超兵器磯辺2号

幻の超兵器2号。。。
磯辺氏の文才を惜しむ声に応えてコンパクトに再登場。
ウルトラな日々がまたここに綴られる。

漬物談義とサバ釣り

2014-06-14 16:00:51 | 食べ物
自分の体質を殊更にこの場で書いても仕方がないが、以前から何度か記述しているように、私は子供の頃から(たぶん離乳食時から)「漬物」と呼ばれる類の食物一切を口にできない。自分で分かるが匂いが嫌いとか食わず嫌いとかいう次元ではなく、アレルギーでもない、「咀嚼して嚥下するのを身体が受け付けない」たぶん体質的なものだ。日本のモノはもちろん、西洋漬物という類のピクルス、ザワークラフト、アジアでもザーサイやキムチなど見事なほどに食べられない。彼ら(というのはおかしいな)には何の悪い所もないが、私の排除ぶりは抗議されてもおかしくないくらいそれこそ徹底したものだ。定食についている小皿はトレー外に退場願うし、カレーライスを注文して「福神漬け抜き」と言い忘れたカレーライスはその水分が浸透してしまった被害区域一帯を残すことになる。市販の弁当などにはほぼ100%米のど真ん中に鎮座する梅干し周辺を「棒倒し」のように触らないように食べる。

だいぶ前だが友人のお宅に悪友たちとお邪魔した時に、本当に私の「天敵」かどうか確かめたいいたずら心からか、餃子の中にある種の漬物を分からないようにみじん切りにして内緒で少しだけ混ぜられたことがあるが、一口かじって「ごめん、これはダメだ!」とビールで流し込んだ(さすがに吐き出すようなことはしない)。旅館の食事やちょっとした日本料理で「疑わしい」ブツが見られると、妻に頼んで「漬物」かどうか毒見してもらう。基本的に「接触してしまった」被害地域は全てダメなのだが、最近ようやく比較的乾燥しておれば梅干しと紅ショウガの赤い痕跡だけは克服することができた。生まれて約四半世紀たってしまったが大きな一歩である。

これまでの人生最大級のピンチワースト3のうち二つは「漬物をどうしても口にしなければならない」時だった。最初は小学6年だったと思うが、近所の友達の家の庭で卓球をしていた時、お母さんの出してくれたおにぎり全部に梅干しが入っていた。「嫌いなのではなく食べられない」とどうしても言えなかった律儀な少年は半分べそをかきながら麦茶でタネごと喉に流し込んだのである。次は高校の修学旅行で永平寺に体験宿泊した時だ。味も素っ気もない精進料理にタクワンが付いていたが当然の如く「食べ物は決して残してはいけない」という仏門の厳しい掟を言い渡された。隣のクラスメイトに食ってもらえば簡単に問題解決なのだが、実に困ったことに「最後の一切れを残しそれで御飯茶碗をきれいにふき取って食べる」という拷問のような作法を少林寺拳法の達人でもありそうな雲水の前でしてのけなければならなかった。この悪夢のような経験を記憶していたからこそ、群馬の地でルーキーズ達が引率された禅寺の修行体験にしきりに誘うグッチーをにべもなく断ったのである。私は誰が見てもこの手のイベント大好きだったので不思議な顔をされたものだ。

納豆は大好物だしヨーグルトもOK・・・色々と調べるとどうも「植物性乳酸菌によって発酵させた食品」と言うのが現段階で一番整合性の高い「天敵」の定義である。他にも気がつかなくて平気なものがあったら教えてほしいが、鎖国時代のオランダのように現状分かっている唯一の例外(これを漬物というか論議があると思われるが)が、ラーメンに乗っているメンマである。何でこんな体質なのか不思議に思うことが多い。両親とも富山の出身で漬物は大好物、実家からも送られてきたし家庭でも製作していた。布団干しに束ねてぶら下がっていたタクワンは(私にとっては)光化学スモッグ以上の公害に匹敵する悪臭だったし、学生時代に「日当たりがいいから」と買ったばかりの車(AE86トレノ)のボンネットで干されているのを帰りに見かけた時はこのまま車で長い旅に出ようかと真面目に思ったものだ。

何か前置きがやたら長くなってしまったが、生まれて初めてこの「天敵」(だと思っていたが実は違った)を自ら作成し御飯の友とした話である。「実は違った」というのは今まではどう考えても呼び名的にそのまんま漬物だと思って近寄りもしなかった「南蛮漬け」である。
まだ梅雨に入る前だが、いつものように散歩して江の島ヨットハーバーエリアに偵察に行くと、陽気がよい時期だったからか海に面したコンクリ辺を埋め尽くすほどの釣り人で賑わっていた。しばらく見ていると家族連れがサビキ釣りで山ほど小魚を釣り上げている。大きくても15センチくらいしかないが、見ると全部「サバ」だった。その昔、本牧釣り埠頭で山ほどヒコイワシが釣れた時は刺身にしてもらった(美味かったが妻にはえらい苦労かけた)が、サバじゃあちょっとなー。。。カワハギ船でご一緒した同僚のセッシーは釣ったサバを刺身で食ってアニサキスに当たり1週間入院したそうだ。

私は久しぶりにサバに混じって25センチサイズが少し上がっていた「メジナ」を狙うことにした。赤いライオン号が「エサ臭くなるから」とコマセ使用の釣り禁止になってしまい、いつものポイントに行けなくなった私はメジナ釣りに飢えていたのである。事前に念入りに偵察し、釣った人にも色々聞き込み調査をしたところ、ヨットハーバーに一番近い面が一番釣れているようだ。ちょっと暑くなりそうなとある休日、朝早くから陣取って浮フカセ釣りの準備をした。5時からしか入れないはずなのだが、既にたくさんの先客がおり、やっと一人分の隙間に着座したのである。ところが釣りだして数10分で例の子サバの猛攻がやってきてエサのオキアミは秒殺・・・5匹目が入れた瞬間食いついた時にもはやメジナを諦めた。。。こうなりゃ自棄だ!コマセをカゴに突っ込んでサビキ釣りに変更、開き直って子サバの数釣り走ったのである。
  
      

群れにも周期のようなものがあり、ぱったり何も来なくなる時もあるが大体1回に2~3匹はかかりあっと言う間に二桁を超えてきた。ふと見ると隣にいかにも土地のベテランという真っ黒に焼けたおじさんがやってきた。練りもの状のエサをこねて細長いウキを落とし、重さで水中まで沈んでしまったウキをじーっと見つめている。一目でピンときた私は「あのーう、これダンゴ釣りですよね。メジナ狙いですか?」「うーん、ダンゴじゃないけど、メジナだよ。ここのメジナは難しいんだよ。それが楽しみでもあるんだけどね。」一見気難しそうだが、実は話し好きのおじさんらしく、実に詳しく丁寧な講義が始まってしまった。
「まず固めの練りエサで一気にサバっ子の層の下に落とすんだ。途中でやられたら、ウキがすぐに浮いてくるからわかる。メジナの層までいってもさ、あいつらものすごく利口で針についたエサは食わないんだぜ。溶け出して針から外れるのを待ってるんだ。ここのメジナ釣るコツはねー。コマセを撒かないことだよ。エサ針と見わけられるからコマセだけ食ってお腹一杯になっちゃうんだ。」
やべえ、やべえ・・・私はヒヤリとした。さっきからいつものポイントのつもりでコマセ撒きまくりだったからだ。同じ魚でも場所によってずいぶん釣り方が違うんだなー。

    

25匹くらいになったところで、「色々勉強になりましたよ」と挨拶してその釣り場を去った。クーラーBOXはずっしり重たかったが、私は途方に暮れていた。この大量の小魚を食えるようにしなければならない。鮮度から言えば刺身でもよいが、やはり「アタリ」は恐ろしい。。。かといって「キャッチ&イート」を信条とする私は魚を無駄に捨てることはできぬ。大学研究室の大島旅行の時ようにとにかく片っ端からフライにしてしまおうか・・・しかしやたらに小骨が多くて食いにくかった記憶がある。何かサバが山ほど釣れるって話どこかでしたよねー。。。。しばらく考え込んだ後、小夏師匠のブログが私の脳裏に電撃的に閃いたのである。そうだ!確か師匠のサイトではワカサギを取り上げられていたが、江ノ島でサバが山ほど釣れるからといって・・・20数匹の子サバはこうして人生初の「南蛮漬け」の素材として加工されることになるのである。漬物談義でまたたくさん書いてしまって中途半端だが・・・(つづく)


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6 コメント

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Unknown (小夏)
2014-06-15 11:59:06
わぁ~、続きが知りたくてワクワクします

お漬物、そうでしたね!
「棒倒し」「餃子」「永平寺のタクアン」、、どれも香ばしくて
「そうだよね~」とクスクス

海の色が素敵すぎ~!こんな色の時もあるのですね~!!
昨日今日、北鎌倉のブルーが急遽候補になりまして・・。行けませんでしたがー。師匠のサーフィン姿を見つけようかと脳裏をよぎりました。寒気しませんでしたか?(爆)
桜クルーザー号がまだ桜色だったら見つけられるかな~(しつこい^^)
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Unknown (磯辺太郎)
2014-06-15 22:20:10
小夏さま

続けて書いていたのですが、だらだら与太話ばかりになってしまって・・・
漬物という天敵には随分酷い目にあってきたんですよー。

師匠、北鎌倉とは明月院ですか?!今日の午前中はチャンスである!と母にも言いました。何せワールドカップ初戦ありましたし・・・(うーーん、結果は残念)
桜クルーザー号健在です!でも先日に脇腹を痛めてからサーフィンには行けてないのです・・・
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漬物食べられません (モコ)
2014-07-20 19:04:09
親からは日本人じゃないとかオカシイとか‥
でも食べられないんです。
下に妹と弟がおりますが、私だけ食べられません。
私と同じ感じの人がいらっしゃるんだと
ビックリしました。
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すみません (モコ)
2014-07-20 19:10:46
つい記事を見てはじめてなのに、ご挨拶もなしにコメントしてしまいました。

失礼いたしました。
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Unknown (磯辺太郎)
2014-07-21 07:49:44
モコさま

ようこそいらっしゃいました。
そうそう、ボクも日本人じゃないとか不思議な顔をよくされました。特定の具材がダメなのではなく、全種類の漬物がNGというのが信じられないようなのですが、嫌いなのではなく「食べられない」んですよね。
私の親も漬物大好き、親類にもダメな人はいません・・・仲間がいて心強いです。
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Unknown (磯辺太郎)
2014-07-21 07:50:50
モコさま

いえいえ、気にしないで下さい。
また遊びにいらしてくれるのをお待ちしています。
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