中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「通勤」にも安全配慮義務

2018年02月12日 | 情報

当該労働者はメンタル上の問題はないようですが、大切なことは、判決で「通勤」にも安全配慮義務を認めたことです。

「過労事故死」認め和解勧告=通勤にも安全配慮義務-横浜地裁支部
18.2.8 時事

徹夜勤務明けにミニバイクで帰宅途中、事故死した新入社員の両親が、過労による睡眠不足が原因だとして
勤務先に損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁川崎支部の橋本英史裁判長は8日、
通勤方法にも会社側の安全配慮義務があるとして「過労事故死」と認めた上で、和解勧告した。
遺族が厚生労働省で記者会見し明らかにした。和解条項には解決金支払いのほか、
既に実施している労働時間管理や勤務間インターバルなど再発防止状況の公表も含まれ、双方が受諾した。
死亡したのは、商業施設で植物の設営などを行う「グリーンディスプレイ」(東京都)の新入社員だった
八王子市の渡辺航太さん=当時(24)=。
アルバイトから社員登用されて間もない2014年4月、夜通しで勤務した後、単独事故を起こした。
居眠り運転だったとみられる。
橋本裁判長は勧告で、直前1カ月の残業が91時間余りに及んだとして、「顕著な睡眠不足」を認定。
バイク通勤は会社の指示だったと指摘した。 
電通新入社員の過労自殺にも言及し、「過労死撲滅は喫緊に解決すべき重要課題で、
従業員や家族、社会全体の悲願だ」と強調。
過労死等防止対策推進法の定義に該当しない過労事故死についても
「過労死や過労自殺の類型とともに防止対策の推進が期待される」とした。
母淳子さん(61)と代理人弁護士は記者会見で、「過労事故を防ぐ会社の安全配慮義務の先例となり、画期的だ」と
高く評価した。(了)

「過労事故死」で遺族と会社和解 裁判長が異例の言及
2018年2月8日 朝日

深夜勤務後の帰宅中にバイク事故で死亡した会社員の男性(当時24)の遺族が会社に損害賠償を求めた訴訟の和解が8日、
横浜地裁川崎支部で成立した。会社が遺族に謝罪し、約7600万円を支払う内容。
遺族側代理人の川岸卓哉弁護士によると、帰宅中の事故死で企業に安全配慮義務があると裁判所が認めた例は
極めて珍しい
という。
亡くなったのは、観葉植物などの装飾を手がける会社、グリーンディスプレイ(本社・東京)に勤めていた渡辺航太さん。
長時間の深夜勤務を終え、横浜市の職場から都内の自宅にバイクで戻る途中の2014年4月24日午前9時過ぎ、
電柱にぶつかる単独事故を起こして死亡した。
母淳子さんらが翌年、長時間労働が事故の原因だとして約1億円の損害賠償を求めて提訴していた。
同支部の橋本英史裁判長は和解勧告で、通勤中の事故にも企業に安全配慮義務があると認めた。
事故の原因は居眠りだったとし、過労状態を認識していた会社側が公共交通機関を使うよう指示するなどして
事故を避けるべきだったと指摘。
和解金の支払いに加え、従業員の負担軽減▽終業から次の始業までの休息(11時間)の確保
▽深夜のタクシー利用を促す――など、事故後に講じた再発防止策に引き続き取り組むことを和解条件とした。
過労による事故死が多数発生している可能性にも言及し、「本件を契機に『過労事故死』の労働災害の事故の類型が公になり、
今後、過労死、過労自殺とともに社会全体として防止に向けた対策が十分に推進されていくことが期待される」とも述べた。

通勤事故死 過労が原因 世田谷の会社、遺族に謝罪し和解
2018年2月9日 東京

商業施設への植物の装飾を手掛ける「グリーンディスプレイ」(東京都世田谷区)に勤務していた
稲城市の渡辺航太さん=当時(24)=が二〇一四年、ミニバイクで帰宅途中に事故死したのは過重労働が原因として、
両親が同社に約一億円の損害賠償を求めた訴訟は八日、横浜地裁川崎支部で和解が成立した。
会社側が過労と睡眠不足が原因と認めて遺族に謝罪し、約七千六百万円を支払う。
通勤時の事故で会社側が責任を認めて和解が成立するのは異例。
母淳子さん(61)は厚生労働省で記者会見し、過労事故死を防ぐための会社の安全配慮義務の先例として
「大きな意味がある」と評価した。
和解勧告によると、渡辺さんは一三年十月、アルバイトとして同社で働き始め、一四年三月に正社員になった。
翌四月二十四日午前、徹夜勤務を終えて仕事先の横浜市都筑区からミニバイクで帰宅途中、川崎市麻生区で電柱に衝突し死亡。
事故当日の労働時間は、前日からの約二十二時間で事故前一カ月間の時間外労働は約九十時間だった。
遺族側の代理人弁護士によると、会社側は訴訟で事故原因に関して渡辺さんの不注意と主張。
橋本英史裁判長は和解勧告で、会社側が「適切な通勤方法を指示するなど、
事故を回避すべき義務を怠った」と安全配慮義務違反を指摘した。
和解条項には再発防止策として、勤務終了から次の勤務まで十一時間以上の間隔を空ける「勤務時間インターバル」や
フレックス制の採用などに取り組むことも盛り込まれた。
同社は「勧告を厳粛に受け止め、ご心配とご迷惑をお掛けしたことをおわび申し上げます」とのコメントを発表。
一方、会社側の弁護団も声明を発表し、地裁支部の事実認定に「重要な点の証拠調べを行う前に、
事故の原因を居眠り運転とし、会社の責任とする前例のない判断をした」と批判した。
遺族は一五年四月に提訴。事故に関して通勤災害として認定されている。

◆隠れた労災企業に責任
「過労死の撲滅は、社会全体の悲願だ」。八日、会社側が過労による事故死と認めた和解勧告で、
橋本英史裁判長はそう強調した。
現在は過労死防止法に規定がない「過労事故死」への対策が進む先例になってほしい、との関係者の願いも込められている。
背景には、広告大手電通の違法残業で高橋まつりさん=当時(24)=が二〇一五年に過労自殺した事件などを契機に、
企業の労務管理に対して社会の目が厳しくなっていることがある。
原告側は、会社の仮眠室が利用できる状態ではなかったことなど、休憩を取れずに長時間労働を強いられた実態を明らかにした。地裁支部は、休憩時間があったとする会社側の主張を退け、拘束時間のほとんどを勤務時間と算定、
事故は予見できたと認定した
遺族側代理人の川岸卓哉弁護士によると、通勤時の交通事故に関して、企業側の管理責任まで問われることはほとんどなかった。帰る方法は本人が決められることに加え、事故と過労との因果関係を立証するのが難しく、
本人の病気や不注意による運転ミスの可能性もあるためだ。
一四年施行の過労死等防止対策推進法でも、過労事故死は定義されていない
川岸弁護士は、和解を受け「通勤中の事故はこれまで労働者の自己責任とされてきたが、会社が安全に帰らせることを求めた。
過労死の対象を広げ、対策を強化させることになる」と意義を語る。企業側は社員の命と健康を守るため、
この教訓をどう生かすかが問われる。

 

 

 


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