超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

日曜午前の料理ショー

2012-12-02 09:02:41 | 食べ物
子供の頃も少年野球や部活で休日は忙しかったはずなのだが、何故か日曜日の午前中はテレビ番組を家族でよく見ていた。今のようにアニメや「スーパーヒーロータイム」が無かった頃だ。家には居間にテレビが1台しかなく、朝起きてご飯を食べに行くと父親が見ていたのが「時事放談」である。結構早い時間だったと思うが「細川隆元」氏と「藤原弘達」氏が意味不明な話を難しい顔をしながら議論していた。たぶん他の人にも多いと思うが「じじいの放談」だと思っていた。このよくわからない早朝番組の後は「兼高かおる世界の旅」を皆で見ていた。この人が一体何者なのか謎だったが、話し方が上品でどこの国か知らないが5ヶ国語がペラペラと聞き、番組の中で外国人ばりのユーモアがすごくカッコイイと思っていた。「世界の旅」が終わるとそのまま意味なく見ていた「世界の結婚式」に流れ遅い朝食が終わるような日曜の朝だった。

また野球をやっていたから変な歌のCMが頭にこびりつく「ミユキ野球教室」も時々見ていたし、欽ちゃんの「スター誕生」もチャンピオン大会みたいな時はよく見ていた。たぶん今のように「さあ出掛けるぞー」と張り切るようなこともなく、時間はゆっくり、家族はまったり過ごしていたような気がする。だから時間帯ははっきりしないが、なべおさみさんの「いきものばんざい」や「マチャアキ海を行く」なんて番組も何となしに見ていた。しかしどうにも印象強かったのが東京12チャンネルの「世界の料理ショー」だった。GG(Galloping Gourmet)とGが二つ
つながった番組ロゴが現れると何となく、またテレビの回りに集まってきたものだ。私は当時は料理そのものには何の興味も無かったが、そのトークのあまりの面白さと試食する際の恍惚とした表情に憧れて、家にいる時は必ず見ていた。

       

主演はグラハム・カー、いつも軽快な音楽に乗って走るようにスタジオに現れ、ワイングラスを片手にとってオープニングトークに入る。これが全く料理とは関係ない、ただの小話なのだ。「ルーシー・ショー」や「奥様は魔女」のようにジョークの合間合間に観客(おばさん?)達の笑い声が入るのも海外バラエティのお約束である。グラハム・カーご当人のジョークを聞いたことはないが、吹き替えしている人の話が実に面白く、アドリブもたくさんあったと思うのだが、ホントに本人がそう話しているんだと思っていた。(ルーシー・ショーも奥様は魔女もそうだった)
料理中のトークを聞いていると、この番組のプロデューサーが主演の妻だと思われる。「なーんたって、ダーリンがこの番組編成してるんだからね」(欧米では妻のこともダーリンと呼ぶのか)というセリフが出てくるから。

          

グラハム・カーは登場して現れる字幕には「料理研究家」ということになっており、世界の各地に赴いて料理について取材し、その料理を時には自分風にアレンジしてキッチンスタジオで再現していく。毎回紹介される料理は「●●(素材)の○○(調理名)■■(地方名)」というスタイルをとる。「ローストポークのパインソース ジャマイカ風」ってな感じである。この例を見て分かるように「世界各地」と言うだけあってか、およそ「聞いたこともない」料理ばかりだ。家族が揃って言えにいるときは必ず見ていたような気がするが、一度として食卓に出たことはない・・・確かに「キジの丸焼きカンバーランド イングランド風」?「ラムもも肉キドニー詰め オーストラリア風」?日本人で食べたことのある人が何人いるだろか?タイトルだけ見ていてはどんな料理だか想像もできない。。。ただ恐ろしく高脂肪、高カロリー、高コレステロールの3Kメニューで今世間の料理家がみたら卒倒するようなものだと思う。

           

グラハム・カーはエプロンをせずにネクタイにシャツ姿でワイングラス片手に調理する。手を動かしながらのジョークは手順などそっちのけになるほど面白いが、調理そのものはいたって雑である。肉や野菜の切り方もいい加減で大きさも揃うことがない。そしてこれまたあまり聞いたことのない香辛料などが登場する。私だけかもしれないが、クローブ、キャラウェイの実、ベルモット、タイムの茎などなどである。瓶からとんとんと入れずに、一度手のひらに必ず乗せてからパッといれる。ニンニクを包丁の腹で「バンっ!」とつぶし、そのまま包丁で鍋に放り入れる。溶かしバターをスープのように大量に使い、煮込み用のワインなどボトル半分以上もドボドボと注ぎ込む。日本の料理番組のように調味料が透明なカップに入っていたり、鍋の中が見えるように丁寧に炒めていくようなことはない。 40年近く前だったと思うが、キッチンは極めて近代的だった。欧米らしい巨大な2連オーブンと今でこそ普通になったが両扉開きの大型冷蔵庫を完備し、調理器は電気熱を利用していた。 またまな板の上でみじん切りにした食材を「人体真っ二つショー」で使う箱にぶっ刺す刃の広い金属板のミニチュア」のような器具でさーっと集め、鍋にぶち込むすがたがカッコよかった。(アレ、今度自分用に買ってこよう)

    

そしてこの番組になくてはならないのが、姿なきスタッフ「スティーブ」である。「おいスティーブ!これ、いつもの缶詰と違うじゃないか。」「スティーブのヤツ、こんなところに丸ごと入れやがって・・・」時々いたずらもするスティーブとの掛け合いに観客は大喜びだが、何故か彼は決して顔を見せない。。。実在するのかどうかも疑わしいところがある。
このスタッフこそ、このサイトで我が職場に登場する「スティーブ」の名付け元になったのである。一応ルックスだけから言うと、かの「スティーブ・ジョブス」ということにしているが、「裏方で色々段取りや準備を進めてくれ、時々何かやらかしてくれる」という意味で姿の見えない「「スティーブ」をイメージしているのである。(ホントはもっと頼りになる大先輩で、だいぶイメージが異なるのだが自分の中では定着してしまったのでそのまま使うことにした。)

日本人らしい繊細さのない盛り付けだが、何故か食欲をそそられる料理が完成すると会場のテーブルで観客の前で一人試食する。この時の美味しそうな顔と言ったら。。。グラハム・カーはこれだけで名優の称号に値すると思う。私はこれほど幸せそうに恍惚とした顔で料理を口にする人を未だに見たことが無い。職場で同輩(と言ってもあまりいないのだが)に聞いても、意外に子供の頃この番組を見て、食事がごちそうの時はグラハム・カーの真似をして頬張っていたという。
番組の終わりには材料と簡単なレシピを復習してくれたのだがさすが現代、テレ東で再放送が始まると早速ホームページに全料理のレシピが登場した。
http://www.tv-tokyo.co.jp/ryouri_show/
えっ?TVからなんでこんなに写真撮ってるのかだって?もちろん自分で作ってみるためだ。乞うご期待!

      


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6 コメント

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Unknown (小夏)
2012-12-02 18:40:03
うっわ、写真がいっぱい~
なるほどぉ~、こんなのだったのですねー!
もう一度調べましたけど、やはりテレビ愛知ではやっていないようでした、残念!テレビ東京には一目置いていますけども、やっぱりヤリマスねー そうそう、昨日のアド街ックの横浜・野毛と言うところには大層驚きましたー。
当時のレシピが今でも参考にできるんなんて興味津々です 磯辺師匠をそこまでやる気にさせるなんて、、よろしかったら続編でご紹介くださいね~^^

野球教室のって、ミユキ~ ミユキ~ って言うのだったかなぁ。。 
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Unknown (小夏)
2012-12-02 18:55:05
スティーブさん、無くてはならないなんと頼もしい存在だったことでしょう!!
森高の橋の日のこと思い出すなぁ~(橋の名が思い出せん、、K師匠ゴメンナサイー!!)





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Unknown (磯辺太郎)
2012-12-02 19:52:42
小夏様

なんと、本日このメニューを製作いたしましたぁ。。。
料理そのものよりも、トークを楽しみにしてました。そしてあの美味しそうな試食の瞬間を・・・
テレビ愛知では放映されていないとは実に残念!でもHPにはレシピが全部出てますから。(たぶんスーパーグルメ主婦の参考にはなりませんぜ)

そうそう、ミユキ~ミユキ~ミィユキ、ミユキー・・・服地はミユキ。。。
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Unknown (磯辺太郎)
2012-12-02 19:56:37
小夏様

おっしゃる通り頼もしい存在です。少しお茶目で仕事はちゃんとこなす。裏役と言っては叱られます。。。
惜しいところですが、W瀬橋を共に渡ったのは「八兵衛」でした。
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Unknown (小夏)
2012-12-03 21:18:52
ふっぎゃー とんだ凡ミスー あーぁ、暮れの査定に響くかなー(笑)「八兵衛」さんはなんとなくわかっていましたけども三人だったかと。。

W瀬川、そうでしたね^^ 奥入瀬川とか浮かんでは消え、、紅葉特集見過ぎでしょうか・・・(爆)

豚の煮込み(?)レシピ見てきました!
もっと複雑になるとシチューになると思うのですが、ここまでで美味しいのならばスバラシイ!
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Unknown (磯辺太郎)
2012-12-04 05:53:36
小夏様

不思議なものですが、八兵衛とスティーブ、3人でお出掛けしたことはないのですよ。どちらかと言うと八兵衛の方が縁起物好きですね。
大丈夫、暮れの査定はもう済んでますから(笑)

実はラーメン食べに何度もW瀬川を渡っているのですよ。スティーブなんてあまりの美味しさに休みの日に奥様を車に乗せて1時間ドライブして●野ラーメン食べに行ったそうです。

豚の煮込みは確かにデミグラスソースを入れればシチュー、カレールーを入れればカレーで、その前段のような感じもしましたが、そこそこは美味しかったです。
でもたぶんすごいカロリーだー。
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