた超売れっ子スーパードラマー達が使用しています。
とにかくその最先端ドラムは、材質から生産工程も徹底品質管理され、超高級品の芸術的製品として価格もスーパー高いので、我々一般ピーポーには高根の花です。

(YAMAHAのPHX、めちゃくちゃ高根の花です)
もっとも売れっ子ドラマーは、ドラムメーカーのモニターだったりしますから、広告塔となるかわりに無償で提供されていますから、何とも羨ましい限りなんですが。

最近の最先端ドラムは、こういった超高級ドラムと、ヴィンテージっぽいサウンドをコンセプトにした、丁寧な作りのドラムセットに大きく分かれていると言えましょう。
超高級ドラムについては、クルマを買うぐらいのお値段なので、残念ながら自分で手に入れることもできませんので(涙)、偉そうにウンチクを垂れることもできません。
でもいい音だということだけは確かですから、いろんなCDやらライブDVDで確認するといいです。ってなんか情けないなあ。。。
でもね、最近自分が使っているカノウプスのドラムセットは、間違いなく後者のサウンドを追及していて、活動のメインとする「オールドミュージック」にぴったりなサウンドにとても気に入っています。
お値段もお手頃ですもんね。

ドラム選びは、言ってしまえば簡単です。
自分の方向性が分かっていればそれに即したドラムセットを選ぶだけですから。
でもね~。ですよね。
それこそお値段と懐具合と相談しなきゃいけないしね。
ま、そんなときは、ドラムを良く知っている人に聞いてみることです。
値段が高けりゃいいというものでもないということ。
まあ、超高級品ではなくても我が国は技術が素晴らしいので、入門用のドラムセットであっても、材質がメイプルでもバーチでもオークでも、音のレベルは相当高くなっています。
最近の入門用キットの値段が安いものは、円高対策等で生産を海外で行っているからで、レベル的にはそんなに悪くはありません。
でも、できたら、入門用よりちょっと値段が張っても、少し上級のセットにした方が、結果お得になることもあります。
入門用のセットは、シンバルやハードウェアーが貧弱なものが多くて、ハイハットスタンドやペダルなどをすぐに買い替えなくてはならなくなることが多いからです。
また、海外の超有名メーカー、ソナーやラディック等の、アジア生産モデルなどは高品質でお値段がお手頃なので、これもお買い得だと思いますね。

最先端のドラムって、案外古き良きテイストを感じることのできる、でもって操作性の優れたアイデアいっぱいのドラムなのかなって思います。
コメント
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