超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

米軍補給廠を走る

2015-04-24 23:16:27 | スポーツ・健康
「新・共通の趣味」編で書いたが1月に「湘南藤沢市民マラソン」で10マイルを何とか走り切った後、妻とは次回は一緒に出場しよう、ということになった。最近運動不足が気になるようで、平日の昼間は少しずつジョギングしているらしい。むろんペースなども異なるのでお互いに足を引っ張らないように一緒には走ることはほとんどない。「マラソン大会に一緒に出場する」というのは意外にも私の知る限り周囲の知人にいないが、準備は別々でもレース前の体調管理や前日のコンディショニング調整、会場までの道のりでの緊張感やスタート直前の高揚感、そしてゴール後の達成感など一緒に味わえる収穫は多く、粋な趣味だと思うのである。湘南マラソン完走後、気分がノッていた私は次回一緒に走ることになってから、妻の気が変わらないようにすかさず手頃なレースにエントリーしておいたのである。自身の練習実績から「7km以上は未知の世界」というから、出場レースの条件は「私が10km、妻が5km」という選択肢があること、普段行かないところで面白い風景が楽しめそうなこと、景品に記念Tシャツがあること、などで、「東日本国際親善マラソン」というのを選んだ。

コースは相模原の米軍補給廠敷地内である。国際親善というから、在日米軍との親睦を深めるようなイベントなのだろう。普段は足を踏み入れられないところだから、中々興味深いものがある。今回で19回を数え、店員は何と1万2千人というから、湘南藤沢マラソンより大きい規模の由緒ある大会のようだ。全コースフラットで走りやすく模擬店などアメリカンムードがいっぱい、というのが楽しみだった。私はグンマで初めて10kmレースを走ってから毎年そこそこは出場しているから、経験的に身体が「1時間走り続ける」というのを覚え、それなりには自信がついてきたが、妻は数週間前くらいから結構心配になってきたようだった。数年前に藤沢マラソン5kmを一緒に走った時はヘルニアが完治していない不良コンディションで途中ウォーキングを交える苦戦だったそうだ(私は途中で置いて行ってしまったので知らない)が、たまたま今回もJAL工場見学にも行けないくらい仕事が忙しく練習不足だというのである。

制限時間内にゴールしないと回収されてしまう「ドナドナルール」もこのレースは結構厳しく10kmが70分、5kmが35分である。目安となるのが時速10kmだが、スポーツジムの「はつかねずみマシン」でこの速度を設定するとものすごく速く感じて、とても1時間はもたない気がしてしまう。。。「大丈夫かな、ドナドナされないかな・・・」と妻は不安そうだったが、その割には前日、前々日(何と当日まで!)に趣味となった「スカッシュ」を予定に入れてガンガンに打ち込んでいた。当日に「やっぱ止めておく」と敵前逃亡されると困るので「回収車はたぶん最後尾のランナーがスタートしてから35分で出ると思うよ。30分なんか、あっという間だぜぇ」とフォローし続けた。確かにエネルギー消費量ではジョギングにも勝るスカッシュを1時間以上続けても平気なんだから、30分くらい走れないわけがないと思っていた。私はさすがに怪我を避けるために前日のスカッシュはパスし、スポーツジムの「ボディバランス」というヨーガと太極拳、ピラティスを取り入れたスタジオプログラムでコンディション調整にはしった。

二人でスーパー銭湯の高濃度炭酸泉で身体をほぐしキング・カズ選手の試合前日のように「消化がよくエネルギーになりやすい」パスタを晩御飯にするつもりだったが、「原料が小麦なら一緒じゃね?」とラーメンにしてしまった。健康センターにあるパンフレットによるとマラソンなどの運動前は「3時間以上前に炭水化物を摂り、直前は捕食として胃に負担のかからない糖分を摂るのがよい」とされていた。妻は「お腹が痛くなると困る」からと、朝から固形物を食べないでエネルギードリンクやゼリーを食しており、私もそれにつきあっていたが、これが後にかなりの試練を強いられることになる。会場までは電車を乗り継ぎ45分くらいで、相模原駅の真横に米軍の広大な敷地があり、ゲート通過待ちの長い列が出来上がっている。諸般の情勢で米軍の警戒レベルが上がっているそうで、ゲートでは特設の持ち物検査場があって結構念入りに中身をチェックされている。検査員は皆迷彩服を着ていたが、にこやかでアットホームな雰囲気だった。「Thank You., Good Luck!」

  

広大な敷地にたくさんの人が詰めかけており、めいめいにウォーミングアップしている。開会式や準備運動代わりのエアロビクスなどが催されているが、走る前のランナーはあまり顔を出さない。我々もエネルギーゼリーを飲み込んで、荷物置き場でもらったビニール袋に二人分のバッグを入れて所定の位置に置いた。(と言っても芝生に番号が書いてあるだけなので、雨が降ったらアウトである)イベント会場の端には協賛している靴メーカーのシューズがかなりお得な値段でほとんど「投げ売り」されていた。妻は熱心に段ボールの中を引っ掻き回し、まるでこれから走るのを忘れたかのように、息子甘辛用のいい品物がないか物色していた。「なーんだ。アメリカサイズだからでかいと思ったのに27cmまでしかないじゃん・・・」ちなみに甘辛の靴サイズは28cmでちょうどくらいである。敷地は米国だが協賛している企業は完全な日本企業なので日本サイズしかないのは当然か。しかし結構掘り出し物もあり、私の夏用サンダルと妻のシューズを取り置きしてもらった。

  

そうこうしているうちにスタート時間が迫ってきて、地点に集まるようアナウンスが流れた。もうすでに多数の人がスタートラインから長い行列を作っている。5kmのスタートは10時、10kmのスタートは10時10分で5kmランナーの列の後ろに並ぶから、ゴールした後の落ち合う場所を決めて妻と分かれた。。「ただ今、スタート5分前です・・・」その後1分刻みでカウントダウンアナウンスがあり、会場は別に緊張する必要もないのに条件反射的に熱気を帯びてくる。(この雰囲気は結構独特なものだ)
「よーい、ドン」の号砲が鳴って、しばらくは前がつかえて「たらたら歩き」が続くと思っていたら、さすが米軍基地でコース道路の幅がやたら広いので、あっという間に皆スタートを切ってしまいそそくさと走り出してしまった。準備運動をしない私はいつもだらだら走りで色々身体を動かして心拍数を少しずつ上げていくのだが、今回はいきなり結構なスピードになってしまい閉口した。(ちゃんとストレッチやっとけばよかった・・・)

    

スタート直後に青山学院吹奏楽部による応援ソング「100%勇気」が演奏されていた。10分くらいはやはりキツかったが、心拍数があがって身体が走りに慣れてくると周囲をきょろきょろ見渡す余裕ができてきた。補給廠ではあったが普段は入れない米軍施設で何か目新しいものはないかスマホを片手に物色していたのだが、見事なまでに何もない・・・(当たり前か!)巨大な倉庫とマンションが何棟建てられるか分からない空き地ばかりである。コースは1周5kmで、先にスタートした妻は1周、私は2週することになる。ちょっと日差しが出てきて気温が上昇気味だったが、時折受ける横風が結構心地よく、いつもより多めに給水しながら走っていた。身体と会話しても何の異常もなかったのだが、4kmくらい走って何か退屈になってきた・・・ところどころ許可されたエリアは人がいるのだが、ほとんどのコースは人っ子一人いないただのコンクリートの荒野なのである。湘南藤沢マラソンは一本道の単調なコースだが、沿道には大人も子供もたくさんの声援を送ってくれる人々がおり、走っているだけでパワーが漲ってくるようだった。知り合いは少なかったが、Mラさんのメガホン声援に勇気百倍となったものだ。

「(何か沿道の声援がないと、元気出ねえなー)」今更のように「応援の力」というのを思わざるを得なかった。1周目のゴールが見えてきたが、身体の調子は申し分ないのに何となく足が重い・・・「(妻はこれでゴールか。。。あっという間、全然楽勝じゃないか。オレも5kmにしとけばよかった・・・)」少し憂鬱な気分になって1周目のゲートをくぐった直後、「磯辺さん、磯辺さぁん!」と手を振る4人組くらいの男女がいた。「(はて?誰だったかな。私の名前を知っているということは知り合いのはずなんだがな)」まっすぐ近づいていくと、おーっ、遥か昔に同僚だったクニさんではないか!妻以外には誰も知り合いなどいないと思っていたから、とたんに嬉しくなり思わず両手を振って欽ちゃん走りしていた。彼は自転車をやると聞いていたが、ゴール後ろでランナーのスタイルをしているということは我々の後にハーフマラソン走るのかな。同じ年なのに大したもんだな。何か少し元気が出てきて、少しスピードアップした。

2週目、残り3kmくらいになった時に思いもしない試練が待ち構えていた。尿意を催してきたのである。おかしいな、出走前にちゃんとトイレには行ってきたのに・・・どうもエネルギードリンクやゼリーの類は吸収が早い分、利尿作用もあるらしいのである。近所を走るマラソン大会では公衆も含め至るところにトイレが設営されていたのだが、ここは米軍施設内、簡易トイレなど置かせてはくれないらしい。その辺の陰で済ませて、MPにでも見つかったら銃口を突きつけられるかもしれない。かと言って、勝手に建物の中に入るわけにもいかない。こうなったら1秒でも早くゴールするしかない。幸いどこも痛いところはなく、疲労もピークには達していなかったので残り2kmの看板を通過すると2か所あった給水場をスルーして、その時出せる最高速度で必死に疾走した。しかしラストスパートをかけるには早過ぎたらしく、途中から足首やら太もも、股関節あたりが同時に悲鳴を上げてきた。ゴール前で手を振る妻に辛うじて応え、急いで計測チップを外して記念のTシャツを受け取り、さらにスピードアップして特設トイレにダッシュした。エネルギードリンクものは利尿作用があるのでコースにトイレのないレースでは気を付けなくてならない、というのはどのサイトにも書いてなかったが、貴重な教訓となった。。。

妻も無事30分を切ってゴールしたようで、ハイタッチしたものだ。帰り支度を終えて気になるアメリカンフード模擬店群に行ってみると、気が遠くなるような長い列・・・しかも偵察しているうちに半分近くのメニューが売り切れになってしまった。写真で見ると巨大なビーフステーキサンドやツナ・パニーニ、特製クラムチャウダーなどはあっと言う間だったらしい。ハーフマラソンは数十分前にスタートしており、帰りのゲートまでの道のりもコースになっていたから、先頭ランナー以降しばらく声援を贈っていた。「クニさん、わかるかなー」ガチンコ集団が過ぎ去ってしばらく1周目のランナー群が続いたが、まだかなりの塊で走っている。私も走っている最中だったので彼がどんなウェアを着ているか思い出せず「こりゃー、見つけるのは無理かもなー」とゲートに向かってゆるゆる歩き出した時、一番我々のいる側を真っ黄色なウェアな走り過ぎた。「おおーっ、クニさん、クニさん!」私は反射的に叫んでいた。奇跡的にも彼の姿を見つけ出し、声援を贈ることができたのである。ちょっと興奮のあまりダブルサムズアップで「指圧の心は母ごころ」みたいなジェスチャーになってしまったが。。。

  

身体が記憶していて、支障なく1時間走り切れたとしてもやはりダメージは小さくない。我々はその後、息子甘辛の試合を見物に行ってつぶやき一家と合流、スカッシュすることになっていた。(よくやるよなー)妻はなんと、マラソン大会を挟んで3日連続のスカッシュ漬である。打上げ会場のサイゼリヤに向かう道で「きなこもちさんって走るの好きなの?」と聞くつぶやきさんに「いやー、嫌いみたいだけど・・・」かく言う私は前述したように「ただ走る」だけのジョギングなど退屈で我慢ならない。しかし二人で出場するマラソン大会は走ること以外にも色々と話題があり、今回ちゃんと走り切れたことは大きな収穫だった。会場出口では「湘南ビーチラン」という大会のパンフレットを配っていた。まさしく我が家の真ん前の海岸を走ることになる。「面白そうじゃんか。ビーチはヒップに負担かかるってよ」と軽く振ってみると「何が悲しくて、お金払って目の前の砂浜走らなければなんないのよ・・・」と一蹴。。。それもそうだ。約1ヶ月先だが、その日は波乗りした後ビール片手に応援する側に専念するとしよう。

  

ご縁と購入事

2015-04-18 16:11:39 | 出来事
世の中が豊かになり、色々なモノの売り場には「何とかコーナー」という季節的な催しも現れる。食品、衣料品、家庭用品、や趣味のモノなど何をとってみても色々な選択肢があり、見ているだけでも楽しくなる時がある。ここ数年、40年前の年代物に代わり整備しつつあった「天体モノ」も、ポラリエ1号に始まり、A−VX号や超兵器アダプターなどを経て、アニバーサリーにちなんだ口径20cmカタディオプトリック式という特殊な主砲を装備したことで一旦終結したが、家電量販店などの天体望遠鏡コーナーなど、足を運ぶだけでも楽しくワクワクしてきたものだ。これらは「必要に迫られて」というわけではない趣味の世界なので、「トイザらス」や「上州屋」同様見ているだけで飽きないものなのである。しかしタイミングが大事ですぐにも必要なモノは逆に選択肢が多くて困ってしまうことも多い。食料品や家庭消耗品などいわゆるただの「買い物」なら大したことはないが、衣料品あたりになってくると妻に任せられないジャンルは突然背中にずしーっと重圧がのしかかってくるのだ。

「肉屋のショーウィンドーでいつまでも頼めない」上に店員恐怖症の私はそれなりに値段のするスーツやコートなどになると、げっそり疲れ果てる。大体、今身に着けているものがあまりにも古く「用をなさなくなったから」入用になるのだが、安価なものではないから「良かったらお試しに」という店員の言葉に従わざるを得ない。デパートなどで女性とは異なり紳士服売り場が1フロアしかなくてホントに良かったと思うが、それでも大手百貨店などだとそれなりにフロア内店舗も多く、いちいち店員の説明を聞きながら試着するような気にはとてもなれない。かと言って「よくわからないから」有名ブランドへまっしぐらというのもイマイチはしたない。。。そこで苦渋のあげく編み出したのが「御縁購入」である。

10年ぶりくらいにスーツを購入しに行った時に、紳士服売り場へのエスカレーターの降り口正面にマネキンがスーツを身に着けていた。妻とフロアの色々な店舗を見て回っていい加減疲れ果て「どれでもいいから、キミ選んでくれねえか?」と言いかけた時にふと「そう言やぁ、マネキンの来てたヤツ、カッコ良かったな・・・」いかにもフロアマネージャーの思惑に「やられて」いるようだが、隅の方にある小さな店舗を見つけ出し、「御上りさん」のように「マネキンの着てるヤツ」をリクエストして試しに着てみたらかなり褒められ(店員だから当たり前か?!)、我ながら「いいじゃんか」と思って、めでたく購入に至った。聞いたこともないイタリアのメーカー(私だけが知らない?)だったが、たまたまマネキンが目に入っただけの偶然に首を傾げる私に「御縁があったんだよ」という妻の言葉が響いた。

なるほど、そう言われてみればエスカレーターを降りた時に何か閃いたような気がした。それ以来、何かを選択する際に絶望的に困難な環境にいる時、「御縁を感じるかどうか?」を判断基準の核に据えるようにしたのである。実はこの手法は「自分を納得させる」という意味も含めてかなり効果的だった。甘辛の試合応援用に来ていたダウンコートが傷み果て、中身のスーツが羽だらけになってしまうので、やむなく購入に行ったのもこの店だった。店員が寄ってこない「大気圏外」から偵察し「あれ、いいかもなー」と思っていたコートは流行りのスタイルとはちょっと違うものだたったが、後日妻と行って試しに羽織ってみると「なるほどねー」と言わせる「御縁」があったのである。以降、私の身に着けるスーツ類などは「擦り切れ果てて尻に大穴が空いた」お気に入りのワインレッドのダブルをはじめ、次々に「E●OCA U●MO」というブランドにシフトして行ったのである。

PCというのも数年を経て次なるモノが必要な「消耗品」だが、新規購入にはやはりずいぶんと手間と下調べがいる。我が家のPCもディスク容量がほぼ限界となっていたが、その前に息子甘辛が貯めたお金で学校の「課題研究用」にPCを買うという。高価なもであり、あまり考えもなく「店員」にやられると困るので、ついて行って色々と話を聞いた。その結果、形状、重さなど持運びに便利で必要なスペックのモノを探すとジャストミート品は店頭では中々見当たらなかったが、ネット販売を主とする●ELLという会社は自分で必要なスペック、ソフトウェアなどを指定し、カスタマイズして購入できるという。その代わり平均納期が2週間もかかってしまうが、人気のある(一般的な)即納モデルというのがあり、甘辛の求める品が短期間でかなりリーズナブルに購入することができた。そう言えば「(この会社の創業時のビジネスモデルケースについて、ボストンのビジネススクールでディスカッションしたなー。甘辛がこのシリーズに詳しくなれば色々とサポートしてもらうことも可能だ)」とこんな風に「御縁」を感じ、我が家の(今は私専用)次期PCは同メーカーのものとなったのである。

さて、比較的高価で生活に影響が大きい割に選択肢が多すぎる、というかなり絶望的に困難な状況に陥る代表的な例はやはり白物家電であろう。我が家の白物はちょうど20年前ほどに新生活に合わせて購入したもので、幸い比較的「アタリ」が多いと思う。冷蔵庫は社宅の狭いスペースに入る「サイズ」だけで選んだし、洗濯機は職場の上司などからお祝いに頂いたものだが、「容量」だけ希望しておいた。奇遇だがどちらも「●ITA○HI」製で故障することもなく、20年近く無事に稼働し続けた。2年くらい前に冷蔵庫が先に寿命がきてしまい、約20年ぶりにコーナーへ足を運んでみると「エコナビ」だの「真空チルド」、「ナノイー」だのと絶望的に多い比較条件である。「必ず守る条件が合えばあとは好みですよ」と店員にはよく言われたが、理系的には興味があってもメーカーの造語っぽい専門用語を使われても、何が好みかすらよくわからない。そこで決めたのは「実は我が家と御縁があるのではないか」という考えで●ITA○HI製の品に絞って決めてしまったのである。

先日、20年稼働した洗濯機がいよいよ動かなくなったらしい。洗濯機能はどうやら健在だが、すすぎ、脱水など「全自動」に連携せずに途中でエラーとなって止まってしまうため、手洗いと変わらない手間になって妻が閉口している。週に何度もスポーツジムから持ち帰る私と部活全盛の甘辛の洗い物を預かる妻としてはさぞ全自動が機能しないのは脅威であろう。次はぜひ「干す必要がない」乾燥機付きの洗濯機にしたい。私に言わせると洗濯物を「干す-しまう」という行為はできれば無くしてあげたい徒労だ。せっかくきれいにしまったものを取り出して汚れ物にし、洗濯機に放り込んだ後、干すという繰り返しの建設性のない行為に見えるからである。濡れたものを身に着けられないから乾かすのは必要だが、私はアイロンのいらないものは、たたんで仕舞う前に着るか着替えとして持って行っていく。乾燥機付きとなれば理論的には放り込むだけでよくなるのである。

先日、妻と家電売り場で色々物色した。容量、方式、性能などそれは多種多様だったが、御縁のあると思っているメーカーで方式が決まっているからかなりスピーディな選択だった。しかしさすが新生活の季節、在庫がすぐにはないという。。。しかも気になることに巨大なドラムは我が家の狭い通路を無事通れるかどうか、業者に見てもらわねばならなくなった。幻の一品となるかは今が瀬戸際のようだ。
選択肢がやたらに多くて困る「高い買い物」には「御縁があるかどうか見極める」という主方針は色々な分野で応用できる。さらに高い自家用車や家などもあてはまるし、無生物だけでなく塾、進学先、就職先なども「御縁」が大事と思われる。自分を納得させる合理的っぽい理由であるし、経験的には世の中のことはすべからく「この程度」にお気楽に考えた方がうまくいくことが多いようだからである。

ちなみに洗濯機については新年度当初、業者が下調べ&見積もりが来てOKサインが出た。ホントはその前に「取り置き」しておいてくれればいいのに、その家電量販店では支払が確認できないと出荷も取り置きもできないという。業者がきたその日に満を持して注文に行ったのだが、これまた困った事態に陥るのである。サイズは同じスリム型なのだが、形式、スペックが微妙に異なるマシンが3台あることが分かった。性能としてはどれも合格なのだが、一番価格の安い機種はなんと注文後10日待ち、その次に安い機種は1週間待ち、一番入荷が早いのは翌々日に配送設置できるが、値段が数万円も高くなってしまう・・・同じスペックなら安い方が人気があって品薄、待ち時間が長いというのは当然の原理だが、まさしく「時間を買う」以外に要素がない。。。結局、「脱水を手絞りで行う時には協力する」という条件で10日間我慢することにした。(実は私のいい加減な手絞りがほとんど役に立たず、後でぶーぶー言われることになる)

そして待望の配送設置日、私はスポーツジムから帰宅して洗濯物を抱えて洗い場に行き「おーっ、スペースばっちりじゃんか」と感嘆の声を上げたら、妻が沈んだ声で「でも動かないんだよ・・・」ってまさかの初期不良!一番ショックなのは配送してきた業者だとも思うから、当り散らすわけにもいかず、怒りの矛先がなくて何となく笑うしかなかった。さすがに配送は翌々日と比較的スピーディで、その日から順調に稼働し始めた。稼働するのは「機種」ではなく「個体」だから、前のヤツは御縁がなく後から来たのは御縁があるのであろう。団地のようにお隣への騒音など考えなくてよいから、今は深夜のうちに食器洗浄機とダブルで稼働している。何しろ終了しても干さなくてよいのだから(ホントは干した方がよいものもあるが)この上なく便利である。前任と同じように稼働すると引退するのは赤を超えて紫のTシャツを着る頃になるのが不思議な気分だが、長い御縁であってほしいものだ。

      

工場見学~「空の博物館」~

2015-04-14 21:29:18 | 出来事
たしか「アーユルヴェーダ」編だったろうか、小夏師匠がどどどーっとその存在を教えて頂いた「JAL工場見学〜SKY MUSEUM〜」である。回遊魚系の割には普段から行動力には乏しく、どちらかというと「ぐずぐずとできない理由を探す」のが常なのだが、この手の話題には条件反射的に飛びついてしまう。。。そう言えば本編の「アーユルヴェーダ」そのものもきっかけはKICKPOP師匠の記事だった。JALのホームページにある工場見学の概要やその風景などを見ているうちに気が付いたら申し込んでいた・・・かなりの人気を誇るらしく、土日も含めて予約が取れるのは1ヶ月先だったが、後からこの予約は絶妙のタイミングで実に幸運だったということを知る。その後土日に関しては半年先まで満員となってしまったからである。黄色いしゃもじのお化けを持ったマーシャラー体験や機長&CA制服コスプレもできると聞いていたのだが、一緒に行く予定だった妻がまさかの土曜日勤務・・・この手の企画モノに興味を持つ知人が分からなかったので、ダメ元で「竜泉寺」の代わりに老母に声をかけてみたら意外にも「行く」という。DNAなのかこの手のものが「嫌いじゃない」らしいのである。
 
「まあ、終わってから空港内でもぶらぶら散歩すればいいか」と思っていたら、施設はJALの一般立入禁止施設そのもので、最寄の駅は羽田モノレールの「新整備場」というむろん降りたこともないところだった。入口で申込み確定メールの写しと身分証明書を見せてゲストカードを受け取り、バーコードでアンチパスバックのゲートを通過する。「常に外部から見えるところに装着しなければ不審者と見られてしまい、失くすと外に出られません・・・」係の元CA?はにこやかに案内するが、物々しい警戒ぶりだ。エレベーターで展示エリアまで上るといきなり巨大なボーイング777(999じゃないよ)の模型が出迎える。航空教室が始まるまでご自由に見学することができる。航空整備士のエリアでは整備の主な仕事やタイヤ、エンジンの仕組みなどが分かりやすく展示されている。ボタンを押してエンジンが回り出すと・・・おおーっ、ヤマトの波動エンジンみたいだ。「フライホイール、接続点火ぁ!」by沖田十三

            
 
その反対側が、グランドハンドリング、貨物スタッフのコーナーだ。飛行機のコンテナなども展示されている。そしてお馴染み、着陸した航空機を誘導するマーシャラーである。両手に持つ黄色いしゃもじのお化けは「パドル」というそうだ。前方のスクリーンを見ながら疑似的に飛行機を誘導することができる。これが小夏師匠の仰った、マーシャラー体験か・・・子供が面白がって動かしている中で、老母に超兵器203号を構えさせ、いい年したおっさんがパドルを振るのは多少恥ずかしい感じがしたが、やってみなくてはレポートにならぬ。係り員は大人にも「ぜひぜひ」と勧めているようなので体験してみた。なるほど左に曲がれとはこうして動かすのか・・・中々興味深いものだった。その他空港スタッフ、客室乗務員の仕事も隣接コーナーで紹介されていた。そしてお馴染み、パイロットのコーナーである。航空機をどうやって運行するか、操縦桿をどうやって操作するか、中々知らないことまで紹介されている。ちょっと古いが実物のコックピットに座ることもできる。うーむ。。。パイロットになった気分だ。さすがに子供が後ろで列を作っているのでちょっと雰囲気を楽しんだら席を明け渡さなければならない。(この時カメラ班はどこかへ行ってしまい、空しくコックピットを立った)

        
 
「仕事紹介エリア」の隣は創設以来のJALの歴史を凝縮した「アーカイブズエリア」となっている。いきなり歴代飛行機の1/50サイズがらせん状に展示されていて迫力がある。私が乗ったのは赤紺二本帯のジャンボくらいだろうか。子供の頃はウルトラホーク1号にも少し似た美しいフォルムのボーイング727が好きで、ブリキのおもちゃも小さいヤツを持っていた。壁には50mにもわたるJALグループの長い年代ごとの紹介がある。おーっ、「ドジでのろまなカメ」だ。見てた見てた。パリンコ学園では「堀ちえみ」が一番可愛かったように思うが、何と言ってもこの物語の印象は出術用みたいな手袋を歯でぴーっとすっぽぬかす「片平なぎさ」だった。当人が最近の番組で明かしたエピソードとして、街中で「あ、アイツあのやなヤツだ」と子供に石を投げられたことがある(さすがに「折れた」と仰っていた)そうだから迫真の演技だったんだろう。皇室の特別フライトの様子、陛下の座ったシートなどが展示されていたがここは撮影禁止である。東亜国内航空からJASも含んだ歴代のCA制服も展示されている。「千秋」のコスチュームはよく覚えている。時代の流行でミニの時もあったんだな。さすが、バブル期の制服は今よりはるかにゴージャスだ。。。

      
   
さて航空教室の時間になり、約60名の見学者は講義室に集まった。羽田空港の紹介、航空機のしくみなど分かりやすく説明してくれる。まだまだ知らないことがたくさんあって、実に興味深い30分で、思わずスタンプカードにメモしておいたことを書き留めておく。
羽田空港にはABCD4つの滑走路があり、東西南北に平行四辺形を形成している。飛行機は向かい風で離陸し、同じく向かい風で着陸するので、風向きによって使用する滑走路を決める。乗降客数はアトランタ、北京、ロンドンに続き世界第4位、最繁時は1日1600回もの発着があり、昼間は30秒に1回くらい飛行機がやってくる。そりゃー、朝の離陸待ちの飛行機渋滞はすごいものだ。最新のD滑走路は多摩川の河口付近に建設したので、川の流れをせき止めないように世界発の人工島/桟橋のハイブリット構造となっているそうだ。
 
次は航空機についてである。ジャンボジェットが引退して間もないが現在JALで飛ぶ最大のボーイング777は747よりも機体自体は大きいそうだ。(知らなかった)主翼の端から端までは65メートル、発送路の幅は60メートルだから、離着陸の時は翼の端っこは滑走路からはみ出てしまっていることになる。(そんなのありか?)引退したジャンボジェット747のエンジンは4基あって1基の出力は25000馬力、4発で10万馬力の「鉄腕アトム」ということだ。(たぶんこれ、ネタだろな)どれくらいの出力なのかピンとこないだろうからと、技術研修用に作られたVTRが写し出された。エンジンの後方20メートルに大型バンを駐車して、その一基分だけエンジン出力を上げていくと、50%(つまり12500馬力)になったところでバンが後ろに吹っ飛んだ。。。つまりは「飛行機の後ろ側は危ないので立ってはいけません」ということか?!
 
航空教室を終え、約20分ほど再び展示エリアの見学時間をとってくれた。話題のパイロット/CA制服体験は子供だけかと思ったら、大人用のコスプレも可能なようだった。ウルトラ警備隊服の時は全然気にならなかったが、これは相当勇気がいるなー。80近い母親にCA制服というわけにはいかぬから、私だけが晒し者になることとなる。そのうちどこかのルーキーズと思われる女性二人がCA姿できゃぴきゃぴ現れ、仲間内で撮影会が始まってしまった。。。中々サマにはなっていたが、中にはちょっと「イタい」人も・・・「千秋」にはちょっと及ばないかもしれない。実は航空教室開始前の最初自由見学時間に真っ直ぐさっとスタジオに行って撮っておけばよいのだ。次(があるか分からないが)はそういう要領でいこう。。。あっという間に時間が過ぎ、お待ちかねの工場見学タイムとなった。「かなり寒いので上着を召した状態でお進みください」と言われ、何グループかに分けられていくつかの注意事項が説明された。
 
ウルトラ警備隊の作戦室のような両開きドアがぐあっーと開くと、いきなり巨大な整備場が開け見学者皆がおおーっと歓声を上げた。2機がたくさんの足場に埋もれて整備されている様子だ。これは「M整備」といい、6〜8年ごとに1度、1ヶ月くらいかけて行われる飛行機にとっては人間ドックのようなものだそうだ。シートや内装などもすべて外し隅々まで調べて整備するそうだ。確かにエンジンは外され、主翼すらずれているようだ。この整備工場では他に約1年半ごとに7〜10日間かけて行われる「C整備」というのがあり、主にエンジンやシステムについて細かく点検する。見学は展望デッキのようなところで行うが、隅っこにボーイング777のミニチュア版が置いてある。ただの模型かと思ったが、何と整備士たちが有志で製作したラジコン機で何とホントに飛ぶそうなのだ。見たところプロペラじゃないから、ホントにジェットエンジンで飛ぶのかな。ちなみにジェット燃料というとガソリンよりも引火しやすい物騒な液体に思えるが、実は「ケロシン」という灯油と同じ成分なんだそうだ。ただし上空1万メートル、マイナス50℃でも燃焼するよう凍ってしまう水分は除去されている。

          
 
渡り廊下を進んでもう一つの広大なハンガーに移ると767と最新鋭の787が並んで見える。ここでは約500時間の飛行ごとに6時間ほどかける「A整備」、到着後すぐ次の目的地までに出発するまでの「T整備」が行われる。ここから先はJALの赤ヘルをかぶっての見学だ。見学中も整備用車両などが行き交うからあまり自由には歩き回れないが、すぐ真横が滑走路で次々に飛行機が着陸してくる。離陸するために滑走路に向かうJAL機が手前を通り過ぎ、「皆さんで手を振ってみましょうか。いってらっしゃぁーい」係員の声に合わせて手を振ると、「ほーら、手を振ってくれたでしょう?」(全然見えなかった・・・)「もう1機来ましたよ。手を振ってみましょうか」次のス○イマーク機が進んできた時は203号に望遠レンズを装着して覗いていたが、なんと機長が手を振り返してくれたばかりでなく、翼のフラップを上げ下げしてくれたのである!「すげえ、サービスいいですねえ」と思わず歓声を上げたら、説明係の人は「機長によっては翼を動かしてくれる人もいますよ」(そんなことしていいのか?!)
ちなみに格納庫1階から撮影した写真はネット掲載不可だそうだ・・・

          
 
感心と興奮の中であっという間に見学時間1時間40分は過ぎてしまった。「これから皆さまを秘密の通路に案内します。」係員は迷子になっている(特に大人)者がいないか念入りに人数をチェックした後、入る時とは別のドアをぐあーっと開け通路を進むと建物の入り口のアンチパスゲートに出てきた。丁寧に見送られ、こちらもお礼を言ってお別れだ。建物には通信用レーダーが回り周囲にはお店一つない。。。空港の表玄関から裏の入口に入るのかと思ったら、そもそも駅からして違っていた。展示エリアはもちろん訪問客用に作られているが、整備場他建物内は現場そのもので、JALの制服にヘルメット姿の整備員が間近で歩き回っていた。むろんJALにあるならANAにもあるだろう。また企業の運営するテーマパークも色々あるみたいで面白そうだ。何しろ「社会貢献活動」の一環なことが多いから企業イメージを大事に接客は丁寧で「無料」というところがいい。また機会があったらこういう所を見つけて行きたいと思う。機長(もとい!貴重)な体験のきっかけを頂き、小夏師匠には感謝申し上げるばかりです。