中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

夏休みに入ります

2017年08月11日 | 情報

12日から20日(日)まで、恒例の夏休みに入ります。
21日(月)より再開します。
よろしくお願いします。

毎日、酷暑が続いています。みなさま、ご自愛ください。

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ストレスチェック制度の追加情報

2017年08月11日 | 情報

2年目のストレスチェックは、もうお済でしょうか、これからでしょうか。
「医師の面接指導を受けない、面接指導対象者に対する安全配慮義務」について以下に紹介します。

ストレスチェックを実施した企業・事業所の疑問・問題点の1位、または2位(定量的な情報はありません)が、
「医師の面接指導を受けない、面接指導対象者が多いが、どのようにすればよいのか」です。

ストレスチェックQ&Aにもたくさんの事例紹介があります。
Q9-1 面接指導の勧奨は、ストレスチェックの実施者(注:医師等)が望ましい。
嘱託産業医が共同実施者である場合は、嘱託産業医が勧奨することが望ましい。

 Q12-6 高ストレス者に対して、実施者である産業医や保健師が、
まずは通常の産業保健活動の一環として面談を実施し、その中で必要と判断された者について、
労働安全衛生法に基づく面接指導を実施するというやり方も認められるのでしょうか?  A; YES

Q21-1(略)労働契約法では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ
労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされており、
また、労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題の把握は、
ストレスチェック以外の機会で把握できないからといって、
メンタルヘルスに関する企業の安全配慮義務が一切なくなるということはありません。

Q21-2民事上の責任については、司法で判断されるべきものであり、行政から解釈や考え方を示すことはできません。
なお、ストレスチェックの結果は、労働者本人の同意がない限りは実施者(産業医)にとどまり、
事業者に提供されないということは、労働安全衛生法の規定するところであり、
労働者の同意を得られず、産業医が知っているストレスチェックの結果が事業者に伝わらず、
その結果就業上の措置が講じられなかったとしても、産業医個人の責任が問われるような性格のものではありません。

Q21-3 面接指導を希望しない労働者には、通常の産業保健活動の中で相談対応が行われることが望ましい。
従って、実施者である産業医から、通常の産業保健活動の一環として実施する面談を受けるよう勧奨することに問題はない。

 さて、ストレスチェック受検から、医師による面接指導までの流れを確認しましょう。
SC受検 ⇒ 高ストレス者 ⇒ 会社から「医師の面接指導」案内⇒

⇒面接指導に①応じる ⇒医師からの意見聴取、事後措置の実施(了)
 面接指導に②応じない⇒実施者・医師より勧奨(数回)、強制はだめ

⇒面接指導に③応じる⇒医師からの意見聴取、事後措置の実施(了)
 面接指導に④応じない⇒

⇒産業保健活動として面談(事業者への連絡なし)(了)
つまり、「すべて」の面接指導対象者に対する医師の面接指導、乃至は、
産業保健活動として面談(事業者への連絡なし)が終了して、はじめて、ストレスチェックに関わる事業者の
安全配慮義務が、とりあえず果たせたということになります。

結論です。
ストレスチェック制度における、安全配慮義務は、医師による面接指導も含めて「すべて事業者」にあると考えられます。
理由としては、安衛法66条の10(ストレスチェック制度)においては、すべての条文の主語が「事業者」になっています。
また、Q&A21ー2においては、「産業医個人の責任が問われるような性格のものではありません。」とされています。
従って、たとえ数回にわたって勧奨しても、面接指導を受けないことが原因で、何らかのトラブルが発生した場合には、
当該事業者が、安全配慮義務を負うことになると考えられます。

対策としては、全員に、①医師による面談を受けてもらう、または、次善策として
②産業保健活動として面談(事業者への連絡なし)を受けてもらう、ことになります。
現状、医師による面接指導を受けない対象者がいることを放置している企業・事業所が多いと推測しています。
産業医と打ち合わせを実施して、早急に対策を講じるようにしてください。

(追記)そうならば、なぜ厚労省は、はっきりと事業者に対して、医師による面接指導の対象者については、
全員に対して、①医師による面談を受けてもらう、または、②産業保健活動として面談(事業者への連絡なし)を
受けてもらう、とマニュアルに明記しないのか、という疑問です。
小職の推測です。厚労省の見込みによれば、医師による面接指導の対象者は、全受検者の10%としています。
例えば、自動車工場のような、受検対象者が1万人いるような超大規模事業所を想定して下さい。
そうすると、医師による面接指導の対象者は、約1000人ということになります。
この1000人の対象者に対して、医師による面接指導を「すみやかに」実施しなければなりません。
しかし、これは物理的に無理なことです。考えられません。
ですから、行政は、はっきりということができないのでしょう。

 

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