超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

三河-湘南に「にら」根付く

2014-09-18 07:16:20 | 食べ物
「湘南にら観察日記」編から約1年半・・・わざわざ三河のにらを送ってくださった小夏師匠に応えるために5種類の栄養土を用意してそれぞれ鉢植えで個別栽培し、一番繁殖したヤツをブロックエリアで本格栽培とする計画だった。ネットで色々調べると「にらは水はけが良く通気性の良い土を好みますが、土質はあまり選ばず生育旺盛・・・」まさしく我が家は砂地なので水はけだけはよい」初心者向けの多年草ということでたくさんのサイトでその栽培方法などが紹介されていた。家庭菜園などは細かくその準備するものや手順などがあるが、実際は種を均等に撒いただけで、何もしなくてもどんどん増えると聞くにらの繁茂力を信じて「早く芽を出せ、にらの種」とサーフボードを洗浄するついでに水ばかりやっていた。

    

2週間くらい全く何の反応も無かったのだが、ある日半分の鉢植えからひょろひょろと2本くらいの弱々しい芽らしきものが生えていた。さらに2週間くらいすると全部の鉢植えから似たような芽が出てきたが、どれも「にら」の真緑とは程遠い薄茶色で、繁茂というレベルではなく「増えもせず、育ちもせず」に秋を過ぎてしまった。どんどん大きくなって青々とするものだと思っていたら、磯野波平兄弟の頭頂部のように頼りないまま2種類くらいの鉢植えでは半分枯れ死状態にまでなってしまった。うーん、おかしい(って、何をやったわけでもないのだが)。。。種をまいたのは3月だからそんなに間違った季節ではないはずだ。慌てて石灰と肥料などを用意して、庭の隅にあるブロック畑に黒土を敷き詰め、私にしては丁寧に鉢植えのヘタレきった苗?を移送した。

本格的な冬となり、海に入ることもなくなったので、自然庭に出ることも少なくなったが、水だけは何となくやりながら様子は見ていた。この地方では冬でも暖かい方なのか、真冬でも結構小さな雑草は絶えることがない。鉢植えから移設した時には真っ黒な土の上に綺麗に並べて植えたはずのひ弱なにらの苗の周囲に小さなクローバーみたいな草とか横に根を張る名無しの雑草がにらエリアを浸食し始めた。割とマメにむしっていたのだが、何せ苗そのものが雑草と見間違うくらいに貧弱なので、一緒に抜いてしまうようにピンセットを使用するような作業となった。目が出て半年以上たっても全く生育する気配がない。(かといって滅亡もしない?!)ネットで栽培方法を見ると確かに色々と作法はあるようだ。やはり黒土に種を撒いて水やって雑草抜くだけじゃ、さすがにダメなのか?!

雪が降る日が何回かあったが、積もりそうな時は念のため甘辛が幼い時に使っていたプラスチックのそりを被せて保護カバーとした。滅多に雪の積もらないこの地方なのだが、珍しく20センチくらい積もった最初の大雪時はこれでしのげたのである。ところが確か2月半ば、「風雪流れ旅」となってしまった札幌からの出張帰りの超大雪は被害避けられなかった。何せご主人様が羽田空港で足止めを食って一晩明かす羽目になったのである。平らなウッデッ部はもちろん、周囲は数十センチの積雪に埋もれていて、「赤いライオン号」も完全に出撃不能になっていた。私たちは庭で雪のスロープを作り、そりのスタンドライドを楽しんでいたのだが、正直ブロック菜園のことは完全に忘れてしまっていた。

日陰には何日かしぶとく残雪があったが、大半はすぐに跡形も消えてなくなってしまった。職場でニュースを見ていて「この大雪による作物の被害は・・・・」と報道された時に「あっ!」と電撃のように思い出した。「オレんちの畑、ダメかなー。可哀そうに、遊んでいる時に気が付きゃあ良かったのに・・・(師匠、ごめんなさい!)」サカタのタネに三河産にらの種がないか、探してみようかとマジに思った。まるで絶滅してしまった日本純産の朱鷺に代わって中国から譲ってもらって人工繁殖させるような気分だった。家に帰って菜園を見ると、雪は全部溶けていたが色々なゴミが入り込んでいて「やはり命運が尽きていたのか?!」全滅に嘆いていた。サカタのタネで調べると「三河産のにら」という種はなく、「大葉にら」とか「花にら」とかいう普通とちょっと違うのしか販売していないので、人工繁殖計画も暗礁に乗り上げたのだった。

  

薄情なことに菜園のことは何となく諦めてしまい、2ヶ月余り放置状態にあったのだが、5月も近づいて暖かくなってきたある日思いもかけない光景を見たのだった。ウッドデッキ上で50センチ四方くらいの小さな練習用ネットでアプローチ練習する時に、デッキから外れたボールを探しにくいので伸びてきた脇の雑草を抜いていたら、もはや手を入れていないブロック菜園が目に入ってきた。背は低いがここも雑草が茂りつつあったが、その中に何か茶色いひょろひょろした草が見えた。「おーっ、あれは前に植えたにらの苗じゃないか?!」鉢植えから植え替えた後、少しはマダラに増えたのだが、生えていたところも同じような気がする。「わーい、生存していたのか!(よく見なかったのかな)」私は慌てて周辺の雑草を除去し始めた。

まだ気温も高くなく小さな平べったい雑草ばかりだったが2ヶ月以上も放置していたため、ピンセットでで取り除くには小1時間を要した。しかしよくよく見ると確かに以前生えていた「あまり流行っていない生育状況」そのものに近いと思われた。ただ、少し待てよ・・・実はブロックで囲まれた土のすぐ外側にももっと立派なニラの葉みたいな植物が生えている。抜いてみると根の部分は球根状になっているので、おそらくこれは以前から我が家に棲息していた「スイセン」であろう。にらと間違えてこれを食べると中毒になってしまうと言う。そう言えば菜園内に生えている場所も以前よりは端っこよりに偏っているような気もしてきた。「残念だが、三河にらはやはり絶滅してしまったのだろうか。」いかにも弱々しく生えているので、やばい方のスイセンかどうか確かめるために根を引っこ抜いてみたらそれだけで枯れてしまうかもしれない。。。

それからしばらくは何かにつけて周辺の雑草を根気よく除去しながら様子を見ていた。以前は増えも枯れもせずに細々といた小さな植物群は順調に増えていく様子を見せた。梅雨の時期になって雨に濡れるのがいやでちょっと手を抜いていたらかなりボリュームが大きくなっていた。背丈は10センチくらいにしかなっていないが、土面を覆うほどの量に生育しており、しかも青々としたにらっぽい色だ。これだけあれば大丈夫だろうと端っこの一部を引っこ抜いたら、球根ではなく細い根が釣りでいう「オマツリ」のように絡まっていていかにもスイセンとは違う。匂いを嗅いでみたのだが、まだあの独特の香りはしなかった。私はよく買ってくる時の長さに生育するまでひたすら待つことにした。

夏休みに入って前半は早朝や休みがあれば海に出動していたから、脇の菜園を見ちゃあマメに雑草取りをしていた。8月に大きな台風が立て続けにやって来た時はまたプラスチックそりでカバーしても風で吹っ飛んでしまったが、しぶとく無事でいた。お盆が過ぎ、旅行に行ったりその後バタバタと忙しくしていてしばらく放置していたら、あっという間に強力な雑草で包囲されてしまった。夏の雑草は油断するとすごいスピードで生育する。黒土菜園エリアは小さいうちから取り除いていたからそれほどでもなかったが、そのすぐ外側は私の背丈ほどもある草が何本も猛威をふるっていた。折しも「蚊」を媒介として「デング熱」が流行っていたからいかにも彼らの楽園のようなところには近寄らずにいた。

しかし先週末、海へ行った帰りにちょっと様子を見てみると、菜園の中に白い小さな花がいくつも見えたのである。そうだっ、にらって花が咲くんだった!ネットで調べてみるとバッチリ。しかも驚くことにこの「にら群生」の本家である小夏師匠のお庭にも「花が咲いた」そうなのである。ブログに掲載された花を見るとまさしく我が家と同じ!(当たり前か)小さな種が旅すること数百キロ。。。一時は大雪によって絶滅したかに見えたが、生命力の素晴らしさをあらためて感じたものだ。ちゃんと栽培しようとするといくら丈夫とはいっても、土を用意し、畝を作り、種を撒いて、適度に間引いて雑草むしり・・・それなりに手間はかかるようだが、私の場合なーんにもしないで花までは咲いた。我が家の愛して止まない「北京亭メニュー」はほぼあらゆるものに「にら」を使用する。中華丼を筆頭にタローメン、マーボー丼、肉野菜イタメ、にくそば、サンマーメン・・・・三河産にらが大活躍する時も近い。

    

そして、この三河-湘南産にら群から種を採取することができたら、ぜひ次なる群生の場につなぎたい。ものの本で読んだ記憶が頼りだが、「人づて」の仲介を6回繰り返すと世界中のどの人ともつながることができるという理論がある。確か「六の何とか」と言ったまだ証明はされていない仮説だった。今はSNSなどがあるから、全く見知りなき人でもあっという間に伝わるだろう。元ガーナサッカー協会のニャホ・ニャホ=タマクロー氏にも6人のリレーがあればこの「三河産にらの種」を恐らく渡すことができる。でもどうせなら中継する先々でにらが生育しそこから取れた種を次なる地にリレーしてほしい。理論上「種から次の種を採取する「にらリレー」を繰り返せば約12年で世界のどこにでも三河産にらを根付かせることができるわけだ。壮大かつ不思議な話ではないか。


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2 コメント

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ウルトラ園芸隊 (小夏)
2014-09-20 00:38:56
師匠~、こんばんはー
もう一人前なニラの姿、湘南に咲いた同じ種の白いお花に大感激し泣いちゃいそうです。

なんと、発芽実験調査、植え替え計画にピンセット、、さすが白衣に身を包む科学者でいらっしゃいます!
それにやっていらっしゃることが極丁寧、、マメに手を入れられ、もしかしたら師匠の子育てもこういうことだったのねと思わずにはいられません。

サカタのタネ、、ぷっ^^
そうそう、いろいろ勉強されたのでもうご存知とは思いますが、ニラの収穫は根っこからじゃなくて地上部を適当に残して上だけカットしちゃえばOKなのですよ。

ここまで育ったら、気候によって病気になろうが、無くなったように見えようが、絶対に再生してきますから大丈夫ですよ^^長い期間、愛情もって育ててくださり本当にありがとうございます。種写真も思わぬ再会で嬉しかったし、大雪羽田の宿泊、、いろんなエピソードをともに過ごしていたのを改めて感じました^^

そして、また新たに「にらリレー」のご発想!素晴らしいです!!是非そうなると面白いですねー
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Unknown (磯辺太郎)
2014-09-20 11:18:53
小夏様

こんにちは。ホント、一人前になったニラの姿には感激しました。くしくも師匠のサイトでも拝見しましたから、同じような時期に咲いた白い花ですねえ。当たり前ですが、不思議な感じもします。

発芽実験などと・・・ホントに放ったらかしになっていたのです(ごめんなさい!)
白衣ではなく、ウエットスーツ姿で草むしりしました。ネが大雑把なので、近傍の小さな雑草を適当にむしると肝心の本体も抜いてしまうんです。ピンセット必須でした。。。
全滅の危機に瀕した時、マジにサカタノタネHP探したんですよ~。

そうそう、収穫の時は地上高数センチで切ってよいようですね。もったいなくて中々中華丼に使えませ~ん。
もう大丈夫ですか。安心しました。

種が収穫できたらにらリレー、次はどこに贈ろうかな。(何か●幸の手紙みたいだが・・・)
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