私のよく行くサーフポイントはすぐ横が地引網のコースになっているのは以前書いた。不思議なことにちょうど網を引っ張る2本のワイヤーロープの間約10メートルがよい波が立つことが多いのである。網を仕掛けに出船するときと帰ってきた時は邪魔になるので、海上のサーファは皆左右に避難する。網を仕掛けてしばらくして機械仕掛けでワイヤーロープを引き始めると、沖の方にあった二つの白いブイが少しずつ岸辺に接近してくる。一番に奥にちょうど網を示す目印ブイがあるのだが、二つの白いブイが通過したら再び海上の我々は左右に避難する。時々夢中になって地引網コースに残っていると「ぷぁーっ」と大音響のラッパを鳴らされ怒られる。また気を付けていないと2本のワイヤーロープにリーシュコードが絡まってしまい少し危険である。
以前たまたまバッグにコンデジを入れておいて地引網の獲物を撮ってから割とサーフィンに行くたびに「どんな魚が獲れているのか?」偵察をかねて覗くようにしていた。気の荒そうに見える漁師さんたちも、作業の邪魔さえしなければいかにも今、海から上がってきたばかりの我々と気さくに話してくれるのである。最近は網が上がる時をちょうど休憩時間にして、カメラを持ってスタンバっている。前回のようにすごい大漁の時もあるし、一面をクラゲが覆い尽くす時もある。それでも子供は大喜び(時には怖くて泣いている)で、網から落ちた小さな魚をつかんではしゃぎ回っている。釣りでもしなければ普段、生きている魚を触ることなどないのだろう。中には水族館でも目玉になるほどイカす魚が登場することもある。
ここ数回偵察した面白い魚を紹介してみよう。まず相模湾には結構いると聞く「鮫」である。小さいヤツは大抵網に数匹は入っているが時々ちょっとびっくりするような大物も入っている。ある時、大人たちがやたらに騒いでいるので人だかりをかき分けて入ったら、一ヒロ(1.5m)ほどもある鮫が浜辺に鎮座していた。さすがにこの大きさの鮫がかかるのは珍しいが、ちょっとこの鮫は危険らしく口の近くに手を出してはいけないという。子供たちは恐る恐る後ろから乗っかったり、引っ張ったりしていた。私は隣にいた漁師さんに「海で人を襲うこともあるんですか?」「そうそう、この前サーファーが指をかじられてたからよ。危ねえんだよ」うーむ。。。ニヤニヤしているところを見ると、ウェットスーツを着ていた私にハッタリかましているようにも見えるが・・・しかしやがて小型のトラクターに運び込み、ちょっと哀れだが大きな刃物で「解体」を始めたのである。実際海に逃がすと危険だからだそうだが、我々が浮かんでいるのは岸辺から100メートルくらいまでだから、あんなのがいると思うと多少ぞっとするものだ。
また別のある時は鯵や鰯のような青物系はあまりいなかったが、見事に輝く生シラスと50cmくらいの鮫がいた。この鮫は安全らしく、もの珍しそうにしている子供たちにひと通り見せた後、勇気ある少年に渡してそのまま海へ返してやっていた。近くの新江ノ島水族館では魚やヒトデと「ふれあう」コーナーがあるのだが、そーっと手のひらで撫でる程度なのに対し、生きている鮫を掴みあげてサメ肌を実感したり、泳いでいくのを眺めたり・・・夏休みのまたとない経験だったに違いない。小さいながら結構長い間すぐその辺を泳ぎ回っていて「(早くあっち行けよ。。。)」と心の中でどやし付けていた。また別の回は中々の好漁だったが、網の中に大きなエイが何匹か混ざっていて、赤茶けた姿で不気味に網を揺らしていた。この地引網業者は海から少し離れたところお店があり、我々がしばしば訪れる「バル」にも生シラスを卸しているのだが、三好清海入道のような青少年が大中小3人(兄弟か?!)おり、大入道がつかみあげて海へ放り込んだ。比較的安全なようだが、尻尾に時折毒のあるトゲが残っている場合があり注意が必要だそうだ。
らさに別の時にはシュモクザメ(別名ハンマーヘッドシャーク)の小型なヤツが2匹ほど見られた。独特な形をした頭部をもちダイバーたちや、水族館でも人気の鮫で、子供のころ読んだ動物図鑑では「おとなしい性格」とあったと思うが、それはどうやらホオジロサメなど「人食い鮫」に比較してという意味らしく、肉食の鮫には違いないそうで、まれに人が襲われる事故例もあるという。昨年の夏に湘南海岸で数十匹の大きなシュモクザメの群れが見られ、安全のため当局が遊泳禁止にしてしまったことがある。漁師に掴みあげられた小さい鮫は愛嬌のある顔をしていてあまり噛みつくようには見えなかった。一番最近に偵察した地引網では鮫ともエイとも思える変わった形の魚がかかっていた。漁師によると「ドチザメ」という安全な鮫ということだが、平べったくエイのようにも見える。
8月に入ってお盆近くになると海水浴場でもクラゲが出没し刺される被害が出てくる。ビーチパトロール事務所には昔ながらの「キンカン」が置いてあり、応急治療にあたってくれる。私は幸いにも刺されたことはないが、フワフワ浮遊しているのは何度も見たことがある。あの触手のようなものに触れると、「びびびーっ」とやられてしまい、赤くはれ上がってヒリヒリ痛むそうである。もう少し沖合に行く地引網はやはりクラゲシーズンが早いのか、網の中が一面クラゲだらけということがある。漁師の人たちはもう免疫があるのか、クラゲの海に平気で手を突っ込んで獲れた魚を選り分けている。ただこれまた数年前、大量に発生して騒ぎにもなったが、「カツオノエボシ」(別名電気クラゲ)というブルーの綺麗なクラゲだけは猛毒を持っていて要注意だそうだ。台風などがくると沖合に浮かんでいたものが大量に漂着することがあるらしいが、固体の生死に関わらず触ると猛毒の刺胞が発射されるので絶対に浜辺で触ってはいけないそうだ。ただ浮かんで波待ちしていることの多いサーフィン遊びもシャークアタックに電気クラゲと油断禁物なようなのだ。
地引網は沖合数百メートルに漁船が仕掛けに行き、時間がくると2本のワイヤーロープを機械仕掛けのローターで引っ張り、網の部分がすぐ海岸寄りもでやってくるとワイヤーロープが綱になり、「体験客」が群がって網を引っ張り上げるのである。ロープを引っ張っていて目の粗い手前側の網に差し掛かると小さな魚が掛かっていて、子供は大喜びで捕まえだす。先端の一番目の細かい網は海中にあるうちに切り離し、小さな生シラスなどはその場でバケツに移し替える。よほど大量の時以外は砂がつかないように網が海中にあるうちに魚を網ですくい上げで大きな容器に回収する。大きな目立った魚がまず選り分けられて専用のバケツに集められ、その後は概ね魚の種類ごとに区別されていく。これまで何度も様子を偵察してきたが、日によって種類も量も少しずつ異なる。群れにあたるのか小ぶりのアジが網を一杯にしているときもあれば、クラゲばかりのときもあるし、大カマスが大量の時もある。コイワシや小サバはコンスタントに上がっているが、食べ方については始末に困るらしく漁師からはかなり杜撰な扱いを受けている。
この大量の「おこぼれ」を虎視眈々と狙っている輩がいる。トンビとカモメである。海岸で弁当などを食べているといきなりトンビに背後から襲われることがよくあるように、彼らは子供が手にしている小魚などを狙って突撃してくるのだ。鋭い爪を持っているので、小さい子は面白がって魚を持ったまま上に差し出さないよう注意される。カモメは人に直接アタックすることはないが、一たび手から離れるとものすごい勢いで群がって獲物を取り合う。間近で見ているとさながらヒッチコックの「鳥」であり、その迫力に目を見張るとともに多少の恐怖を覚えるくらいだ。浜辺に落ちている小魚なら分かるが、子供が海に逃がして泳いでる魚も捕獲するから彼らの能力はすごい。また別のカモメの一団は網の中の選り分けがあらかた終わって主だった魚が収穫され人気がなくなるまで沖合で待機している。波待ちで浮かんでいるとたまに周囲を包囲されてしまうこともあり、特に危害を加えることもないが、何となく居心地の悪いものだ。
釣りをしていても思わぬ珍魚が上がる時があるが、やはり地引網は地元海岸沖にいる魚の宝庫である。今は海水浴場になっているので休止中だが、江ノ島までの海岸では何か所か会場になっているところがあり、海辺を散歩していても網が上がるようだとワクワクして必ずのぞきに行く。漁業権の関係からかいつも定位置に仕掛けて引っ張っているようだから綺麗になっているのかもしれないが、これまで見たどの網も意外なほどゴミがないのが嬉しいことだ。ちなみに大学に行ってもサッカー漬けの息子甘辛は先日オフの時に「夜釣りに行」くと夜半に友達を連れてきた。私でも何回も行ったことのない片瀬港の夜釣りだそうだが、お友達は毎週「ザ・フィッシング」を録画しているほど釣り好きだそうだ。何をターゲットにどういう釣りをするのか分からずに「道具は何も持ってないから貸してくれ」というので、使い古した磯竿と防波堤用投げ竿、コンパクトロッドを出してきて、ひと通り用意してやった。周囲に釣り客も結構いる中で一晩中竿を出したそうだが、釣れたのは「ヒトデ」だけ・・・しかも見事に磯竿をへし折って高価な電気ウキを失って帰ってきた。。。「若いんだから昼間、海で遊べばいいのに・・・」と首を傾げる妻だったが、地元の魚と触れ合うのもいいことだとは思う(ヒトデは魚じゃないけど)。
以前たまたまバッグにコンデジを入れておいて地引網の獲物を撮ってから割とサーフィンに行くたびに「どんな魚が獲れているのか?」偵察をかねて覗くようにしていた。気の荒そうに見える漁師さんたちも、作業の邪魔さえしなければいかにも今、海から上がってきたばかりの我々と気さくに話してくれるのである。最近は網が上がる時をちょうど休憩時間にして、カメラを持ってスタンバっている。前回のようにすごい大漁の時もあるし、一面をクラゲが覆い尽くす時もある。それでも子供は大喜び(時には怖くて泣いている)で、網から落ちた小さな魚をつかんではしゃぎ回っている。釣りでもしなければ普段、生きている魚を触ることなどないのだろう。中には水族館でも目玉になるほどイカす魚が登場することもある。
ここ数回偵察した面白い魚を紹介してみよう。まず相模湾には結構いると聞く「鮫」である。小さいヤツは大抵網に数匹は入っているが時々ちょっとびっくりするような大物も入っている。ある時、大人たちがやたらに騒いでいるので人だかりをかき分けて入ったら、一ヒロ(1.5m)ほどもある鮫が浜辺に鎮座していた。さすがにこの大きさの鮫がかかるのは珍しいが、ちょっとこの鮫は危険らしく口の近くに手を出してはいけないという。子供たちは恐る恐る後ろから乗っかったり、引っ張ったりしていた。私は隣にいた漁師さんに「海で人を襲うこともあるんですか?」「そうそう、この前サーファーが指をかじられてたからよ。危ねえんだよ」うーむ。。。ニヤニヤしているところを見ると、ウェットスーツを着ていた私にハッタリかましているようにも見えるが・・・しかしやがて小型のトラクターに運び込み、ちょっと哀れだが大きな刃物で「解体」を始めたのである。実際海に逃がすと危険だからだそうだが、我々が浮かんでいるのは岸辺から100メートルくらいまでだから、あんなのがいると思うと多少ぞっとするものだ。
また別のある時は鯵や鰯のような青物系はあまりいなかったが、見事に輝く生シラスと50cmくらいの鮫がいた。この鮫は安全らしく、もの珍しそうにしている子供たちにひと通り見せた後、勇気ある少年に渡してそのまま海へ返してやっていた。近くの新江ノ島水族館では魚やヒトデと「ふれあう」コーナーがあるのだが、そーっと手のひらで撫でる程度なのに対し、生きている鮫を掴みあげてサメ肌を実感したり、泳いでいくのを眺めたり・・・夏休みのまたとない経験だったに違いない。小さいながら結構長い間すぐその辺を泳ぎ回っていて「(早くあっち行けよ。。。)」と心の中でどやし付けていた。また別の回は中々の好漁だったが、網の中に大きなエイが何匹か混ざっていて、赤茶けた姿で不気味に網を揺らしていた。この地引網業者は海から少し離れたところお店があり、我々がしばしば訪れる「バル」にも生シラスを卸しているのだが、三好清海入道のような青少年が大中小3人(兄弟か?!)おり、大入道がつかみあげて海へ放り込んだ。比較的安全なようだが、尻尾に時折毒のあるトゲが残っている場合があり注意が必要だそうだ。
らさに別の時にはシュモクザメ(別名ハンマーヘッドシャーク)の小型なヤツが2匹ほど見られた。独特な形をした頭部をもちダイバーたちや、水族館でも人気の鮫で、子供のころ読んだ動物図鑑では「おとなしい性格」とあったと思うが、それはどうやらホオジロサメなど「人食い鮫」に比較してという意味らしく、肉食の鮫には違いないそうで、まれに人が襲われる事故例もあるという。昨年の夏に湘南海岸で数十匹の大きなシュモクザメの群れが見られ、安全のため当局が遊泳禁止にしてしまったことがある。漁師に掴みあげられた小さい鮫は愛嬌のある顔をしていてあまり噛みつくようには見えなかった。一番最近に偵察した地引網では鮫ともエイとも思える変わった形の魚がかかっていた。漁師によると「ドチザメ」という安全な鮫ということだが、平べったくエイのようにも見える。
8月に入ってお盆近くになると海水浴場でもクラゲが出没し刺される被害が出てくる。ビーチパトロール事務所には昔ながらの「キンカン」が置いてあり、応急治療にあたってくれる。私は幸いにも刺されたことはないが、フワフワ浮遊しているのは何度も見たことがある。あの触手のようなものに触れると、「びびびーっ」とやられてしまい、赤くはれ上がってヒリヒリ痛むそうである。もう少し沖合に行く地引網はやはりクラゲシーズンが早いのか、網の中が一面クラゲだらけということがある。漁師の人たちはもう免疫があるのか、クラゲの海に平気で手を突っ込んで獲れた魚を選り分けている。ただこれまた数年前、大量に発生して騒ぎにもなったが、「カツオノエボシ」(別名電気クラゲ)というブルーの綺麗なクラゲだけは猛毒を持っていて要注意だそうだ。台風などがくると沖合に浮かんでいたものが大量に漂着することがあるらしいが、固体の生死に関わらず触ると猛毒の刺胞が発射されるので絶対に浜辺で触ってはいけないそうだ。ただ浮かんで波待ちしていることの多いサーフィン遊びもシャークアタックに電気クラゲと油断禁物なようなのだ。
地引網は沖合数百メートルに漁船が仕掛けに行き、時間がくると2本のワイヤーロープを機械仕掛けのローターで引っ張り、網の部分がすぐ海岸寄りもでやってくるとワイヤーロープが綱になり、「体験客」が群がって網を引っ張り上げるのである。ロープを引っ張っていて目の粗い手前側の網に差し掛かると小さな魚が掛かっていて、子供は大喜びで捕まえだす。先端の一番目の細かい網は海中にあるうちに切り離し、小さな生シラスなどはその場でバケツに移し替える。よほど大量の時以外は砂がつかないように網が海中にあるうちに魚を網ですくい上げで大きな容器に回収する。大きな目立った魚がまず選り分けられて専用のバケツに集められ、その後は概ね魚の種類ごとに区別されていく。これまで何度も様子を偵察してきたが、日によって種類も量も少しずつ異なる。群れにあたるのか小ぶりのアジが網を一杯にしているときもあれば、クラゲばかりのときもあるし、大カマスが大量の時もある。コイワシや小サバはコンスタントに上がっているが、食べ方については始末に困るらしく漁師からはかなり杜撰な扱いを受けている。
この大量の「おこぼれ」を虎視眈々と狙っている輩がいる。トンビとカモメである。海岸で弁当などを食べているといきなりトンビに背後から襲われることがよくあるように、彼らは子供が手にしている小魚などを狙って突撃してくるのだ。鋭い爪を持っているので、小さい子は面白がって魚を持ったまま上に差し出さないよう注意される。カモメは人に直接アタックすることはないが、一たび手から離れるとものすごい勢いで群がって獲物を取り合う。間近で見ているとさながらヒッチコックの「鳥」であり、その迫力に目を見張るとともに多少の恐怖を覚えるくらいだ。浜辺に落ちている小魚なら分かるが、子供が海に逃がして泳いでる魚も捕獲するから彼らの能力はすごい。また別のカモメの一団は網の中の選り分けがあらかた終わって主だった魚が収穫され人気がなくなるまで沖合で待機している。波待ちで浮かんでいるとたまに周囲を包囲されてしまうこともあり、特に危害を加えることもないが、何となく居心地の悪いものだ。
釣りをしていても思わぬ珍魚が上がる時があるが、やはり地引網は地元海岸沖にいる魚の宝庫である。今は海水浴場になっているので休止中だが、江ノ島までの海岸では何か所か会場になっているところがあり、海辺を散歩していても網が上がるようだとワクワクして必ずのぞきに行く。漁業権の関係からかいつも定位置に仕掛けて引っ張っているようだから綺麗になっているのかもしれないが、これまで見たどの網も意外なほどゴミがないのが嬉しいことだ。ちなみに大学に行ってもサッカー漬けの息子甘辛は先日オフの時に「夜釣りに行」くと夜半に友達を連れてきた。私でも何回も行ったことのない片瀬港の夜釣りだそうだが、お友達は毎週「ザ・フィッシング」を録画しているほど釣り好きだそうだ。何をターゲットにどういう釣りをするのか分からずに「道具は何も持ってないから貸してくれ」というので、使い古した磯竿と防波堤用投げ竿、コンパクトロッドを出してきて、ひと通り用意してやった。周囲に釣り客も結構いる中で一晩中竿を出したそうだが、釣れたのは「ヒトデ」だけ・・・しかも見事に磯竿をへし折って高価な電気ウキを失って帰ってきた。。。「若いんだから昼間、海で遊べばいいのに・・・」と首を傾げる妻だったが、地元の魚と触れ合うのもいいことだとは思う(ヒトデは魚じゃないけど)。
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