超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

サヨナラは通過点

2017-07-02 16:30:33 | 職場
組織で仕事をする者は、人によって所属の大なり小なり、遅かれ早かれ、いずれ後進に道を譲らなければならない。私にもどうやらその時がきたようだった。「囲まれる会」に臨むにあたり、妻と息子の協力も得て、一つのMV(ミュージックビデオ)を製作した。正直、曲のタイトルほど「思い」や「中身」はないのだが、その時の自分の気分に合わせて、何となくしんみりとした雰囲気となるイントロに30年近く前、数千人の前にたった自分の姿を重ねたのだった。(実は今よりも太っている)

♪♪♪~ 電車が近づく 気配が好きなんだ ~♪♪♪
            

♪♪♪~ 時の流れは 教えてくれる 過ぎ去った普通の日々が かけがえのない足跡と ~♪♪♪
          

♪♪♪~ サヨナラに強くなれ この出会いに意味がある 悲しみの先に続く 僕たちの未来 ~♪♪♪
          

♪♪♪~ サヨナラを振り向くな 追いかけてもしょうがない 思い出は 今いる場所に置いて行こうよ ~♪♪♪
               

     


ここで主賓によるまさかのウルトラサプライズは何と、ホンモノ登場である。実際は朝家を出るまで「やっぱ、やめた方がいいかなー」とうろうろ考えていたコスプレである。ま、私の最初で最後の晴れ舞台である。いっちょ、派手にかましてやるか。元は怪獣酒場仲間の知人がアニメ特撮縛りのカラオケルーム用にやってのけた手作り白メーテル。実は自分が去る時が近いのを知って密かに「いずれ使いたいので貸してくれないか?」と手渡しで預かっていたものだ。会場の連中はなぜその姿なのか、理解はできなかっただろう。単に嫌いじゃなかったのもあるが、マッドサイエンティストにもクリスタルKにも一応「意味」はあったのだ。単なるコスプレ好きの「身近な人」でよかったのだが、「行かせてやろうじゃないか」と旅立ちを決めた息子甘辛へのエールでもあったのである。(だから白服がよかった・・・)方や定年退転職を迎える中年の「時の流れを旅する」スタイルと鉄郎のように「負けることは考えず、未来へ旅立つ」若者の姿をダブらせたのだ。公的な場(ってどこが?)そんな話をするわけはなく、何となく考えていたメッセージを語った。

♪♪♪~ サヨナラは通過点 これからだって何度もある 後ろ手でピースしながら 歩きだせるだろう 君らしく・・・ ~♪♪♪


         
       

皆さんこんばんは。メーテル磯辺です。この時期色んなところで「誰それを送る会」「感謝の集い」などなどを開いて頂いて、垂れ幕をバックにお花を持って某SNSなどにアップされる写真ばかり見るんですが、アンガーマネジメントタイプが「天真爛漫」な私は、皆と同じでは面白くないので、最後のコスプレです。同年代なら名前くらいは確実に記憶あると思いますが、メーテルって最初白だったの知ってますか?物語的には後付なんですけど。よく知る黒い服は喪服を意味してるんです。晴れの舞台に喪服というもの何なので白メーテルにしました。って実は知人が以前コスプレカラオケで大騒ぎしたときに自作してきたものを貸してもらったんですけどね。

改めまして、今日はお忙しいところ、かように素晴らしい思い出深いイベントを開いていただきましてありがとうございました。私は自分他人の異動などにあまり屈託しないたちなので、いちいち聞きまわったりしないで、ぼーっとしていることが多いんですが、今回のこともドクさんから「磯辺さんも出るんですって?」となぜか嬉しそうに言うのを聞くまで知りませんでした。今まで十数回異動してきたので、その数だけ送別会をしてもらったんですが、その都度ぼーっとして感慨にふけることがあまりなかったんですね。発令からあれあれと思っている間に着任日が来てしまい、もうそれ以降は前の職場はきれいさっぱり忘れてしまうという、やっぱりある意味「天真爛漫」タイプなんです。でも今回はさすがに会社を去るというイベントなので、自分なりに気分を盛り上げようと努めてきました。仙台出張も札幌出張も「これで最後だ」と思い、社内表彰式典で研修センターに行ったときも「もう次はないかな」などと思ったものです。それから今まで撮った写真をもとに作ってみたのが先ほどの映像です。BGMは絶対これにしろと熱烈な乃木坂ファンの息子に言われて作りました。他のを見ても皆さん知らないでしょうから、この1年間分だけのコンテンツに絞ったらちょっとプアーになっちゃいましたね。

私は平成X年入社、先の映像はなぜか翌年の入社式の司会を務めたので記念にもらったビデオが残っていたんですが、まさにバブルの申し子、女性社員がみんな「平野ノラ」に見えますね。先月下旬くらいに具体的に今回の話を聞いて、最初は正直何か「物足りない感」があったんです。今年で2X年目、西暦は2017年・・・何かキリが悪いですよね。当センターにも来て1年しかたってないですもんね。何だよ、もうちょっと時間あるんじゃねえか?もう終わりかよ・・・なんて遣り残し感みたいなのもあったんです。でも家で家内にこの話をしたら「あんた、ホントにこの会社から色んなもの、もらったよねー。もたらしたものより頂いたことの方がはるかに多いよね」と、労いとか全然なく、妻らしからぬ無礼なことを言うんですね。

でも確かに考えてみると、確かに大抵の仕事はやらせてもらいました。設備系は長期のデザインから、計画、設計、構築、保全と「ほぼ全域に渡り、法人のSEみたいなこともしましたし、研究所での開発、さらにはコールセンターまで技術系はほぼオールラウンドになりました。(全部中途半端ですけど)ヨーロッパに研修したり、米国で勉強させてもらったり、海外渡航だけ拾うと15ヶ国25都市、30回くらい海を渡っています。もう時効ですけど、そのほとんどが「半分遊び」ってすごくないですか?仕事のモットーにも書きましたが、「ためしに、ついでに、せっかくだから」という悪ノリが満載でした。よくこういう挨拶って「あっという間の30年だった」とか言う人が多いと思いますが、思い返すとそれなりには長かったですよ。ホントに色んな経験をさせてもらい、悪くない会社員ライフだったなと正直に思いもします。だから「ちょっと物足りない感と振り返ったら大満足感が半分半分で、やっぱりどうもピンとこない」ぬるいハーフ&ハーフという感じが今の心境です。

ただちょっとかっこいいことを言うと、私の過ごした28年というのは、我が社のスタイルに重ねるには偉そうすぎますが、「やればできちゃった」ということの繰り返しでしたね。先ほどドクさんから過分(だいぶ盛ってましたが)な職歴紹介を頂きましたが、これまでやってきたことの多くは、最初したり顔の専門家?有識者?は「こんな期間でできるわけがない」と断じたことばかりだったんですね。お古をもらってくる托鉢作戦や、ハリボテ作戦、確か採用HPにも載ったプロジェクトもありました。我々の仕事は一見できるわけなさそうなことでも「やってみたらできちゃった」ということの連続だと思うんです。我々の仕事は生きていて、常に相手が何世代かが共存しており、「これをやったら終わり」というのはありません。何事も連続するものとして考えるということが、30年近くこの会社にいて何となく身についた感覚です。これはどうも我が社にいなければ中々身につかない貴重な感覚だと思うので、ぜひ次の世代の方々につないでいだたけたらと思います。最後にこういう場面では「皆様のご多幸」とか「ご活躍、ご健勝」なんて言葉を使いますが、何かしっくりこなくて、結局祈念しようと思ったのは、知ってる人しか知らないかもしれませんが、「Force」という言葉です。May the Force be with Youというのは「フォースがともにあらんことを」という意味です。映画の無理な翻訳を見ると「理力」なんて書いてありますが、文字通り「知の力」「体力」「運の力」そして「気力」なんて含みがあり、これからの我が社を支える皆さんとEGCにぜひ「Forceがともにあらんことを」祈念するものであります。

私は7月より割とここから近い会社に入社します。たぶんお互いにいいことに、我が社向かいの仕事ではなく広く世の中相手のビジネスのようです。あんまり薄情で寂しい人間と思ってほしくはないですが、7月1日からはこれまでの仕事のことはきれいさっぱり忘れてしまいます。皆さんも私の「天真爛漫」スタイルを長く引きずると後任の方がやりにくいので、1回リセットして丁寧に柔軟に仕事に取組んでください。OBとして何かお手伝いが必要だったら公私ともにいつでも声をかけてください。すぐに駆けつけられます。本当に皆さんのおかげで最後の年を高い密度で過ごすことができました。心から感謝いたします。本日はありがとうございました。
(というお別れスピーチを白メーテルで行ったのは後にも先にも私しかいないだろう・・・ちょっと名前が出ちゃったが、もういないからいいや)   

【エピローグ】私を囲んでくれた会から10日後、他に退職する人、異動する人の組織としての送別会が開かれた。私はもう既に「個人のために集って」いただいたので遠慮していたが、妙に義理堅くやはり何かをさせずに済まないらしく、専用パートが設けられていた。そして乗りかかった船なので、再びVTR製作に走ったのである。前回は「自分」が中心だったが、今度は「皆」に対するメッセージを中心に編集した。時間が無かったのでBGMは甘辛の持つ乃○坂ソングで最も元気の出る「初森ベマーズ」の主題歌である。テーマは「扉を開けろ」。(ここにもやはり息子の旅立ちが見え隠れした)発足1年、まだ道半ばだがこの組織のキーワードは「扉を開ける」ことにある。新たな業務ルールを適用しようとするチーム、新たな取引形態を開拓するチーム、新システム導入を図るチーム、そして社内最大イベントを司るチーム・・・すべて扉を開けなければならない。1年かけて少し開いて向こうが見えるが、皆が通れるほどにはなっていない。だからこの曲のようにどんどん「ノック」して扉を開けて行ってほしい。私の天真爛漫な思いつきにもついてきてくれたスタッフにはそんなメッセージを込めて、自ら「負けることは考えずに扉を開ける」息子甘辛にエールを込めて、最後に「自動ドアが開いて悠々と通り抜ける」自分を少しだけ褒めてやるつもりで曲を流したのだった。
「・・・未来とは 今が入口 見逃せば先に進めない・・・」
「・・・流れ出す汗の分だけ その夢がかたちになるんだ・・・」
「・・・情熱ノック 外に出ようよ 眩しいのは晴れ渡る未来だ・・・」
「・・・何か始める いいきっかけだ 熱くなれる季節に Open the Door ・・・」

超兵器磯辺2号はこれをもって終了します。今まで、ご愛読ありがとうございました。
再執筆はいつになるか(そう遠くないかも)未定ですが、また会う日まで。