中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

五月病「心の日記」でさよなら

2023年05月09日 | 情報

5月病は、対象層が毎年入れ替わりますが、コロナ後の今年は様相が少し異なるようです。
参考になる記事を紹介します。

五月病「心の日記」でさよなら AIアプリが悩み見える化
日経MJ 2023年4月23日

就職など環境が大きく変わる春。五月病の不安を感じる人も多いだろう。自身のメンタルヘルス(心の健康)を、人工知能(AI)アプリで分析する人が増えている。毎日の感情の動きを文章で記録すると、AIが感情の波や心の状態を「見える化」してくれる。同僚や先輩に相談しっぱなしなのに、常に心がざわついている記者もトライしてみた。

「AIによって自分が何を考えているのか一目で分かり、『ミスしたものは仕方ないよ』と自分に優しい言葉をかけられるようになりました」。4カ月前に転職した40代の女性は、ほっとした様子で話す。

慣れない環境で仕事のミスが続き、休日まで自己嫌悪にとらわれる毎日だった。そんな気持ちを「アプリで吐き出して手放すことで楽になれました」という。彼女を救ったのは、デジタルサービスの企画開発を手掛けるミッドナイトブレックファスト(東京・渋谷)が運営するアプリ「muute(ミュート)」だ。

感情が動いた際に、ありのまま思いを記録する「ジャーナリング」という手法を取り入れている。書き込んだ内容をAIが分析し、感情の波や、抱いた感情の種類を円の大きさで見える化。心理状態を文章でフィードバックもしてくれる。基本は無料、月額500円でパソコンで利用できるなどの機能が付加される。

記者も今年の4月は、子供が保育園に通い出したり、共働きになったりと環境が大きく変わるタイミングだった。先立つ2〜3月に約2週間、トライしてみた。

ミュートの基本的な使い方は3ステップに分かれている。まず「楽しい」「不安」など今の気分を24種類の中から選択。次にその気分が何についてのものなのか、「仕事」「家族」など24種類のテーマから選ぶ。それぞれ新たなキーワードの追加も可能で、記者は「エモい」「成長」「罪悪感」などを加えた。

そして今の自分の感情を文章化する。運営会社の喜多紀正代表は「感じたことや思ったことをありのままに書き出すことが重要です」と話す。

朝夜で反対の感情
アプリ開始1日目。最初に選んだ感情は「不安」、テーマは「仕事」だった。当時、自分で書いたものを振り返ってみると「今抱えている企画がうまくいくか不安。仕事の悩みを私生活に持ち込みたくない」。

だが、同日の仕事終了後の書き込みは「確認事項が終わってすっきり。不安なものはやってみれば簡単に解決できるかもしれないので、早めにやっつけた方がよいのかも」。選んだ感情は「穏やか」「安心」だった。

記録することで、1日の中で感情が正反対に変化することがあるのを実感できた。交流サイト(SNS)ではないので他人にみられる心配もなく感情も吐き出しやすい。

また「なんとなく不安」だったものが、感情やテーマを定義づけて、とりあえず書いてみることで理由が整理されて気が楽になった。初日に「不安なことは早めに」と書いた際には、「慌てないように1日早く取材内容の確認や調整をしておこう」などと対応策も思い浮かんだ。2日目以降、お金、サウナ、帰省、家族……と書いた内容は多岐にわたった。

記録の内容などをAIが分析し、感情の波を一目で分かるようにしてくれる。ポジティブな感情では波が上に動き、逆だと下に動く。さらに、自分が抱いてきた感情の種類も色の異なる円の大きさで可視化される。

2つ目の効果は考え方のクセが分かったことだった。毎日、不安やモヤモヤが多く、感情の波は下の方で推移していると思っていたら意外と上側にもある。「安心」などの円も意外と大きい。どうやら記者はマイナスの出来事が記憶に残ってしまいやすいようだ。

厚生労働省によると、2021年10月31日までの1年間で、メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者がいた事業所の割合は8.8%。3年前に比べて2.1ポイント増加した。1000人以上の事業所に絞ると9割以上が該当する。

医療現場に活用も
そうした状況も映してか、20年にリリースしたミュートは今月、ダウンロード数が100万を突破した。利用者は10〜20代が6割以上で、8割が女性だ。不知火病院(福岡県大牟田市)精神科の島松まゆみ医師は「AIの学習が進むと、分析結果が医療現場に活用される可能性もあります」と期待を寄せる。

日常の悩みごとなどを整理し、認知や行動に働きかけて問題解決を目指す「認知行動療法」を活用したアプリもある。「Awarefy(アウェアファイ)」は、快眠や、不安・緊張を和らげるスキルなど、7つのプログラムを用意する。

感情をメモに書き出したり、音声ガイドなどを活用したりして、スキルを身につけていく。プログラムを受けるには月額1180円。5月末にはストレスへの対処などプログラムの数を10前後に増やしたいという。20年にサービスを開始し、3月末時点で29万回ダウンロードされた。

運営会社のアウェアファイ(東京・新宿)は、早稲田大学人間科学学術院の熊野宏昭研究室との共同研究を実施。小川晋一郎社長は「プログラムを何度もやるうちに思考や行動のパターンが変わってしなやかな心が身につきます」と話す。AI機能を強化する方針で、第1弾としてユーザーの投稿にAIが応答するチャットボットを始めた。

誰しもが持つ考え方や物事の捉え方のクセ。そこに良い悪いはないのかもしれないが、生きづらさを感じるならアプリを活用してみるのはアリだと思った。島松医師は「心理状態を診るにあたって人の目を光らせておくことはとても重要です。アプリで精神的な疲れを認識できたら病院へ」とアドバイスする。AIは自分の心と向き合う案内者であって、治療者ではないことも覚えておきたい。(毛芝雄己)

 

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